不良??

「かぐやちゃんこのお菓子好きだったよね!食べて食べて!」


「あ、ありがとう。」


桃山家のリビングに案内され、お菓子を出されたりなんかしていたらなんと太輔くんのお母さんまで帰ってきて、私は久しぶりに対面することになった。


「あらあらかぐやちゃん、大きくなったわね〜」


「お久しぶりです。」


「相変わらず綺麗な髪よね、お父さんが帰ってきたらきっと喜ぶわ〜」


太輔くんのお父さんは幼い頃から私の髪を気に入ってくれており、髪を切る時はうちの美容院に、なんて言ってくれていた。


「ダメだよ!かぐやちゃんの髪の毛は俺が切るんだから!」


太輔くんは、なんでもないように私の髪に触れる。


「はいはい。あ、かぐやちゃん良かったら家で食べていかない?材料少し多めに買っちゃったの」


まだ母には連絡できていない。


きっと家には夜勤の母が作り置きしてくれた晩御飯が待っているだろう。


「いいえ、今日は…」


「今日はかぐやちゃんの好きなクリームシチューよ」


「いただきます」


誘惑に負けてしまった…


「クリームシチュー!やったねかぐやちゃん!」


太輔くんは子どものように喜びながら、高校生とは思えない、またバグの酷い距離感で私に抱きついてくる。


「う、うん。あの、離れて、」


「あ、ごめんなさい、嫌だった?」


拒むと彼は子犬のような目で私に問いかける。


また昔の彼の影が見えて拒めなくなる。


「…大丈夫。」



「ごちそうさまでした」


「はい、お粗末様でした」


いつの間にか帰ってきた太輔くんのお父さんも含めて五人で雑談をして、懐かしい味のする美味しいクリームシチューを食べて、なんてしてたらあっという間に空は暗く染まってしまっていた。


「あら、もうこんな時間」


時計を見ると時間は20時を回っていた。


「帰らないと…」


「もう遅いものね、うちは別に泊まってくれても全然大歓迎なんだけど、美樹さんに怒られちゃうからね〜」



美樹は私の母の名前だ。


母と太輔くんのお母さんはいわゆるママ友だったのだ。


今でこそあまり話は聞かないが。


「もう暗いし俺かぐやちゃん送ってく!!」


「いや、良いよ別に近いし」


「いいえ、そうしましょ。太輔、送り狼になったら、分かってるわね?」


「やだなぁ、俺がかぐやちゃんが嫌がることするわけないでしょ、もう、行こかぐやちゃん!」



「ごめんね、わざわざ」


「俺がかぐやちゃんを送りたかっただけだからいいの」


「でも、」


「いいって、かぐやちゃんともっと一緒に居たかったから理由付けただけなんだよ、俺」




気はずかしいことを、昔と同じ笑顔で言う彼は、


本当に母が言うような子になったんだろうか…

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