第28話 5月4日(金)レボ部の合宿2日目 その2

 昼食を食べ終わった僕たちは、予定である釣りをすることになった。釣りの場所は、旅館から歩いて3分のところにある川である。釣りの担当はチャンポンだったので、チャンポンの説明が始まった。

長崎:えー。これから釣りを行うと思うが、朕は正直何も考えていない。一応さおは6本だから、釣りを行うのは男がやって、女子は自由にしたいが、それでいいか。

佐々木:いいんじゃないか。

秋山:僕もいいと思う。

江藤:おい、ちょっと待て、ただの釣りなんてらしくないんじゃないか。

助平:先生。これでいいんですよ。今日の釣りは。

長崎:じゃあ、これでいい人は手を上げてくれ。

 みんな手を上げた。

長崎:じゃあ、釣りを開始。

 男は魚が釣れそうな所を選んで、適当に釣りを開始した。女子はなにやら集まって話をしていた。吉本先生は江藤先生のところに行っちゃったんだけどね。

名取:みんな集まってもらって悪いね。あ、美子ちゃんたちはチャンポンのところに行っていいよ。

宮下:わかりました。ありがとうございます。友子、雪絵。いくよ。

増田:うん。

小山:わかった。

 美華ちゃん軍団はチャンポンのところへ行った。

川村:静香。話って何。

名取:う、うん。今日の釣りはチャンポンは何かイベントを考えたらしいんだけど、急にやめにしちゃったんだ。

神山:みんなごめんね。実は、私、阿曽部君ふっちゃったんだ。

朝霧:そうなの?

神山:っていうか、実は、佐々木君と昨日、恋人同士になったんだ。

朝霧:なるほど、そういうことね。

名取:そう。みんな気を使わせて悪いね。阿曽部君だけ元気のない中でいつものあの勢いでイベントやったら阿曽部君がかわいそうだからね。

神山:でも、阿曽部君はいいことあるよ。

名取:でも、阿曽部君と同じ思いをもう一人これからすることになると思うんだ。そう。愛か朝ちゃんかどっちか。

川村:そうね。私は、もう助だけになっちゃったからね。

朝霧:そうか。愛ちゃんと一騎討ちか。

名取:これは助には言ってないけど、愛も朝ちゃんも、今、勝負をかけてほしいんだ。レボ部の活動は明日もあるから、明日も愛や朝ちゃんに何かあって気を使うのもなあって思って、どうせ気を使うなら、まとめて今日のこの時間にしたいのよ。それに釣りだから勝負するにはちょうどいいんじゃない?

川村:そうね。わかった。朝ちゃん。二人で助のところに行こうか。

朝霧:そうね。じゃあ、私たちは助平君のところに行きます。みんなじゃあね。

 愛ちゃんと朝ちゃんは助の方に行った。

名取:じゃあ、私は清彦君のところに行きますと言いたいけど、釣りの時間は阿曽部君には清彦君がつくから、私はお邪魔虫なのよね。あ、美子ちゃんは佐々木君のところへ行ってもいいよ。

神山:・・・・・・。みんなごめんね。

名取:何言ってるのよ。こればかりはしょうがないよ。

神山:静香ちゃん。釣りの時間は静香ちゃんといていいかなあ。

名取:え?私、そんなけはないよ。

神山:あ、そうじゃなくて、静香ちゃんって変わってるなあって思って。

名取:そうかなあ。

神山:ちょっと話をしようよ。

名取:うん。そうね。

今日の釣りで、ポイントとなるのはもちろん助が愛ちゃんと朝ちゃんとどっちを選ぶかだ。どっちを釣るんだろ・・・・・・。え?二人は魚じゃないって?すいません。何ページぶりにボケをかましました。

川村:助―っ。

助平:ん?

 助は愛ちゃんの声をするほうを向いた。もちろん朝ちゃんもいた。

助平:あれ?何で愛ちゃんと朝ちゃんが一緒にくるんだ?

川村:これでいいんだよね。朝ちゃん。

朝霧:そうだよね。

助平:はあ。

川村:それより、どう。魚釣れた?

助平:いや、まだ始まったばかりだ。あせっちゃだめだ。

川村:助。隣いい?

朝霧:私も隣いい?

助平:いいけど、二人でどういうつもりだい?

