第26話 5月3日(木)レボ部の合宿1日目その2

用意は簡単だった。宿の人から鉄板を借りて、手ごろな石を適当に持ってきて、鉄板が置けるようにつんで、火は薪で焚いて、ご飯は出来上がったご飯を宿の人が電気釜に入れてまま持ってきてくれたんだ。

名取:それじゃあ、バーベキュー大会を始めますが・・・。

秋山:ただバーベキュー大会をやるだけじゃ面白くないので、

名取:バーベキューをしながら、演技をします。演技のテーマは家庭。そう、夫婦ごっこバーベキュー大会ということ。

助平:なんだそりゃ。

川村:私、まだイメージわかない。

神山:例を見せてよ。

名取:わかったわ。清彦君。O.K.?

秋山:ぼくはいつでもO.K..だよ。

 僕と静香ちゃんは夫婦ごっこをしだした。

秋山:ただいまー。

名取:おかえり。あなた。今日は焼肉よ。

秋山:おお。そうか。うまそうだなあ。

名取:あなた。今日は奮発したよ。

秋山:給料は少ないんだけどなあ。

名取:それは大丈夫よ。みんな値切ってきたから。

秋山:さすが。それでこそ我が妻。

名取:あなた。そこに座って。

秋山:おう。

名取:はい。あーんして。

秋山:あーん。・・・・・・。おいしい。

 ここで僕と静香ちゃんの仮の演技が終わった。

名取:どう。こんな感じ。

助平:どうって、それって、お前らの仲を俺たちに見せ付けただけじゃねーか。

川村:でも、それって面白そう。

長崎:で、相手は誰と組むかが問題だよな。

阿曽部:そうだよな。静香ちゃん。本当は僕たちを困らせたいんじゃない?

名取:違うわよ。だって、みんな合宿で勝負するんでしょ。その手助けをしてあげてるだけじゃない。

川村:静香も口がうまくなったね。

名取:愛ほどじゃないわよ。だけどちゃんといいルール考えたから。ね。清彦君。

秋山:そういうこと。組み合わせはまずは第一希望の人を書いてね。

増田:ちょっと待って。私と雪絵は希望する人はいないからどうしたらいいの?

名取:そうね。どうしようか。

小山:あ、私たち二人は子役をやります。

秋山:じゃあ、友子ちゃんと雪絵ちゃんはこれで決定。というわけで、まず、みんな、第一希望を書いて。

 みんなコンビを組みたい第一希望を書いた。もちろん、一番注目視されるのは愛ちゃんだね。なぜって?だって愛ちゃんは、今二人に思われて揺れているからね。そう説明しているうちに、みんな第一希望を紙に書いて回収した。

名取:えー。では発表します。第一希望を書いて二人とも同じだったのだけ発表します。まずは、愛と助。

みんな:おーっ。

佐々木:ちょっと、それは何かの間違いじゃないんかい。

川村:佐々木君。ごめーん。10ポイント差で助なのよ。

名取:まあ、まあ、あくまでも、これは恋人を決めるわけじゃないから、おままごとのパートナーだからもっと軽い気分でやろうよ。

秋山:まっ。そういうわけで、次は僕と静香ちゃん。

名取:きゃー。清彦君って私なんだ。感激。

川村:静香。わざとらしいよ。

みんな:ブーブーブーブーブーブー。

秋山:みんな。ブーブー言ってると車になっちゃうよ。ということで、あともう一組。

佐々木:そうなんだ。そこが盲点なんだ。そう。三つ目のコンビは江藤先生と吉本先生。

みんな:おーっ。

長崎:清彦。これって何かの間違いじゃない?

