幕間-冒険者達は闇の職人の話をする

エアルとマーシャが依頼をこなすべく、出て行った後の、くれない林檎りんご亭。

威圧的なゴロツキのような男、筋骨隆々の大男、ガイコツのような細身の男、魔法使いらしく杖を持つローブを纏った青年、剣を腰に下げた青年…何十人かの冒険者達は手ごろな依頼も無いため、飲み物のカップを片手に談笑にふけっていた。

「まさか、あいつと組むような新人が出るとはなぁ…」

「あの坊主頭のシスター…あんなカスと組んで、大丈夫かねぇ…」

彼らの認識では、エアルは武器も持っていないし、魔法もそこそこ使える程度のカス冒険者という認識で、取り柄の腕っぷしの強さはそれ程、知られていなかった。

「坊主頭と言えば。知っているか、『闇の職人』の噂を」


『闇の職人』

男女問わず頭を丸坊主にして職人修行する丁稚奉公徒弟制度の職人集団。

修行の末に一人前となった者は質のいい武器・防具を生産する事で知られているが、黒い噂が絶えず、敬遠する者も非常に多い。


「また、匪賊の手に闇の職人が作った武器・防具が渡っていた、という報告があったらしい。」

「またかよ…うわぁ…噂は本当としか思えねぇや」

冒険者間のネットワークは強く、その情報網は個人にもよるが優秀かつ正確性が高い。

故にこのようなゴシップであっても、裏付けや証拠があれば、ある程度の信憑性で伝えられる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る