恋する乙女達はまだ意識されていない

エアルとサムソンがルイーゼ達に薬を渡した日の夜…「くれない林檎りんご亭」の…共同浴場の女湯にて。


マーシャとスズネは広めの浴場で長く伸ばした髪を洗い、隣り合ってシャワーを浴びていた。


「一足飛びに髪が長くなって、以前と比べて手入れが大変ですけれどね…」

「あはは…わかるわかる…。」

マーシャのそんな言葉にスズネは和やかに反応する。

「けれど、あいつに女として意識されたいのなら…髪だけでなく、もうちょっと下の方もっ!」

そういってスズネは裸のマーシャの胸に両手を伸ばし…

「ひゃああああん!?」

両胸を片手ずつで触られて大きな艶声を上げてしまうマーシャ。

「あたしも中々胸は大きいと自負しているけれどさ、マーシャはやっぱりあたしより乳でかくてむっちりっ!!」

「や…やめてくださいぃ…」

もがくマーシャ、胸を揉みしだくスズネ。

「お…お返しですっ!!」

マーシャは負けじとスズネの下半身の後ろの方に手を伸ばして、掴んだ!

「ひゃっ!?」

お尻に感じる電流に声が出てしまうスズネ。

「あら?スズネさんの足は男好みそうだとは思っていましたが、お尻もむっちりしてますねぇ?」

「な…何するのよぉ!?もぉ…」


そんな調子で、素っ裸での取っ組み合いが数分続いた末に互いに疲れ果て…


「やめよう、こんなの…エアルもサムソンも、あたし達の気持ちに気づかないどころか、あたし達のカラダなんて意識もしてないしさぁ…」

「うん…そうですね。」

そう言って和解して、二人とも髪を纏めて湯船に入った。


「ところで知っている?マーシャ?」

「何ですか?」

「今日の昼頃、あたし達が戦っている間に2人新たな冒険者が、ここに登録していてね、1人は何処かの獣人の村の族長の娘が武者修行の旅の末に、この紅の林檎亭に所属する冒険者になるって申し込みに来ていたらしいよ?」

「獣人の村の族長の娘さんですか…もう1人は?」

「エルフの女だった。帰ってすぐに少し話もしたから、名前ももう把握している」

「そのエルフの女の人の名前は?」

「確か…」

スズネは、少し言い辛そうに言う。

「エリス・シュバルツフォレスト。エルフの長い耳だけでなく、明るい青緑髪に赤い目が特徴的だった。生き別れたそいつの兄貴の名前は…クリスとかいったっけ。」

「え!?」

マーシャはそれを聞いて驚いた。

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