吉本:長崎君ごめんね。でも、長崎君にはちゃんといい子がいるから頑張って。

名取:というわけで、残った人は残った人の中で希望の人を書いて。

 そして、残った人は残りの人で一番いい人を書いた。

秋山:では決まったコンビを発表します。まずは佐々木君と美子ちゃん。

みんな:おーっ。

秋山:そしてもう一組。チャンポンと美華ちゃん。

宮下:きゃーっ。ターちゃん。私は2番目なんだ。嬉しい。

名取:では残った人は残った人の中で希望の人を書いて。

阿曽部:静香ちゃん。残りは僕と朝ちゃんだけなんだけど・・・・・・。

秋山:じゃあ、阿曽部と朝ちゃんコンビで決定だね。

朝霧:阿曽部君。私たち慰めながら生きようね。

阿曽部:そうだね。・・・・・・っていっても、朝ちゃんも悪くないよ。

名取:というわけで、みんなめでたく決定ね。では、

川村:でも、静香も考えたよね。これでいくと、静香は必ず清彦君とコンビになるからね。

名取:まあ、そう言わず、とにかく始めましょう。

秋山:次は順番を決めましょう。これはくじ引きで文句無いよね。

 くじ引きの結果はこうなった。

 1組目は助と愛ちゃん。

 2組目は佐々木と美子ちゃん。

 3組目はチャンポンと美華ちゃんと子役の友子ちゃんと雪絵ちゃん。

 4組目は僕と静香ちゃん。

 5組目は阿曽部と朝ちゃん。

 6組目は江藤先生と吉本先生。

 で、材料を一人分にそれぞれ分けた後、出来上がったものを食べながら夫婦ごっこバーベキュー大会が始まった。

名取:最初は助と愛ね。

助平:じゃあいきます。

 助と愛ちゃんコンビの夫婦ごっこが始まった。

助平:ただいま。愛ちゃん、今日のご飯は何?

川村:今日は焼肉よ。

助平:おうそうか。ご飯はもう出来ているのか。

川村:そうよ。はいここに座って。

 助は座った。

川村:はい。あーんして。

助平:あーん。・・・・・・あちっ。

川村:あれ、熱かった?ごめん。

助平:まあ、大丈夫だよ。

川村:本当?一応ちょっと口の中をみせて。

 助は口を大きく開けた。

川村:えっと。Eあり、Cあり、Eあり、Cあり、Eあり、Cあり。

助平:愛ちゃん。舌を見るんじゃなかったの?歯を見てどうするんだい。

川村:てへ?間違えちゃった。

助平:普通間違えるか。おい。

川村:しょうがないから、もう一回あーんして。

助平:あーん。

川村:あなたちょっと待ってね。

 愛ちゃんは焼肉に息をフーフーかけていた。どうやら肉を冷ましているという演技のようだ。

助平:愛ちゃん。口開けっ放しで疲れたんだけど・・・・・・。でも幸せ。

川村:そろそろいいから口に入れるよ。

助平:おう。

 助は肉を食べた。

助平:美味いね。この肉。この牛肉どこで買ったの?

川村:肉屋よ。

助平:・・・・・・。そりゃそうだな。牛肉が魚屋で売ってるわけないもんな。まあ、それはいいとして、今度は愛ちゃんがあーんして。

川村:はい。あーん。

 助は愛ちゃんの口にキャベツを入れた。

川村:あの・・・・・・。私、肉が食べたかったんだけど・・・・・・。何でキャベツなのよ。

助平:キャベツは胃にいいんだよ。肉食べると太るよ。

川村:もういい。自分で食べる。

助平:あ、愛ちゃん怒んないで、ジョークだから。

川村:怒ってないよ。私はボケと突っ込みに一生懸命なのよ。わかる?この私の切ない気持ち。

助平:なんで切ないんだい?ボケと突っ込みがそんなに恋しいの?

川村:そんなこと言うと、今日は夜のサービスしてあげない。

助平:あ。ウソ。冗談っていっても合宿じゃ無理だよな。

川村:助。急に現実に戻らないでよ。

助平:以上だ。みんな。

名取:えーっ。もう終わり?

助平:あの・・・。静香ちゃん。これっていつまでやればいいのかい。終わりが無いじゃん。

名取:そうね。・・・・・・。清彦君。どうしようか。

秋山:時間を決めたら?3分たったら終わりでいいんじゃない?

名取:あ。それいいね。清彦君頭いい。尊敬しちゃう。・・・というわけで、みんなこれでいい?

神山:いいんじゃない?

佐々木:そうだな。3分はとっくに終わっているから助と愛ちゃんはこれで終わりだね。

阿曽部:そう言って、佐々木の本心はこれ以上続けられると辛いんじゃない?

