第29話 5月4日(金)レボ部の合宿2日目 その3

 そして、みんなは旅館で夕食を食べた後、肝試しをするため、廃墟旅館に行った。

神山:では、肝試しを始めます。だけど、まだ中には入らないでね。中に入る前にみんなにお話したいことがあります。

朝霧:それって怖い話をするの?

神山:その通り。そのほうが面白いでしょ。

朝霧:確かに。

神山:では、お話します。・・・・・・。この旅館はね。自殺の名所なの。いろんな人が自殺したの。人生の終わりを感じた人、未来に失望した人、自分の持っている物を全て奪われて人。だから、この旅館は怨念がたっぷりなの。ちょっとでも死にたいと思うと、容赦なく亡霊が襲ってきて、首吊りのロープがやってきたりするのよ。それだけじゃないのよ。床が動いたり、階段の数が十二段のはずが十三段になっていたり、変な声が聞こえたり、だからすごく怖いよ。みんな気持ちの準備はいいかな?

佐々木:俺は実感がわいてこないけど。

名取:そりゃそうよ。・・・で、ペアーを組もうと思うけど、もうほとんど決まってると同じだよね。

 みんなうなずいた。

神山:じゃあ、一応、ペアーを発表するね。まずは助と愛ちゃん。次は静香ちゃんと清彦君。その次はチャンポンと美華ちゃん、その次は私と佐々木君、で、最後が阿曽部君と朝ちゃん。あ、そうそう。友子ちゃんは雪絵ちゃんと組んでね。これでいい?いい人は手を上げて。

 みんな手を上げた。阿曽部も朝ちゃんも、お互い顔を見合わせたけど、手を上げた。

神山:じゃあ、決まりね。順番はどうしようか。今、私が行った順番でいい?

川村:私はいいよ。

増田:すいません。私と雪絵が最後なんですか?

神山:あ、ごめん。最後から2番目でいい?

小山:いいですよ。

阿曽部:じゃあ、ラストは僕と朝ちゃん?

神山:そう。・・・。うん。これでみんないい?

 みんな頷いた。え?先生たちはどうしたって?あ、いや、先生たちはこんなくだらんことには付き合ってられんといってこなかったけど、本当はどうなんだろ。

 まあ、とにかく、地図と懐中電灯をみんな渡されたんだ。

神山:じゃあ、一応みんな心の準備ができたところで、一組づつ中に入ってね。最初は助と愛ちゃん。

助平:おう。じゃあ、みんな行ってくる。

川村:みんな、じゃあねー。

 助と愛ちゃんは建物の中に入った。

助平:愛ちゃん。怖かったらいくらでも抱きついていいぜ。

川村:助。私はこういうのは平気だから残念だね。

 と言ってるそばから愛ちゃんが叫び声を出した。

川村:きゃあ。

 愛ちゃんは助の腕をつかんだ。

助平:どうした?

川村:いま、私の首の襟の中に上からしずくが入ったのよ。

助平:なんだ。そんなことか。どこが平気なんだよ。しずくで怖がってちゃ話にならないぜ。

川村:違うよ。誰だって首の襟の中にしずくが落ちたら、この環境じゃ、普通はこうなるよ。

 ここで、上から何か落ちた音がした。

助平:何か落ちて来たぜ。なんだろう。

 懐中電灯を当てると、それは首吊り用のロープだった。

川村:何よこれ。でも、普通の人ならびびるよね。

助平:ん?愛ちゃん。前を見て。

川村:え?あれって人魂?

 そう、助と愛ちゃんには、宙に浮いている人魂が2つ見えた。そして、その人魂の真ん中に首吊りロープだけでなく、ロープの真ん中に生首だけが映った。その顔は悶絶している顔だった。

川村:きゃーあ。

 愛ちゃんは腰を抜かしてしまった。

助平:あーあ。愛ちゃん大丈夫。

川村:助―。私、立てないよ。

助平:しょうがない。おんぶをしてやるか。

 助は愛ちゃんをおんぶした。

助平:それじゃあ行くか。・・・・・・。ん?

 助は愛ちゃんを負ぶって両手がふさがったところに、首にロープが巻きついていた。

助平:なにー。

川村:どうしたの助。

助平:ロープが俺の首に勝手に巻きついた。しかも、ぬるっとしている。

川村:きゃー。

 さすがの助も青ざめた。

助平:愛ちゃん。ここの旅館、マジでやばい。

川村:助―。私、動けないよ。

助平:わかった。地図には近道があるから、そこから出ようか。

川村:うん。

 助と愛ちゃんは近道を選んだ。

助平:愛ちゃん。あそこのドアが出口だぜ。ん?

