聖職者と青年は出会う
クランアリス西方の大陸ゴールデンジューシーでも、その町を知らない者はいない。
「交易都市アップルR-12」は、ゴールデンジューシーに名立たる、都市国家達同士の交通の要所として栄え、ゴールデンジューシーのあらゆる地方の特産品が集められている。
エアルはアップルR-12の冒険者の宿「
だが、腕っぷしだけが取り柄で、魔法もそこそこ使える程度。剣などの武器も持っていないエアルは紅の林檎亭でも直接の知り合い以外誰も知らないどころか、殆ど相手にされない存在だ。
その為、パーティに入れてくれるよう、他の冒険者達に頼み込んでみても、断られるどころか無視されてばかりだった。
「畜生…どいつもこいつも無視しやがって」
悔し涙に打ちひしがれそうになったその時、「あの…」とエアルに話しかける高く凛々しい声がした。
その声にエアルが振り向くと、聖職の服装をした坊主頭の碧眼の美少女…マーシャがそこにいた。
「一緒にパーティを組んでくれませんか?」
それから数分後、数々の依頼が張り出されているクエストボードの前で、
「エアル・ヒートフェンリル。歳は17。腕っぷしが強い程度で、魔法はそこそこ使える程度だ」
「マーシャ・アクアウイング…です。歳は15です。湖の女神アクレリアスに仕える神官で…神聖魔法が使えます。」
エアルは軽く、マーシャは丁寧に、2人は自己紹介を交わすと、エアルがボードから引きはがして手に持っていた、依頼の張り紙を2人でのぞき込み…声をそろえて読み上げる。
「「外道術師の討伐依頼…」」
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