佐々木:いや・・・。その通りだ。悪いか。

阿曽部:別にいいんじゃん。自分に正直で。

名取:まあまあ。ルールも決まったことだし、次は佐々木君と美子だね。

佐々木:よし。美子ちゃん。頑張ろうか。

神山:私。頑張る。

名取:じゃあ、開始。

 佐々木と美子ちゃんの夫婦ごっこが始まった。

佐々木:美子ちゃん、ただいま。魚買って来たよ。

神山:そうね。それじゃあ、今日は焼肉にしましょ。

佐々木:魚買ってきた意味がないんだけど。

神山:今日は占いでは牛肉を食べると運気が上がるのよ。

佐々木:あ、そうだったね。美子ちゃんは占いでその日に食べるのを決めるんだったね。

神山:今日のメニューは運気アップメニューよ。

佐々木:そうか。じゃあ、今日もいい事あるんだね。

神山:そうよ。え?あ、あなた。テレビ見て。

佐々木:ん?当選者発表。佐々木信。・・・・・・。おーっ。当たってる。

神山:どう。凄いでしょ。

佐々木:でも当たったのは俺だけど・・・・・・。

神山:ん?今日の当選者発表はまだ続くよ。ほら。液晶テレビも当たってる。ラッキーだね。

佐々木:おーっ。すげー。

神山:他の番組も見よっか。・・・・・・。あ、あなた。これ見て。

佐々木:おーっ。海外旅行も当たってるー。今日はまるで夢のようだ。

神山:凄いでしょ。私の運気アップメニュー。そういうわけで、明日は納豆ね。

佐々木:・・・・・・。な、納豆か。ちょっとしょぼいなあ。これも運気のためか?

神山:いいえ。お金がないからよ。あ・な・た。

佐々木:すいません。仕事頑張ります。

 そして3分経った。

助平:ほう。佐々木・美子ちゃんコンビはそうきたか。

川村:運気アップメニューなんて面白い発想ね。

名取:アドリブにしては良かったね。というわけで、次はチャンポンチーム。

長崎:そうか。朕の出番か。美華ちゃん。友子ちゃん。雪絵ちゃん。エンジン組むぞ。

 チャンポンチームはエンジン(円陣)を組んで気合を入れた。

長崎・宮下・増田・小山:えい、えい、おー。えい、えい、おー。

助平:なんかこのコンビ、バレーの監督と選手みたいだなあ。

名取:では、チャンポン、準備いい?

長崎:O.K.じゃあ始めよう。

 チャンポンチームの演技が始まった。

長崎:ただいまー。

宮下:お帰り。おなた。今日は風呂にする?食事にする?

長崎:もう飯出来ただろ。朕は食事にする。

宮下:じゃあ、あなた座って。

長崎:じゃあ、今日も食べる前に一発ギャグをやる。・・・・・・。いくぞ。究極のボケを言えって?言えるかボケー。って言ってるじゃねーかおい。

宮下:あなた。よくわかんないけど、面白い。素敵。最高。デリシャス。

長崎:デリシャスって朕は食べ物か。

宮下:それはいいとして。今日の友子と雪絵をしかってよ。

長崎:そうか。友子、雪絵。また母さんの下着を着たのか。

小山:いくらサイズが同じだからってそこまでしないよ。

増田:そうよ。私がおばさんの下着を何でつけなきゃいけないの。

宮下:友子。私たちは同じ小6でしょ。どこがおばさんよ。

小山:美華。現実に戻っちゃ駄目。こっちの世界に戻って。

長崎:で、どうした美華。結局子供たちが何をしたんだ。

宮下:この二人。テストが0点なのよ。困りものよね。

小山:美華―。私、そんなに馬鹿じゃないよ。

宮下:雪絵。現実に戻らないで。そういう設定なんだから。

増田:いやな設定だよね。

長崎:そうか。うちの娘は0点か。誰に似たんだ。

宮下:あなたよ。

長崎:いや、美華じゃないのか。

宮下:いいえ。あなたよ。

長崎:いや。美華だ。

宮下:いいえ。あなたよ。

長崎:いや、絶対美華だ。

宮下:いいえ、絶対あなたよ。

 ここで、3分経った。

名取:3分経ったよ。

秋山:チャンポン。最後の繰り返しは何?