 ここで床が動き出した。助と愛ちゃんの進行方向と逆なので、出口はどんどん遠のいた。

助平:何だコリャ。

 助は逆戻りしたくなかったので、走った。すると、下からうめき声が聞こえた。助は下を見ると、人の顔がすごい形相で、床に並んで動いていた。

助平:うわー。

 助もそこでしゃがんでしまった。

助平:愛ちゃん。こりゃ近道は無理だ。

川村:でも、私、もうだめだよ。助。腰の当たり濡らしちゃってごめんね。ちょっとちびっちゃった。

助平:いや、そんなことは気にしてないから、というか、うれしいというか、なんというか、まあ、この状況はやばい。だから、後から次の奴が来るのを待とう。

 そういうわけで、舞台は外に戻ります。次は、僕と静香ちゃんの番だ。

神山:次は清彦君と静香ちゃんだね。実は、今、助と愛ちゃんが、ある場所で動くなくなっているから、その救出も頼むね。

秋山:え?あの二人、何かあったの?

名取:あの二人は神経は千年樹の様に図太いはずなのにねえ。

秋山:まあ、行くしかないね。

 僕と静香ちゃんは中に入った。

秋山:静香ちゃん。なんか寒気がするね。

名取:私も。・・・・・・。これって霊気かな。なんか嫌だね。

秋山:静香ちゃん。肩を抱きながら行こうか。

名取:そうね。

 すると、突然静香ちゃんが、叫び始めた。

名取:きゃあ。

秋山:静香ちゃん。どうしたの?

名取:え?・・・・・・。いや、しずくが背中についただけ。

秋山:ん?何か落ちた音がしたな。下を見てみようか。

名取:うん。

 下を見たら、首吊り用のロープがあった。

名取:・・・・・・。首吊り用のロープだ。何か不気味ね。

秋山:静香ちゃん。前を見て。人魂だよ。二つの人魂。

名取:何か本格的ね。ん?二つの人魂の間に、何か見えてきた。

 静香ちゃんたちが見えたものは、首吊りロープがついている生首だった。

名取:きゃー。

 静香ちゃんは腰を抜かしてしまった。

秋山:静香ちゃん。大丈夫。

名取:清彦君。よく平気で見てられるわね。

秋山:だって、首から上のマネキンを使ってるんだろ。どうせ。

名取:え?

 僕はその生首をよーく見た。すると、その生首はにやけたのだ。

秋山:うわー。マネキンの顔が動いた。静香ちゃん。こりゃ本格的だよ。

名取:えー。ホントー。あ、清彦君。私、立てない。

秋山:しょうがない。静香ちゃん。負ぶってあげる。

名取:あ、ありがと。・・・・・・。

 僕は静香ちゃんを負ぶった。

名取:清彦君。私・・・・・・幸せ。

 僕は静香ちゃんには少々驚くことがある。こういうときも静香ちゃんは僕を感じてくれてるんだって。だが、そんな気分になっているのも束の間、次の恐怖が襲ってきた。ロープが僕の首に巻きついてきた。

秋山:ひえー。静香ちゃん。僕の首についているロープを取ってくれない?僕、両手を使っているから。

 そう。両手は静香ちゃんを抱えるのに使っているんだ。静香ちゃんは震えながら僕のロープを取った。

名取:何かずいぶんぬるぬるしたロープだったよ。なんか気持ち悪い。

 そのまま進んでいくと、階段に登る道と、そのまま進む近道とに分かれていた。

名取:清彦君。助達は近道を通ったんじゃないかなあ。ほら、一応足跡があるよ。そっちで待ってるんじゃない?

 静香ちゃんは本当は近道に行きたくてそういっているのかなあとも思ったけど、助たちがいるとなると、やっぱり近道を通らざるを得ない。

秋山:じゃあ、静香ちゃん。近道を通るよ。

名取:うん。

 しばらくすると助と愛ちゃんがいた。

秋山:あ、助。愛ちゃん。

助平:おっ。清彦と静香ちゃんか。こっちはちょっとやばいことになってて、ここで待ってたんだ。特に愛ちゃんがやばい。

秋山:こっちもだよ。静香ちゃんが腰を抜かしてさあ。

川村:静香も腰を抜かしたの?

名取:まあね。それより、助、腰が濡れてるよ。

助平:あ、これ、実は・・・・・・。

川村:あ、助、ちょっと待って。

助平:いきなり水道管が破裂して水がかかっただけだ。

 愛ちゃんは冷や汗ものだったけど、助のフォローに助けられた。

名取:ふーん。そうなの?

川村:そうそう。

名取:それにしちゃ、さっきの愛のあわてぶりは一体・・・・・・。私はてっきりお漏らしでもしたんじゃないかと思ったわよ。

川村:それより、脱出しようよ。早くー。

秋山:そうだね。じゃあ、そこの近道通ろうよ。

助平:清彦。この近道はやめとけ。疲れるし、気味が悪い。床が進行方向と逆に動くんだ。

秋山:じゃあ、先に進むしかないわけね。

助平:そうだ。階段を登るしかねえな。愛ちゃんはどう思う?

川村:私、助に任せる。

秋山:静香ちゃんは?

