第27話 5月4日(金)レボ部の合宿2日目 その1

 さあ、今日も朝が始まった。今日は朝っぱらから話しが始まるんだ。

 佐々木が部屋を出て、廊下に出たときに、愛ちゃんにばったり会ったところから始まり。

川村:あ、佐々木君。

佐々木:愛ちゃん。

 二人は一瞬動きが止まったけど、佐々木が話し始めた。

佐々木:俺、昨日彼女ができた。美子ちゃんと付き合うんだ。

川村:・・・・・・。ふーん。そうなんだ。よかったね。美子ちゃんも、佐々木君も。

佐々木:・・・・・・。愛ちゃんは助とは恋人関係にはならないの?

川村:昨日は助と二人で屋上にいたんだ。いい雰囲気だったんだけど。・・・・・。でも、もう、私は迷う理由はなくなったけどね。

佐々木:愛ちゃん。・・・・・・。頑張ってね。

川村:うん。

 朝食を食べてから今日の午前の活動が始まった。これが本当の合宿のメインなんだけどね。

佐々木:じゃあ、みんな席についたか。あれ?チャンポンは?

助平:チャンポンはこういう時も遅刻するのかい。

名取:でも、待つしかないよね。

 しばらくしてチャンポンが来た。

長崎:いやあ、みんなごめん。朕は麦茶を飲みながら会議をやるのもいいと思って、旅館の人にサービスで麦茶をもらってきたぜ。

佐々木:おっ。チャンポン。気が利くねえ。

宮下:きゃー。さすがターちゃん。最高。

長崎:あれ?美華ちゃん達もいるの?

宮下:だって、私たち3人っていうのも退屈なんだもん。

長崎:佐々木。いいのか。

佐々木:いいんじゃないか。

 麦茶はみんなに配られ、先生も参加する中、会議は始まった。

佐々木:では、これから会議を始めます。内容は、これからレボ部はどうあるべきか、どう活動するべきかを、改めて考え、決めようじゃないかというものです。青年よ、大志を抱け。と、クラーク博士も言っています。これからの人生を考えて、今しかできないことをやろうじゃないかというものです。つまり、今から大きな視点を持とうじゃないかということです。これが今回、この会議のスローガンです。これをふまえて、これからの活動は何をしようかということを決めたいと思います。では、みんな、やりたいことを言ってください。

川村:はい。

 まずは愛ちゃんが手を上げた。

佐々木:はい。愛ちゃん。

川村:私は、この世に恵まれない人がたくさんいると思います。よって、そういう人たちを助けることをしたいと思います。

佐々木:はい。わかりました。あとは何かある?

阿曽部:僕は、今しかできないことは、やっぱり勉強だと思う。ただ、勉強といっても、受験勉強以外に、今、大人がしていることを学んで、時代を先取りしたいと思う。

朝霧:へえー。阿曽部君。そんなこと考えてたんだ。かっこいい。

佐々木:他にはないか?

名取:はい。

佐々木:静香ちゃん。

名取:私も、社会のためにできることもやりたいと思う。だけど、私たちは高校生だから、できる範囲は限られていると思う。だけど、佐々木君たちなんかは、いきなり大きなことをしたいように思うけど、私は小さなことからコツコツやるのも重要だと思う。

佐々木:静香ちゃんありがとう。他にはない?

助平:佐々木。俺は今ので具体的なものを思いついているんだが、まだ早いか。

佐々木:そうだなあ、まずはレボ部の方向を考えていたんだが、一応方向を考えるにはいいと思う。どうぞ言ってくれ。

助平:ズバリ、幸せとは何か、ということを考えて、それをテーマにみんな考えてもらいたいと思う。もちろん、みんなっていうのは、ここにいる人たちだけじゃなく、クラスのみんなや学校のみんなにもだ。つまり、こういうことをまとめて発表会をやることだ。

佐々木:助。さすがだねえ。発表会っていう発想もいい。

神山:私も占いやってて思うけど、今の人が望んでいるのはやっぱり幸せだけど、幸せは道があって初めて幸せになると思う。まずは道よね。助が言っていたことの道は発表会だね。私も賛成。そして、もう一つの案だけど、展示も結構いいんじゃないかと思う。

佐々木:なるほど・・・・・・。他にはない?