宮下:3分になるまでの時間稼ぎです。ネタが浮かばなかったので。

長崎:そういうことだ。凄いだろ。

江藤:よくそこまで息が合うなあ。俺は長崎と美華ちゃんの仲を認めたくなってきたよ。ねえ。吉本先生。

吉本:そうですね。

川村:美華ちゃんよかったね。

宮下:うん。

長崎:・・・・・・。

名取:えっと、次は、私と清彦君ね。では始めます。


 僕と静香ちゃんコンビの演技が始まった。

秋山:ただいま。静香ちゃん。今日はボーナスもらったよ。それでいいもの買っちゃった。

名取:何買ったの?

秋山:ボーナスでマーボーナス。どうかい?

名取:あなた。すっかりおやじだね。

秋山:まあ、まあ。ちゃんとしたものも買ったよ。はい指輪。

名取:それ、コーラーのプルタブじゃない。

秋山:静香ちゃん。演技なんだからちゃんと指輪のイメージでやってよ。

名取:冗談よ。

秋山:はい、指輪。

名取:きゃー。プルタブみたいな指輪ありがとう。私、嬉しい。

秋山:あの・・・。静香ちゃん。プルタブは忘れてくれないかなあ。

名取:それよりご飯にしようよ。

秋山:そうだね。おっ。今日は焼肉かい。最高だね。

名取:あなた。座って。

秋山:うん。

名取:ではいただきまーす。

秋山:いただきまーす。

 僕と静香ちゃんは焼肉を食べだした。

秋山:うまいなあ。静香ちゃんの愛情が詰まってて嬉しいよ。

名取:そういってもらえると私も嬉しい。あっ。あなたご飯つぶ。

 静香ちゃんは僕のホッペに付いているご飯つぶを取って、自分の口にパクッと食べた。

川村:あっ。静香やりすぎ。

名取:あなた。外野は気にしないで続けましょ。

秋山:そっ。そうだね。

川村:静香。3分経ったよ。終わりよ。

名取:わかったわよ。

 しかし、時計は2分しか経っていなかった。

名取:愛。時間まだじゃん。

川村:もういいよ。ねえ、みんな。

江藤:俺もこれ以上見たくない。

佐々木:俺も。

助平:俺はどっちでもいいが。

神山:でも、私もこの二人から熱々パワーを感じすぎて、ちょっとこの辺でストップって感じ。

名取:美子ちゃんまでそう言うの。

秋山:静香ちゃん。この辺でやめとこうか。アドリブは大変だから。

名取:そうね。この辺でやめてあげようか。

 というわけで、僕と静香ちゃんコンビは時間を待たずに終わった。

名取:次は阿曽部と朝ちゃん。

阿曽部:朝ちゃん。僕たち残り物だけど、残り物には福があるというから頑張ろうね。

朝霧:その阿曽部君のプラス思考はいいね。

名取:それじゃあ、始めて。

 阿曽部と朝ちゃんの夫婦ごっこが始まった。

阿曽部:ただいま。

朝霧:あなた。お風呂にする。それとも食事にする?

阿曽部:お風呂。

朝霧:・・・・・・。あ、まだお風呂沸いてなかった。だから食事にしましょうね。

阿曽部:そうだね。おっ。気がついたら焼肉じゃないか。

朝霧:それは見た通りよ。これがお寿司に見える?

阿曽部:まあ、そんなことより、早く食べようよ。

朝霧:そうね。では2人で仲良くいただきます。

阿曽部:・・・・・・。優香。おいしいよ。

朝霧:そう。嬉しい。あなたのために奮発したのよ。もっとじゃんじゃん食べて。

阿曽部:うん。・・・・・・。そう言えば今日、ものすごく美味いマッサージ屋を見つけたよ。でも優香にはかなわないけど。

朝霧:そうよ。私のマッサージにはスペシャルメニューがあるからね。今日もしてあげようか。高くつくけど。

阿曽部:うーん。たまには割引ってないのかい?1回1万円は高いよ。今日は僕の誕生日の三日前だからさあ。

朝霧:じゃあ、誕生日の当日は安くしてあ・げ・る。

名取:朝ちゃん、阿曽部君。3分経ったよ。

朝霧:え?もう3分経ったの?