名取:私も清彦君に任せる。

助平:じゃあ、愛ちゃん。おんぶするからつかまって。

川村:え。あ、いや、ちょうど立てるようになったから。

名取:清彦君。私も歩けるよ。

助平:じゃあ、この階段を登るぞ。

 僕たちが階段を登ると、どこからか声が聞こえてきた。

不気味な声:1,2,3,4.

川村:助、変な声しない?

名取:これって一体。

秋山:僕たちが登る階段の数を数えているみたいね。

助平:そのようだな。

不気味な声:5,6,7,8,9.

秋山:助。この階段ってさっき美子ちゃんが言ってた階段の数がどうのこうのというやつじゃないか。

助平:確か階段は12段のはずが、13段になってるって言ってたなあ。

不気味な声:10,11,12.

助平:おい、清彦。あと1段残ってるぞ。

名取:うそーっ。

川村:私、怖い。

助平:まあ、ここまで来たんだ。もう1段登るぞ。

 みんなもう一段登った。

不気味な声:13。クックックックック。

川村:きゃーっ。

助平:愛ちゃん待て。まだ何も起こってないぞ。

秋山:そうだよ。あれ?静香ちゃん。

名取:私、また腰抜けたよ。

川村:私も。

助平:おいおい。階段が13段だっただけじゃねーか。

秋山:いがいと、この階段は、元から13段だったりして。

助平:清彦。確かめてみるか。

秋山:うん。ちょっと降りてみる。

 僕は階段を降りた。

秋山:1、2、3、・・・・・・10、11、12。あれ?12段しかない。

川村:きゃーっ。

助平:おいおい。冗談だろ。

名取:清彦君、冗談はやめてよ。

秋山:いや、本当に12段なんだよ。

助平:じゃあ、もう1回登るときに数えれば。

秋山:うん。

 僕は、階段を登った。

秋山:1、2、3、・・・・・・9、10、11、12、13。あれ?13段?

川村:きゃーっ。

名取:ちょっと、どうなってるのよ。

助平:清彦。お前。ウソ言ってないか?

秋山:ほんとだよ。それじゃあ助が確かめるか。

助平:いや、わかった。それより愛ちゃん、大丈夫か。

 愛ちゃんはがくがくだった。

川村:私、もうだめ、こんな怖い肝試し初めてよ。遊園地より怖いよ。

助平:そうだな。ちょっと理解不能な旅館だな。

秋山:助。とにかく先に進もうよ。

川村:助。また負ぶって。

名取:清彦君。私も。

助平:しょうがない。

秋山:わかった。

 僕たちは2階を歩いた。何か不気味なものを感じた。

助平:なんか寒気がする生暖かい空気だなあ。

秋山:これも、一体何なんだろう。

名取:私、美子がここまでするとは思わなかったよ。

川村:私も。美子が怖いよ。

助平:ん?前から誰かが近づいてくるぜ。

川村:え?

川村:きゃー。私たちが前から近づいてくる。

助平:本当だ。俺たちと似たやつが近づいてくる。

秋山:助。落ち着いたら。これ、鏡じゃないか?

助平:ん?あ、本当だ。

名取:何だ。鏡か。ややこしい。

助平:美子ちゃんも人が悪いなあ。

秋山:あれ?何か鏡が変だよ。

助平:本当だ。愛ちゃんが助の首を、静香ちゃんが僕の首を絞めてる。

秋山:そういえば、なんか苦しいなあ。

名取:え。私たちそんなことはしてないよ。

川村:私も。

助平:ゴホッ。ゴホッ。なんか、俺も苦しくなってきた。

川村:ちょっと。それ、ホント?

秋山:静香ちゃん。ちょっと降りて。

名取:え。ちょっと待ってよ。

助平:おい。清彦。あっちに休憩所があるぞ。

秋山:そうだね。とりあえず、そこで休もう。

 僕たちは休憩所にいった。

助平:やれやれ、休むか。何か飲み物はないかなあ。

秋山:助。あそこに自動販売機がある。

助平:ホントだ。だが、見事にコーラーしかないなあ。

秋山:ボタンが一つしかない。

助平:まあいい。でも、金を入れるところが無いな。

 すると、ゴトッという音が4回した。

川村:きゃーっ。

助平:おい。清彦。勝手にコーラーが出てきたぞ。

秋山:不気味だなあ。

 僕たちはコーラーを飲むことにした。

助平:じゃあ、飲むか。

名取:助。ちょっと待て。これ、買ったわけじゃないでしょ?毒でも入ってたらどうするの。

川村:私も何かいやな感じがする。

助平:じゃあ、俺が毒味してやるよ。

 そういって助は飲んだ。すると助は・・・・・・。

助平:ゴホッ。

川村:キャーッ。

 助は何かを吐き出した。吐き出したものは赤かった。

川村:きゃー。

名取:これって血じゃない。助。大丈夫。

助平:これ、トマトジュースじゃねえか。コーラーとか言ってて騙しやがったな。

川村:何だ。トマトジュースか。

名取:何か、美子ちゃんに一杯食わされっぱなしで悔しいわね。

秋山:一杯どころじゃないよ。5、6杯は食わされたんじゃないか。しかも食わされたものはみなまずい。

助平:そう。今のトマトジュースのように。

秋山:まあ、とにかく、ここで少し休もうよ。

助平:そうだな。愛ちゃんなんかフニャフニャだ。

 僕たちはここで少し休むことにした。

 舞台は外に移します。

佐々木:愛ちゃんたちは遅いなあ。

神山:あの4人は、今、休憩所で一服しているみたい。相当私の仕掛けに驚いているみたい。

朝霧:ふーん。

神山:ところで、順番のことだけど、ちょっと変えない?

