第一章 集う仲間達、出会いと別れの章

青年は魔術師と武闘家と出会う

あれから、エアルはマーシャと会っていない。この街のアクレリアス教会にいるとは聞いたが。

マーシャは何やら思い詰めていたとエアルは思った。


だが、クリスを捕らえた一件で駆け出し程度には、知られるようになったエアルは、一緒にパーティを組む冒険者にもう困る事はなかった。

ソロだけでなく、色んな冒険者と組んできた。


その中で後衛に合わせて突撃する、同じ前衛とタイミングを合わせるなどのチームワークも覚え始めた頃に、宿屋の部屋を出てクエストボードに向かう途中で…彼と彼女の2人と出会った。


「どうもはじめましてのこんにちわだね、エアル・ヒートフェンリル君。一緒に依頼をこなさない?」

1人は軽薄そうな印象の少年だった。緩めのパーマのかかった栗毛の髪と、翡翠色の瞳が特徴的な、魔術師風の風貌で、細身の体に薄手のローブをまとっている。

「あたしからもお願い。目を付けた依頼が…どうも、厄介そうで2人じゃ難しそうなのよ」

もう1人は活発そうな少女だった。ほとんどの髪を剃って、辮髪にした黒髪の頭と、赤をメインに金のラインの拳法着を身にまとった、武闘家風の姿が特徴的だった。


後にエアルの生涯の友となる、サムソン・ボルトキマイラ。

そして、この後のマーシャと同様の心境と姿の変化が起こる事になる、スズネ・アイスタイガーの2人との出会いがこの瞬間だった。



その頃、マーシャはアクレリアス教会にて、僧侶としての師にして実の母である女性。女司祭ポーラ・アクアウイングと会っていた。

「つまり、その殿方との出会いで抱いた気持ちの正体が解らないという事ですね。マーシャ?」

「はい…お母さ…いえ、司祭様」

「お母さまで問題ありませんよ。」

マーシャは、いつも修行のためには邪魔だからと髪の毛を剃ってもらっていた、母にして師である女性に自分の感情の答えを聞いた。その答えは…

「では、私がこういうときの為に用意しておいた、このアクレリアス様の力で聖別された聖水をお飲みなさい。そうすれば、あなたの感情の正体をつかむ、最初のきっかけがつかめる筈です」

「はい。司祭様」

そう、言われるままに差し出された聖水を受け取ったマーシャはそれを飲み干した…

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