薬屋は本心に気づく
エアルがローゼンに剣を作ってもらっている頃。
マーシャとスズネはヴェルデ―アの店に呼び出されていた。
ヴェルデ―アの薬屋の建物はこじんまりとした一階建ての建物で、店の中には薬や薬草がぎっしりと並べられていた。客も居ないので、店の真ん中のテーブルを囲んで三つの椅子が並んでおり、マーシャとスズネはその椅子の内2つに座っており、そこに、耳とおでこが出た緑の髪のベリーショートの髪の少女、ヴェルデ―アが最後の3つの椅子に腰かけた。
「スズネ、あなたは元々は闇の武闘家の元で修行していたそうね」
「…っ!」
ヴェルデ―アの真剣な言葉にスズネは罪悪感を募らせる。
「いや、私は貴女に助けてもらったから、その事は良いの。だけれど…私達が救助されて以来、闇の武闘家はテロ流派として広く周知された…。だから、女で辮髪の髪型じゃあ…今も闇の武闘家に所属していると疑われても仕方ない…。」
「あ…!」
スズネの脳裏に、『樹下に冠を正さず』という諺が浮かぶ…。
そんなスズネにヴェルデ―アは顔を近づけ耳打ちする。
(それに好きなんでしょ、サムくんとエアくんの事が。まだ、どっちにするか決めかねているみたいだけれどね)
「!!」
スズネの心にさらなる動揺が走る。罪悪感と恋、二つの激震が心を覆う。
傍で見ていたマーシャはスズネの気持ちと、ヴェルデ―アがそれを察した事に気づいた。
「だから」とヴェルデ―アは続けた。
「昨日の夜、サムくんとこの薬を作ったってわけ。まだ試作品だけれど、マーシャちゃんもこれを飲んでみてね。あたしも付き合ったげるから」
そうして、3人は同時にぐいっと薬を一気に飲み干した…。
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