阿曽部:なんで?

神山:この調子だと、みんな足止めしそうだから、私が順番が最後じゃないと、みんなを救えないみたい。だから、私たちは最後。で、阿曽部君と朝ちゃんが次に行ってほしいんだ。

佐々木:まあ、俺は最後の方がいいけど。

阿曽部:まあ、美子ちゃんがそういうんならそうしよう。ね。朝ちゃん。

朝霧:私は別にいいよ。

神山:じゃあ、次は阿曽部君と朝ちゃんが行ってね。

阿曽部:わかった。

朝霧:うん。

 阿曽部と朝ちゃんは肝試し旅館に入った。

朝霧:なんか気味悪いね。もやもかかってるし。

阿曽部:あれは、ワッカのロープが上から下がってる。あれは美子ちゃんが言ってた首吊りロープか。人魂もあるね。

朝霧:私、ちょっと怖い。

 首吊りロープが奥から手前にやってきた。

朝霧:きゃあああああ。首吊りロープがこっちにやってくる。

阿曽部:ずいぶんとリアルだなあ。どんな仕掛けになんだろう。

朝霧:あれ?阿曽部君。怖くないの?

阿曽部:いや、こういうものには必ず仕掛けがあるものさ。

 首吊りロープは阿曽部と朝ちゃんの前に止まった瞬間、上から数多くの首吊りロープが落ちてきた。

朝霧:きゃーっ。

 朝ちゃんは阿曽部に抱きついたんだ。

阿曽部:朝ちゃん。僕が守るから安心して。

朝霧:うん。

 阿曽部はそういって朝ちゃんの肩を抱いたんだ。

朝霧:あ、阿曽部君。さっきのロープ、首に巻きついているよ。

阿曽部:え?

 阿曽部はさすがにこれには驚いた。

阿曽部:あ、朝ちゃん。カッターある?

朝霧:あるけど、どうするの?

阿曽部:首に巻きついているロープを切ろうと思って。

朝霧:じゃあ、はい。

 阿曽部がロープを切ると、切り口から何かブシューと出たんだ。

朝霧:きゃあ。

 朝ちゃんは腰が抜けた。そう。このブシューっていうのは血だったんだ。

阿曽部:わあ。朝ちゃん。ここ気味が悪いからさっさと先に行くよ。

朝霧:あ、ちょっと待って。私、立てない。

阿曽部:あ、ごめん。ちょっと待って。

 阿曽部は首に巻きついたロープを自力でぶん投げて、朝ちゃんをおんぶした。

朝霧:ごめんね。阿曽部君。

阿曽部:いやあ。気にしないでよ。

 ここで、朝ちゃんが何かを見た。

朝霧:阿曽部君。あれなんだろう。

阿曽部:ん?生首だね。

朝霧:きゃあ。

阿曽部:朝ちゃん。あれはどうせマネキンだろ?

 すると、その生首は目を光らせてニヤついたんだ。さすがの阿曽部もぞっとした。とくに、朝ちゃんの怖がり方は、阿曽部の比じゃなかった。

阿曽部:朝ちゃん。先急ぐよ。

朝霧:うん。

 美子ちゃんの細かい仕掛けも通り抜け、しばらくすると道が二つに分かれていた。階段を登る方とそのまま近道を通る方だった。

朝霧:阿曽部君。どっちに行こうか。

阿曽部:朝ちゃんはどっちに行きたい?

朝霧:前の四人はどっちを行ったんだろう。

阿曽部:足跡を見ると、近道に行って引き返して階段を登ったんじゃないか?

朝霧:なんでだろう。

阿曽部:近道のほうは通れなかったんじゃないか?

朝霧:なるほど。・・・・・・。でも、阿曽部君ってこんなときも冷静なんだね。

阿曽部:あはは。まあ、とにかく階段を登ろうか。

朝霧:うん。

 階段を登ると不気味な声が聞こえた。

不気味な声:1,2,3,4.

阿曽部:これは一体・・・・・・。

朝霧:これって、さっき美子ちゃんが言ってた、十二段の階段が、十三段になっているというあれじゃない?