阿曽部:静香ちゃん。まだじゃないの。僕の時計ではまだ1分30秒だよ。

助平:つまり、俺たちはこれ以上見たくないっていうことだ。

長崎:そうだ。朕の目の前でスペシャルマッサージはやって欲しくない。

川村:そうよね。なんか意味ありで危なそうよね。

阿曽部:愛ちゃんまでそういうのかい。

朝霧:なんか、みんなのこういう団結って何だろうね。阿曽部君。

阿曽部:そうだね。みんなけっこう楽しんでるのに僕たちだけ・・・・・・。

助平:いや、物事には限度というものがある。

阿曽部:助に言われたくない。

朝霧:しょうがないからやめてあげようね。

阿曽部:そんな・・・・・・。けっこう楽しかったのに。

佐々木:まあ、とにかく、次、行こうぜ。

名取:そうね。ラストは先生同士。

吉本:私たちはいいですよね。江藤先生。

江藤:そうだ。俺たちはパスさせてくれ。お前らのようにそこまで出来ない。

川村:でも、みんなやったんですよ。先生たちだけやらないんですか。

江藤:大人には大人の事情があるのだ。

吉本:そうよ。大人はあういう事はしません。

川村:じゃあ、どういうことをするんですか。

助平:そうですよ。見本を見せてくださいよ。大人のやり方っていうのを。

江藤:やらんといったらやらん。

名取:じゃあ、先生方はパスということで、

長崎:朕もそれでいいと思う。

吉本:そうよね。パスでいいよね。

佐々木:そのかわり、何か代わりのことをしてください。

江藤:代わりのものって何だ。

佐々木:みんなの夫婦こんと面白かったですよね。

江藤:まあ、それなりに。

佐々木:そうですよね。だから平常点を下さい。

江藤:佐々木。お前、抜け目がないなあ。

吉本:江藤先生。平常点ぐらいいいじゃないですか。

江藤:吉本先生がいうんじゃ仕方がない。平常点をくれてやる。

佐々木:ありがとうございます。

助平:佐々木はさすがだなあ。

長崎:まさに肉を切らせて平常点だな。

名取:チャンポン。そのことわざ違うと思う。

佐々木:ということで、静香ちゃん。後はどうするの?

名取:後はみんなで楽しく食べましょう。みんなそれでいい?

みんな:ウィーす。

夫婦ごっこの後はみんなで仲良く食事をした。そして後片付けが始まった。

 その時、助は愛ちゃんに声をかけていた。

助平:愛ちゃん。今日も愛ちゃんパワー炸裂だね。夫婦ごっこ楽しかったよ。

川村:私も・・・・・・。

助平:後で2人でゆっくり話さない?

川村:・・・・・・。いいよ。

助平:それじゃあ、後でね。

 助と愛ちゃんは後でツーショットをする約束をした。

 さて、後片付けは終わって、みんな一回、部屋に戻った。

秋山:みんな、僕はこれからの自由時間は静香ちゃんとお茶するから抜けるね。

 そう言って、僕は部屋から抜けた。そう僕たちもツーショットでお茶するんだ。待ち合わせてるところは休憩室。2人きりじゃないんだけど、そこは慌てない慌てない。って誰に言ってるんだ僕は・・・・・・。そんなわけのわからぬことをナレーターしている僕のところに静香ちゃんがやってきた。

名取:清彦君。待たせたね。

秋山:ちょっとだけね。ところで何やってたの?

名取:女には女の事情があるの。

秋山:とにかく静香ちゃん。何か飲む?

名取:お茶でいいよ。

 僕と静香ちゃんはおしゃべりを始めた。いろんな話が出たんだ。だけど、今日はこの話は重要じゃないんで、ゴミ箱に捨てます。

 僕たちがいろいろ話しているうちに、助と愛ちゃんが並んで歩いているのを目にした。

名取:あれは助と愛ね。清彦君。あの二人、これから何かあるよ。絶対。

秋山:そうだね。ついていく?僕はそっとしてあげたいけど。

名取:やーねー。清彦君。私はついていくほどヤボでもイボでもないわよ。

秋山:静香ちゃん。イボはわけがわからない。

名取:私にもレボ部病がうつったみたい。

秋山:じゃあ、僕が見てあげようか。

名取:清彦君。そういって医者みたいなこと言って私の服脱がすの?・・・でも、清彦君ならいいよ。

秋山:あはははは。この会話休憩室じゃなければなあ。

名取:照れてるの?でも、それも清彦君のいいところなのよね。

 僕たちの話はまだ続いた。でも、今はもっと気にかかる話がある。さっき、2人きりになった助と愛ちゃんだ。助と愛ちゃんは旅館の屋上に行った。旅館の屋上はなんと展望台。この旅館、何気に凄かったりして。まあ、それはいいとして、助と愛ちゃんはベンチに座って話し始めた。