長崎:チンは今の時代に足らないものはなんだろうと考える。人が求めているものは幸せ。そして、幸せを作る源は満足。満足は喜びを得たいときに感じるものだと思う。要は、いかに自分も他人も喜べるものを形にできるかということだと思う。そこの視点も大事だと思う。

佐々木:なるほど。他にはない?

秋山:僕は、今、社会問題になっているものをちゃんと自分たちで分析したい、見極めたいと思う。例えば環境問題とか。

佐々木:なるほど。後はない?そう言えば、朝ちゃんは?

朝霧;うん。私は自分のテーマが、明るく楽しく、元気良くだから、そういうことはあまり考えていなかったけど・・・・・・。

阿曽部:朝ちゃんは、今、一番いい事を言ってるんだよ。明るく楽しく元気良くじゃなければ人は幸福にはなれないし、喜びも得られない。朝ちゃんが言ったテーマは難しく言ったみんなの言葉を簡単に表現しているんだよ。

朝霧:・・・・・・。阿曽部君ありがとう。

佐々木:まあ、そういうことで。で、あと言ってないのは俺だけか。

名取:それもそうね。

佐々木:でも言いたいことはみんなが言ってしまったからなあ。

助平:お、お決まりの代名詞が来た。

長崎:で、ここで決めるのが佐々木なんだよな。

佐々木:チャンポン。あまり持ち上げないでくれ。・・・って言ってもしょうがないので言おう。俺もみんなが言っていることは賛成で、実行したい。みんな、気持ちと表現したいことがかみ合っていると思う。では、実際何からはじめるか、そこを考えたいと思う。そう。兵法で大事なのは信念、そして、そこから生まれる方法と手段がかみ合っているかどうかだ。今みんなの言ったことをまとめると、信念の基になるものは幸福で、サブテーマは、明るく楽しく元気よく、ということで、手段は発表会や展示ということになる。それに俺は自分たちでこういうのを表現したビデオや音楽、演劇もあっていいと思うが、いかがか?

助平:おっ。さすが佐々木だなあ。兵法を持ってくるのが渋い。

長崎:なるほど、それはいいなあ。大筋はこれで決まりじゃないか。

川村:そうね。後は方法と手段だね。

名取:佐々木君。次は具体的なものに入ってもいいんじゃない?

佐々木:そうだなあ。みんなこれでいい?これでいい人は手を上げて。

 みんな手を上げた。

佐々木:じゃあ、次は実際に何をやるかに移りたいと思う。さっき出た中では、展示、発表会、ビデオ、音楽、演劇という活動がある。みんなどれやりたい?

川村:私はどれもやりたいと思うけど・・・・・・

助平:テーマを表現するには、題材を何にするかを決めたほうがいいんじゃないか。

佐々木:それもそうだなあ。

秋山:僕はテーマに上がっている、幸福とは何かということをまず発表会としてやりたいなあ。そしたら先が見えるんじゃないか。

佐々木:それもいいが。

名取:発表会としてやるんなら、学校の生徒の人にも参加してもらおうと意味が大きなものになると思うよ。

助平:そりゃそうだ。でも、ついでなら、PTAの人や、近所の人にも聞いてもらいたいわねえ。

川村:助。それいいね。

阿曽部:僕も賛成。

神山:私もいいと思う。

佐々木:じゃあ、5月の次の週の週末は発表会にするか。

川村:賛成。

江藤:ちょっと待て。お前ら発表会をたった一週間でやるのか。テーマが幸福っていうのはいいが、俺もこの年でもよくわかってないんだぞ。一週間で考えがまとまるのか。

助平:俺は大丈夫ですよ。要は自分に問いかけるんですよ。本能でわかっていることを表現するんですよ。

江藤:そんなに簡単にできるものなのか。俺はそんな高校生、しかも1年生でまだ一ヶ月しか学校に通っていない者でできる奴にあったことがない。

朝霧:でも、ここには9人もいたりして。

江藤:本当に大丈夫なんだろうなあ。

佐々木:任せてください。ただ、一人2・3分が限度だと思いますけど。

江藤:そりゃそうだ。そうでなきゃ恐い。

吉本:でも、私はそういうのは結構好きよ。みんながんばってね。

長崎:はーい。

佐々木:と、いうわけで、5月に7日(月)~10日(木)まで幸福について独自に考えて、11日(金)に発表会でみんなO.K?