阿曽部:そうだね。

不気味な声:5,6,7,8,9、10、11,12、・・・13。

朝霧:阿曽部君。13段あったよ。

阿曽部:うん。でも、だからどうしたってことにして、次にいこうよ。

朝霧:そうね。

 阿曽部たちはここはあっさり通った。僕たち四人が足止めして階段を数えなおしたのはなんだったんだろう。まあ、それは置いといて、二人は二階に来た。しばらく進むと、二人は奇妙がっていた。

朝霧:あれ?私たちが近づいてくる。

阿曽部:あ、本当だ。でも、あれは鏡なんじゃない?

 すると、鏡に写っている朝ちゃんが、阿曽部の首を絞めていた。

阿曽部:あ、朝ちゃん。首絞めてないよね。

朝霧:絞めてないよ。

阿曽部:でも、なんかやばい。あそこに休憩室があるからそこに行こう。

朝霧:うん。

 二人は休憩室に行った。休憩室に入った瞬間、光が襲ってきた。

朝霧:きゃあ。

助平:あれ?足音がしたから、美子ちゃんの新手の罠かと思ったら、朝ちゃんと阿曽部じゃねーか。

 その光は懐中電灯だった。

阿曽部:あれ、助に清彦に愛ちゃんに静香ちゃん。何でこんなところに・・・。

助平:いや、休憩しているだけだ。

名取:あれ?朝ちゃんも腰抜けたの?

朝霧:う、うん。もしかして静香ちゃんも?

名取:そう。愛も抜かしたわよ。

川村:うん。でも、これ怖すぎ。

秋山:じゃあ、みんな先行く?

助平:清彦。ちょっと待った。どうせならチャンポンを待とうぜ。俺はチャンポンのリアクションを見たい。

名取:そうね。これからの仕掛けでチャンポンはどうなるか私も見たい。

阿曽部:じゃあ、ここで待つか。

 阿曽部と朝ちゃんも合流した。

 舞台は外に戻ります。

神山:えっと。では、次は雪絵ちゃんと友子ちゃんだね。阿曽部君と朝ちゃんは他のグループと合流して休んでいるみたい。ちょっと刺激が強かったかなあ。

小山:えー。助平さんたちでも立ち止まるんですか。

増田:私たちはかよわい女の子が二人なんですよ。なんか心配です。

長崎:なら、友子ちゃんと雪絵ちゃんは朕と一緒にいくか。女の子二人はなんかかわいそうだ。

宮下:えー。ターちゃんとツーショットじゃないの?

小山:美華。私たちは女二人なのよ。

増田:そうよ。なんかすごく危険みたいよ。

宮下:えーっ。

神山:うん。私も四人で行ったほうがいいと思う。ちょっと刺激が強いからね。レボ部の女子は三人とも腰抜かしているみたいだから、美華ちゃん。いいかな?

宮下:わかりました。

長崎:じゃあ、朕は出陣する。みなついて参れ。

 チャンポンと美華ちゃん軍団は建物に入った。

宮下:ターちゃん。不気味だね。ここ。

長崎:そうだけど、こうじゃなかったら朕は面白くない。

 ここで、友子ちゃんと雪絵ちゃんが声を上げた。

増田:きゃあ。

小山:きゃっ。

宮下:二人ともどうしたの?

増田:首に水が垂れてきた。

宮下:なんだ。おどかさないでよ。

増田:あれ?前から何かやってくる。

小山:本当だ。あれなんだろう。

長崎:首吊りロープみたいだね。

増田:きゃあ。ターちゃん。なんか怖い。

小山:私も。

 友子ちゃんと雪絵ちゃんはチャンポンの服の裾をつかんでいた。

宮下:ねえ、ターちゃん。あのロープ近づいてくるよ。

増田・小山:きゃあ。

宮下:ターちゃんは怖くないの?

長崎:え?だって、首吊りロープが近づいてきただけじゃん。

増田:ターちゃん。だから私たちは怖いのよ。

小山:そういえば、美華も驚いてないよね。

宮下:私はなんか平気。

 次は、ロープがチャンポンの首に巻きついた。

宮下:あ、ターちゃん。大丈夫?

長崎:ん?このロープみたいなもの、よく見るとヘビじゃないか?

増田:きゃーっ。ヘビー。

小山:ヘビなの?

長崎:まあ、こんなものは取ればいいわけだし。

 チャンポンはあっさり首に巻きついたヘビを取った。これでびびってた僕達は一体・・・・・・。

小山:美華はヘビは平気なの?

宮下:ヘビぐらいで怖がっていたら、すし屋の娘はやってられないからね。

増田:すし屋の娘は関係ないじゃん。

宮下:いや、ウナギとヘビは似たようなものじゃん。

小山:・・・・・・。いや、私は違うと思う。

長崎:まあ、とにかく、先に進もう。

増田:あれ、ターちゃん。前の首吊りロープの真ん中に何かいる。

小山:きゃー。生首よ。

長崎:ん?でもマネキンじゃないか。

増田:きゃあ、あの生首、今、ニヤッとした。

小山:きゃー。目が光った。

長崎:あの生首は機械でリモコン操作されているんじゃないか。

宮下:きゃー。ターちゃん賢い。さすが。・・・・・・。ん?友子、雪絵、どうしたの?