川村:いいから。

助平:そうか。・・・・・・。

三人はしばらく川を眺めていた。強い風が吹いていた。だが、風がやむのと同時に、朝ちゃんと愛ちゃんは口を開いた。

朝霧:助平君。

川村:助。

川村・朝霧:好き。

助平:・・・・・・。なるほど。二人で勝負しに来たんだね。俺がどっちを釣るか。

川村:うん。

助平:そうか。・・・・・・。朝ちゃん。

朝霧:え。私。

助平:いや、朝ちゃんにはごめんねしか言えないんだ。

朝霧:・・・・・・。

助平:俺、愛ちゃんを彼女にしたいんだ。

川村:助。・・・・・・。

助平:でも、朝ちゃん。俺は朝ちゃんも好きだよ。だけど、どっちを釣るかっていったら愛ちゃんなんだ。

朝霧:・・・・・・。助平君。ありがとう。ちゃんと言っててくれて。・・・・・・。悲しいけどすっきりした。じゃあ、愛ちゃんと二人で仲良くね。私、ちょっと他のところに行ってくる。

助平:朝ちゃん。ごめん・・・・・・。そして、ありがとう。

朝霧:うん。

 朝ちゃんは笑顔で去っていった。

助平:・・・・・・。愛ちゃん。これで俺たち恋人同士だね。

川村:うん。・・・・・・。

助平:俺、うれしいけど、・・・・・・、泣きながら愛ちゃんを抱きしめたい。

川村:いいよ。こういうシチュエーションにしちゃったからね。

 助は愛ちゃんを抱きしめた。けど、助の目には涙が溜まっていた。愛ちゃんは目をつぶって抱いていた。

 一方、朝ちゃんは笑顔だったんだけど・・・・・・。

朝霧:静香ちゃん。美子ちゃん。私ふられちゃった。

 朝ちゃんの目から涙が溢れて来た。朝ちゃん自身にも止められないようだった。

名取:うん、うん。私でよかったら抱いていいよ。

朝霧:うん。

 朝ちゃんは静香ちゃんを抱きながら思いっきり泣いていた。

 美子ちゃんも涙が出ていた。そして、静香ちゃんも・・・・・・。


 時間がしばらく経った。

秋山:だいぶ時間が経ったけど、みんな釣れたかなあ。

阿曽部:そうだなあ、どうだろう。

 そこに静香ちゃんの声がした。静香ちゃんがこっちに来たんだ。

名取:清彦くーん。阿曽部君。どう。釣れた?

秋山:いや、僕は全然。

阿曽部:僕もだめだよ。あれ?朝ちゃんも来たの。

 そう、静香ちゃんと一緒に朝ちゃんも来ていた。

朝霧:おはよう清彦君。阿曽部君。

秋山:あ、朝ちゃん。

名取:どう?全然だめみたいね。

秋山:まあね。あ、そうそう。二人ともここでゆっくりしていかない?

名取:え?いいわよ。朝ちゃんもいいよね。

朝霧:うん。いいよ。

 僕たち4人は釣りをしながら話をしていた。阿曽部にも朝ちゃんにも笑顔が戻っていたけど・・・・・・。

 しばらく経って、夕日が落ちそうなので、帰る時間になった。元の場所にみんな集まった。

長崎:どうだ、みんな。魚は釣れたか。朕は11匹も釣ったぞ。

宮下:でも、ターちゃんは足もつったんだよね。

長崎:美華ちゃん。余計なことは言わないの。

川村:あはは。

長崎:それより、みんなは?

助平:俺は全然だめ。つれない気分だったんだ。深い意味はあるが、受け流してくれ。

佐々木:俺は2匹だった。

秋山:僕と阿曽部はゼロ。

江藤:なんだ?みんな全然釣れてないじゃないか。俺は5匹だぞ。

助平:じゃあ、チャンピョンはチャンポンか。

長崎:そのとおりだ。チャンピョンとチャンポンは同じチャンだからな。

助平:意味わかんねーよ。

名取:じゃあ、みんな、旅館に戻ろ。

長崎:そうだね。

神山:あ、みんな、今夜に肝試しは本格的よ。心の準備をしといて。

佐々木:そっか。美子ちゃんが担当だったね。

神山:場所は旅館の隣の廃墟と化した旅館ね。期待しててね。

名取:じゃあ、旅館で夕食を食べましょ。

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