名取:佐々木君、ちょっと待って。宣伝を忘れてない?

佐々木:あ、忘れてた。じゃあ、7日に宣伝に必要なビラを作って、8日、9日でみんなで宣伝するか。

長崎:朕はそれでいい。

助平:俺もそれでいいんじゃないかと思う。

神山:私も。

江藤:ちょっと待て。お前ら決めるの早すぎないか。

川村:でも、納得のいく結論が出てるので、私はいいと思います。

江藤:恐ろしい速さだなあ。

佐々木:では、5月12日以降の活動を決めようと思うが、その次は何したい?

名取:佐々木君。5月14日(月)からは、中間テストの一週間前で、クラブ活動はテストまで停止よ。

佐々木:あ、そうか。じゃあ、12日(土)と13日(日)には何をするか決めるか。

江藤:佐々木。おまえ、土日の休みも活動する気か。

佐々木:俺はみんなといるほうが楽しいし、みんなやる気でいるし。

江藤:みんな本当にやる気か。

川村:そうですよ。

朝霧:その通りなんです。

江藤:わ、わかった。

佐々木:じゃあ、決めるとすると、俺は正直言うと、この日はみんな息抜きしたくなると思う。だから、楽しいイベントでもやりたいと思っているが。

江藤:イベントって大変だぞ。息抜きどころじゃないんじゃないか。

長崎:朕はお笑いコントをやりたい。

助平:そうだな。俺もどうせなら息抜きするならそれをしたい。

阿曽部:僕もそう思っていたところ。

江藤:お笑いはおまえらが毎回やっていることか。

秋山:お客さんも呼ぼうよ。

江藤:なに、そこまでするのか。

名取:あの、先生、少し控えてください。

江藤:あ、すまん。

佐々木:というわけだが、土、日は、土曜に宣伝して、日曜にコントをするそれでいい?

名取:佐々木君。発表会の宣伝のときに、ついでにコントの宣伝もしようよ。そうしたら効率がいいわよ。

佐々木:なるほど。じゃあ、みんな、今の静香ちゃんの意見で決まりにしたいと思うけど、それでいい?

レボ部全員:ウィーす。

佐々木:それじゃあ、決まり。では、中間テスト後はなにをしようか。まだ時間がぜんぜんあるから、今は方向だけでも決めたいと思う。何かいい案ない?

川村:私、ビデオやりたいなあ。ドラマを作りたいの。

助平:それは、俺もそう思うけど、それは夏休みにみんなで作ったほうが、いいものができるんじゃないか。ドラマはあせって創るものじゃないと思うんだが。

川村:そうだね。私はただドラマはやりたいから、夏休みでもいいよ。

佐々木:じゃあ、先に夏休みにドラマをみんなでやろうという案が出たが、みんなどう?

朝霧:私、賛成。

神山:私も。

 結局みんな賛成だった。

佐々木:それじゃあ、夏休みはドラマ作成だね。夏休みはそれでいい人は手を上げて。

 全員手を上げた。

佐々木:じゃあ、中間テスト後の予定が決まる前に、夏休みの予定が決まったが、テスト後の活動はなににするか、大筋だけは今、決めようと思う。誰か意見ある?

名取:そういえば、6月の真ん中に、校内の主張大会があるよね。それに参加しようよ。

長崎:そりゃいいなあ。朕も賛成じゃ。

川村:それは学校の生徒会が公示するんでしょ。公示するまでテーマがわからないから準備のしようがないね。

佐々木:あ、それなら、公示は5月の15日に掲示板に載せるって生徒会の人が言ってた。

朝霧:じゃあ、そのとき決めればいいね。

佐々木:そうだね。それなら今決めることは、主張大会に参加するかどうかだ。一応、レボ部は参加の方向だがみんなどう?