 友子ちゃんと雪絵ちゃんは腰を抜かしていた。

増田:ターちゃん。私、歩けない。

小山:私も。

宮下:二人とも何してるのよ。このくらいでこし抜かさないでよ。

長崎:しょうがない。おぶっていくか。

宮下:きゃー。ターちゃん。私も腰抜けた。

増田:美華。今、腰抜けたのはウソでしょ。

小山:そうよ。ターちゃんにおんぶされたいからって、急に演技しないでよ。

宮下:だって・・・・・・。

長崎:とにかく。どっちかおんぶするしかないな。美華ちゃん。朕達で一人ずつおんぶしよう。

宮下:えー。何で私が友子や雪絵のおんぶをしなきゃいけないのよ。

長崎:美華ちゃん。今回はしょうがないと思うよ。

増田:じゃあ、決まり。私はターちゃんにおんぶしてもらお。

小山:友子私がターちゃんよ。

長崎:二人とも。こんなところで言い合いしないでさあ。

宮下:そうよ。せっかく私が負ぶってあげるっていうのに、私にリクエストしてよ。私は一体何?

増田:じゃあ、ジャンケンね。

 友子ちゃんと雪絵ちゃんはジャンケンをした。

増田:やったー。私がターちゃんね。

小山:私が美華か。

宮下:ちょっと二人とも。ターちゃんの恋人は私なんだからね。わかってる?

長崎:まあ、まあ、とにかく先行こうよ。

 チャンポンたち四人は先に進んだ。先には分かれ道があった。階段と近道である。

宮下:ターちゃん。どっちに行こうか。

長崎:足跡を見ると、みんな階段を上ったみたいだな。

宮下:ターちゃん。会談を行こ。

 チャンポン達は階段を登った。もちろん不気味な声もした。

不気味な声:1.2.3.

宮下:ターちゃん。変な声聞こえるね。

不気味な声:4,5,6,7、

増田:これって、美子さんが言ってた十二段しかない会談が十三段になってるってやつじゃない?

不気味な声:8,9,10、

長崎:美華ちゃん。ちょっと遊んでみようか。

宮下:うん。

不気味な声:11,10,9,8,9,10、

宮下:あはは。この声おもしろーい。

 そう、チャンポンと美華ちゃんは階段を登ったり、降りたりして不気味な声を使って遊んでいた。

増田:ターちゃん。美華、何やってるのよ。

小山:そうよ。早く先に行こうよ。

宮下:そうね。雪絵は重いし、

小山:美華。一言多い。

宮下:雪絵。おぶってあげてるのよ。文句ある?ここに置いて行こうか。

小山:え、あ、どうもすいません。

宮下:わかればよし。

不気味な声:12,13、

増田:ターちゃん。13段あったよ。不気味よね。

長崎:最初っから13段あったんじゃないの?

宮下:そうね。ターちゃん頭いい。

 チャンポン達は簡単に階段をクリアした。

長崎:さあ、次は何がくるんだろ。

宮下:あ、私たちが前からやってくる。

増田:本当だ。

小山:ターちゃん。怖いよう。

長崎:でも鏡じゃないかい。

宮下:美子さんもいろいろ考えるね。

長崎:ネタがばれたらたいした事ないなあ。

増田:そういうことないよ。十分怖いよ。

小山:そうよ。腰を抜かしてる私たちは何なのよ。

長崎:ん?なんか朕は息苦しいなあ。

宮下:私も。・・・・・・。あれ?雪絵。首絞めないでよ。

小山:え?私締めてないよ。

宮下:だって、鏡が・・・・・・。

 鏡には友子ちゃんがチャンポンの、雪絵ちゃんが美華ちゃんの首を絞めているように映っていた。

長崎:これは不思議だなあ。

宮下:ターちゃん。あっちの休憩所から気配がするよ。

長崎:もしかして、そいつらのせいじゃないか。

宮下:そうね。きっとそうよ。

長崎:じゃあ、朕が殴りこみに行くぞ。

宮下:さすがターちゃん。かっこいい。

 チャンポン達は休憩所に走って進んだ。

長崎:そこにいる逆賊の輩よ。朕が成敗してくれる。

助平:チャンポン。お前何言ってるんだ?

長崎:なぬ。お主は助に似た霊か。いや、みんなの亡霊も見える。

助平:おいおい。チャンポン。全員本物だ。

川村:チャンポンはおかしくなったみたいだね。

長崎:みんな。冗談だよ。冗談。

 美華ちゃん軍団はみんなの顔を見てホッとしていたみたいだった。


助平:本当か?

宮下:それより皆さん。何でここにいるんですか。

名取:チャンポンを待っていたのよ。

長崎:なんで朕を。

助平:俺はチャンポンの反応が見たかっただけだ。今のもチャンポンらしくて面白かったぜ。完全にイってたよな。

川村:そうよね。

長崎:そうだ。朕は本当にいってたんだ。あの世に。だから、今の朕は亡霊だ。

名取:え?マジ。

助平:そんなわけねえだろ。驚かそうとしたって無駄だぜ。

 助も冷や汗をかいていた。

長崎:そのわりには愛ちゃんは足がガクガクしてるけど。

川村:チャンポン。そんな事言わないでよ。

長崎:いがいと愛ちゃんは怖がりなんだな。

助平:いや、今までのは俺も正直美子ちゃん凄すぎだと思ったぜ。

阿曽部:まあ、とにかく、チャンポンも来たことだし、先に進もうよ。

助平:そうだな。じゃあ、みんな行くぞ。

 僕たち10人は共に先に進んだんだ。

川村:今度は絵がたくさんあるね。

 そう。今度は、いろんな絵が額縁におさまっているものが、たくさんあったんだ。

名取:これは助が好きそうな絵ね。

助平:ヌードだからか。

朝霧:これはモナリザだね。

川村:本当だ。モナリザだ。・・・・・・。ん?

 愛ちゃんはモナリザの絵の異変に気がついた。

川村:きゃーっ。

助平:どうした愛ちゃん。

川村:今、絵が動いた。口がニヤッとしてたよ。

名取:あ、さっきの絵、ヌードだったのに、服を着ている。

朝霧:これって何?

秋山:こっちは釣りをしている絵だけど、釣り竿が動いてるよ。

助平:どれ。俺にも見せろ。・・・・・・。ん?何か釣ったみたいだ。

 絵の中の釣りをしている人が何かを釣った。

川村:きゃーっ。

助平:おい。骸骨を釣ったぜ。

秋山:こわ・・・・・。ぞっとするなあ。

長崎:これらは実は単なるアニメーションなんじゃないか。

助平:なるほど、やっぱチャンポンはおもしれーなあ。

名取:そうね。チャンポンを待ったのは正解ね。

川村:そうよね。アニメーションよね。

宮下:ねえ、ターちゃん。こっちの絵、少し変だよ。

長崎:美華ちゃん。どうした。

宮下:この魚の絵、何か変。

 美華ちゃんが見ている絵は、胴体が骨骨の絵だった。その魚には歯もあった。

助平:変な絵だなあ。こんなの書いてどうするんだ?

名取:みんな、この絵、なんか飛び出そうとしているわよ。

助平:んなことはねえよ。・・・・・・。げ、なに?

川村:きゃーっ。

 なんと、絵の中の魚が飛び出したんだ。さらに口を大きく開けて、目を光らせていた。

名取:清彦君。もしかして、私たちを食べようとしていない?

秋山:助。ここは走って逃げよう。

助平:そうだな。よし、みんな、ここは走って逃げるぞ。

 みんな、前に走った。だけど、その魚は後ろから口を空けたまま追いかけて来たんだ。

助平:なに?

増田:きゃあ。

小山:あ、友子。

 友子ちゃんが、ここで転んだ。

川村:あ、友子ちゃん、食べられる。

長崎:よし、朕に任せろ。とっておきの技を披露してやる。

 チャンポンが変な構えをしていた。だけど、それは見たことのある構えだった。

長崎:か・・・・・・。め・・・・・・。

助平:おい、チャンポン。いいかげんにしろ。

長崎:は・・・・・・。め・・・・・・。

 すると、チャンポンの手が光った。

助平:なに?もしかして、チャンポン。本当にできるのか。

長崎:波ーっ。

 なんと、チャンポンの手が光が出て、その光は魚に向けられた。すると、驚いたことに、魚の現像が消えた。

宮下:きゃーっ。ターちゃんかっこいい。

助平:おいおい。これはマジか。

名取:でも、今の光は懐中電灯だったりして。

長崎:おーっ。さすが静香ちゃん。バレたか。

阿曽部:なんだ。懐中電灯か。・・・・・・っておい、じゃあ、何で魚の幻像が消えたんだ?

秋山:まあ、それはともかく、先に進もうよ。

助平:そうだな。でも、チャンポンはやっぱおもしれーよな。

 僕たちはさらに先に進んだ。この先もいろいろ仕掛けがあったけど、みんなで歩けば怖くないということか、何とか切り抜けた。

助平:さあ、次は何がくるかなあ。

川村:助。前の方は霧がかかっているよ。

名取:立て札があるわね。

秋山:立て札になんか書いてあるよ。

 立て札にはこう書いてあった。『この先三途の川』

阿曽部:これって一体・・・・・・。

助平:俺たち、実は、あの世に行こうとしているんだったりしてな。

川村:助。怖いこといわないでよ。

長崎:愛ちゃん。大丈夫だよ。朕は廊下に霧がかかっているだけにしか見えないが。

川村:それもそうね。きっとそうよ。

朝霧:みんな。霧の向こうに誰かいるよ。

助平:げ。手招きしてるぜ。

名取:私、変な声が聞こえてきた。

変な声:おいで・・・。おいで・・・。

 変な声は霧の向こう側にいる人たちの声だった。

川村:助。恐いよ。

名取:でも、前に進むしかないよね。

阿曽部:誰か先に行ったら何かわかるかも。

助平:そっか。阿曽部がいくのか。かっこいいねえ。男らしいねえ。

阿曽部:あの・・・。僕は自分が行くとは言っててないんだけど・・・。

秋山:ここはジャンケンで決めようよ。

名取:私もそれしかないと思う。

助平:そうだな。ジャンケンしかないな。

長崎:ジャンケンしようぜ。

 みんなでジャンケンをした。

ここにいる人全員:ジャーン、ケーン、ポイ。

 じゃんけんはなぜか一回で決まった。負けたのは助だった。

助平:なんでこういう時っていつも俺なんだ?