川村:私は参加するほうに賛成。

阿曽部:僕も。

佐々木:じゃあ、それでいい人は手を挙げて。

 みんな手を上げた。

佐々木:じゃあ、決定。主張大会をやるといっても時間がある。他の日はなにをしようか。

名取:佐々木君。主張大会の方がはっきりしていないから、日程までは決めるのは無理だと思うから、やりたい事を挙げとくだけでいいんじゃない?わかってから決めても遅くはないわよ。

川村:私もそう思う。

秋山:それなら、中間テストが終わった日に、また会議をやって決めればいいんじゃない?

助平:それもそうだなあ。佐々木。それでいこうぜ。

佐々木:ああ。じゃあ、中間テスト後の活動の日程は、テストの最終日に決めて、今はやりたいことだけを決めよう。俺の予想では、主張大会もあるから、1,2、種類のことしかできないと思うけど、みんなはどう思う?

川村:私も、そんなもんだと思う。

阿曽部:僕もそう思う。

名取:佐々木君。今は一つだけ決めることにして、時間があったら後で増やせばいいんじゃない?

佐々木:そうだなあ。よしそうしよう。みんなそれでいい?いい人は手を上げて。

 みんな手を上げた。

佐々木:よし。じゃあ。その一つをみんな何をしたい?

阿曽部:僕は主張大会があるから、あまり派手な活動じゃなくてもいいと思うけど。

名取:私は主張大会につながるものをやりたいと思う。

秋山:僕もそう思う。主張大会に述べることと活動がつながっていたほうが効率的でいいんじゃない?

助平:だが、そんな都合のいいものがあるのか?それに、だいいち主張大会のテーマは発表されてないぜ。

長崎:そうだなあ。だが、主張大会の題材になるものといったらやっぱり本や雑誌、新聞だから、それ関係のものでどうだ?

神山:読書感想かいってどう。自分が読んだ本の発表会。それなら主張大会に関連した本を読んで、発表することができるけど。

佐々木:おっ。それはいいねえ。自分が読んだ本の発表会か。

助平:じゃあ、それで決定だな。

佐々木:それじゃあ、中間テストの後のもう一つの活動は読書感想会でいい?いい人は手を上げて。

 みんな手を上げた。

佐々木:じゃあ、決定。では、読書感想会の内容を決めようと思う。内容は、発表する本は一冊に絞ってそれをみんな読んで感想を言いあうか、1人ずつ違う本を読んで1人ずつみんなにそれぞれの感想を発表するか、どっちがいい?

川村:あっ。そうか。そう考えると読書感想会って二種類考えられるね。

長崎:朕は片方だけじゃつまらんから両方やりたい。

佐々木:チャンポン。どういうことだ?

長崎:つまり、別々に発表する方の本を一冊それぞれ読んで、みんなが共通して読む本が一つあって、あわせて二冊読んでやるってどうかい。やっぱり、全員が読んだ本について感想を言い合うのがないとつまらんし、別々に呼んで自分が読んでない本を人に発表してもらうのもいいと思うけど、どう?

佐々木:チャンポン。それいいなあ。そうしようか、みんな。

朝霧:私は賛成。

川村:私も。

佐々木:じゃあ、チャンポンの案でいい人手を上げて。

 みんな手を上げた。

佐々木:じゃあ、決定。というわけで、俺が今日決めたいと思ったことは全部決まったので、・・・・・・。みんな、何か決めたいことはある?

名取:私はない。

助平:俺も。

佐々木:困ったなあ。俺はこんなに早く決まると思わなかったから。

助平:じゃあ、会議は終わりでいいじゃんか。

阿曽部:僕もそれでいい。

佐々木:じゃあ、終了後は何をしようか。

助平:解散して自由時間にしたら。

佐々木:そうだな。じゃあ、みんな解散。

 レボ部は解散した。その後はみんなは自分の思うように動いた。

まずは廊下で佐々木は助に話しかけていた。

佐々木:助。愛ちゃんのことだけど。

助平:俺もそのことを言おうとしていたが。

佐々木:いや、愛ちゃんは助に任せた。

助平:は?

佐々木:俺は美子ちゃんを昨日、彼女にしたんだ。だから・・・・・・。

助平:お、そうか。・・・・・・。いや、わざわざサンキュー。・・・・・・。これ以上は深くは言わんし、聞かんから安心してくれ。それより、佐々木、卓球やらねーか。

佐々木:いいなあ。じゃあやろう。

 一方、食堂に阿曽部は美子ちゃんを呼び出していた。

阿曽部:美子ちゃん。僕の呼びかけに答えてくれてありがとう。

神山:うん。だけど、答えられるのはここまでなの。私、昨日、佐々木君とつき合うことになったんだ。だから、今は恋人関係。

阿曽部:え?いつの間に・・・・・・。

神山:阿曽部君ごめんね。

阿曽部:ううん。いや、これだけはしょうがないよ。佐々木と仲良くな。

 阿曽部はそうとう肩を落としていた。

神山:阿曽部君。ここでがっかりさせちゃったけど・・・・・・。今、阿曽部君に近づいている女の子はいるよ。その子も自分にはまだ気づいてないけど、その子と阿曽部君は今、もの凄く近いよ。そのこの方が私よりもぜんぜん相性はいいから。

阿曽部:ありがとう。でも、そんな気は使わなくても大丈夫だから。・・・・・・。僕、ちょっと一人でその辺を散歩するよ。じゃあ。

 阿曽部は一人で散歩しにいった。その阿曽部と僕と静香ちゃんはばったり会った。

秋山:阿曽部、どうしたの?

阿曽部:僕、美子ちゃんにふられたんだ。強引にいこうとしたけど、もう佐々木と恋人同士なんだって。だから何もできなかった。

 阿曽部の目から涙が出ていた。

名取:・・・・・・。阿曽部君、あそこの椅子に座りましょ。昼飯まで私がつきあってあげる。

 僕は一人にしてあげたほうがいいと思ったんだけど、静香ちゃんは阿曽部の気をまぎらしてあげようと考えていたみたいだった。

 僕たち三人は机をはさんで椅子に座った。

阿曽部:僕。この学校に入ってから、ずっと美子ちゃんが好きだったんだ。

名取:うん。わかってる。

阿曽部:でもしょうがないよね。彼氏いるもんね。・・・・・・。

名取:そうだ。何か飲みたいものある?

阿曽部:お茶。

名取:ちょっと待ってね。今、持ってくる。

 静香ちゃんはお茶を買いにいった。

秋山:阿曽部、本当は一人になりたいのにごめんな。

阿曽部:いいよ別に。静香ちゃんが気を使ってくれてるからな。・・・・・・。清彦もいい彼女がいるよな。羨ましいよ。

秋山:うん。・・・・・・。でも、阿曽部もそのうち、いい子ができるよ。もう近くにいるのかもしれないよ。

阿曽部:清彦も美子ちゃんと同じことを言うんだな。そういう子が本当に僕の近くにいるのか。・・・・・・。でも、今はその事は考えさせないでくれ。

秋山:ご、ごめん。

 僕と阿曽部は空を見ていた。空は晴れていた。白い雲がいろんな形を変えながら動いていた。

 しばらくして、静香ちゃんが3人分のお茶のペットボトルを持ってきた。

名取:はい。清彦君に阿曽部君。

秋山:あ、僕はよかったのに、・・・。ありがとう。

阿曽部:静香ちゃんありがとう。

 3人は雲を眺めていた。

阿曽部:ねえ。二人とも、知ってる?雲って、時々、自分の心理を表すことがあるんだって。僕は、あの雲が美子ちゃんに見えるよ。いや、その隣の雲も、いや、下の雲も、上の雲もそう。・・・・・・。

 しばらく3人は一言もしゃべらず、雲を見た。こういうときは何も考えないほうがいい。これが三人の結論だった。

 他の人は、この自由時間は適当に過ごしていた。

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