名取:助はそういうキャラだからじゃないの?

助平:静香ちゃんって美子ちゃんみたいなことを言うねえ。・・・でも、本当に俺一人だけで行くのか?誰かもう一人ついてきてくれないか。

名取:愛が行きたいって。

川村:静香。私、そんなこと言ってないよ。

名取:何言ってるのよ。愛は助の恋人でしょ。当たり前よ。

川村:でも・・・・・・。

名取:愛。愛はかつでしょ。これ、あなたのモチーフでしょ。

川村:静香って、私、悪魔に見えるよ。

名取:私は本当の悪魔は美子だと思うよ。

川村:まあ、そうだけど。

名取:じゃあ、決定ね。

川村:静香の裏切り者。死んだら化けてやるから。

助平:じゃあ、愛ちゃん。一緒に三途の川を渡ろうぜ。

川村:助。私、恐いよ。

助平:じゃあ、手をつなごうか。少しでも落ちつくぞ。

川村:うん。

 助と愛ちゃんは覚悟が決まったみたいだった。

助平:じゃあ、みんな言ってくる。向こうに着いたら「おいで」と言いながら手招きしてやるから。

川村:助。それじゃあ、私たち死にに行くみたいよ。・・・・・・。とにかくみんなじゃあね。

 助と愛ちゃんはやっと歩き出した。僕たちはそこの二人を見守りながら様子を見た。

 十数秒後、助と愛ちゃんの声が聞こえた。

助平:わぁぁぁぁ。

川村:きゃぁぁぁぁ。

 この声の後、助と愛ちゃんは僕たちの視界から消えた。

名取:愛―っ。

秋山:助―っ。

 そして、二人の声も消えた。

名取:どうしよう。みんな。二人ともどっかいっちゃった。

秋山:僕に言われても。

朝霧:二人はどこに行っちゃったんだろう。

阿曽部:僕は下に落ちたように見えたけど。

名取:地獄だったりして。

長崎:いや、いがいと1階だったりして。

 みんな噴き出しそうになった。

名取:チャンポンはこんな時もボケるのね。ある意味すごい。

長崎:そうか。これで朕の名声は3ポイント上がったわけだ。

阿曽部:チャンポンはいつからゲームのキャラになったんだ。

秋山:まあ、とにかくどうしようか。

名取:私は美子が来るまで待とうと思うけど、みんなはどう?

阿曽部:それでいいんじゃない?

 みんな、美子ちゃんが来るまで待つことにした。

 しばらくすると、ランプ持った包帯巻きの男女がやって来た。

阿曽部:誰?

名取:あなたたち何よ。私たちに何の用よ。

 静香ちゃんの声は震えていた。みんなもう観念したみたいだった。

包帯の女:静香ちゃん。声が震えてるよ。

名取:え?この声、もしかして美子?

 美子ちゃんは顔の包帯を取った。

神山:そう。私。隣りは佐々木君。

佐々木:どう。みんな楽しかった?

名取:美子は最後の最後まで私たちを驚かすわね。恐れ入ったよ。

阿曽部:それより美子ちゃん。ゴールはどこ?

神山:三途の川よ。三途の川で溺れたらゴールよ。

名取:言っている意味がわかんないよ。

長崎:ということは、助と愛ちゃんはゴールに行ったってことか。

神山:そうよ。そういう訳だから前に進みましょ。

名取:ちょっと待ってよ。どうやって溺れるの?

神山:うーん。ネタをバラスとね。落とし穴に落ちればいいの。

名取:・・・・・・。美子もこった演出をやるわねえ。凄すぎ。

神山:じゃあ、みんな歩きましょ。

 僕たちは先に進んだ。

神山:ちょっと待って。ここが落とし穴よ。怪我しちゃいけないから一人ずつ落ちてね。一応、下の階にクッションがあるから。

長崎:ということは、助と愛ちゃんは一階に行っただけだったのか。朕の推理は当たりだな。

 みんな、落とし穴に一人ずつ落ちてこの胆試しはようやく終わった。

 一階に行った後、とりあえず元の場所に戻った。

神山:では、胆試しは終わります。みんな楽しかった?

みんな:・・・・・・。

佐々木:まあ、とにかく宿に戻ろうぜ。

みんな:おう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る