助平:愛ちゃん。星が綺麗だね。

川村:そうね。

助平::あ、あの星は輝いているね。今の愛ちゃんみたいに。

川村:あはは。マニュアル通りのせりふね。でも、素敵。

 愛ちゃんは助の方に頭をよっかからせた。

川村:今はずっとこうしていい?

助平:じゃあ、肩を抱いていい?

川村:・・・・・・。いいよ。

 助は手を愛ちゃんの寄りかかってないほうの方を軽くつかんで腕で背中から抱いていた。しばらくこの時間が続いた。

 一方、他の人はどうなったかというと、部屋は、男子のほうは阿曽部はチャンポンと将棋をしていた。女子のほうは、朝ちゃんと美華ちゃん軍団がトランプをしていた。先生たちは風呂に行っていた。と、残りは佐々木と美子ちゃんだ。美子ちゃんは行方は今の僕にはちょっとわかりません。佐々木は僕たちがしばらく話をしている間に、休憩室で会ったんだ。

佐々木:なあ、清彦。静香ちゃん。愛ちゃん知らない?

 僕たちはこの佐々木の言葉が読めた。だけど・・・・・・。

秋山:僕は知らないよ。

 この時、静香ちゃんは一瞬僕を見た。そして自分のセリフを判断した。

名取:・・・私も知らない。

佐々木:そうか。というと、もし助と愛ちゃんが今一緒にいたらやばいなあ。助もいないしなあ。

秋山:そう・・・・・・。

名取:でも、二人が行きそうな場所を考えたら場所ぐらいわかるんじゃない?

佐々木:そ、そうか。ヒントありがとう。じゃあ。

 佐々木は僕たちから離れた。

名取:清彦君。私たちウソ言ったけど、これでいいのかなあ?

秋山:うーん。このことは僕たちは首を突っ込むべきではないと思ったし、僕は助と愛ちゃんは愛称がいいし、佐々木だって美子ちゃんがいるんだし・・・・・・。

名取:そうね。・・・・・・。私も佐々木君は愛より美子ちゃんのほうがいいと思う。

 今度は佐々木に注目しよう。佐々木は愛ちゃんを探し回った。だけど、どこに行っても見つからない。屋上にいるっていうのは佐々木の頭には無かったみたいだった。で、最後に佐々木がたどり着いた場所は体育館だった。

?:佐々木君。

 なんとそこで佐々木に声をかけた人がいた。まるで佐々木の行動がわかっているようだった。そんなことが出来るのは、そう、美子ちゃんしかいない。

神山:佐々木君。待ってたのよ。

佐々木:美子ちゃん?

 体育館は薄暗かった。

佐々木:本当に美子ちゃん?

神山:暗くてわからないの?じゃあ、電気つけてあげる。

 体育館のライトがつき、体育館が明るくなった。

 佐々木の視界にバスケットボールを持っている美子ちゃんが映った。

佐々木:やっぱり美子ちゃんだ。俺の居場所が本当にわかるみたいだね。

神山:うん。・・・・・・。佐々木君。せっかくだから、ここで私と話していかない?

佐々木:でも、助と愛ちゃんがいないから探してるんだけど。

神山:二人なら大丈夫だよ。ちゃんと旅館内にいるから。でも、佐々木君は愛ちゃんしか見えないの?私は見えないの?

佐々木:・・・・・・。俺は・・・・・・。

 佐々木は黙ってしまった。そこに美子ちゃんは持っているボールを佐々木にパスした。

神山:佐々木君。シュートごっこしない?このバスケットゴールに先に5本入れたほうが勝ち。で、負けた方が勝った方の言う事を今日だけ聞くこと。それでいい?

佐々木:・・・・・・。

佐々木は考えていた。そして言った。

佐々木:いいよ。でも先に、何を言うことを聞くかって知っていた方がこのゲーム燃えると思うけど。

神山:そうね。じゃあ、佐々木君から言って。

佐々木:俺は、助と愛ちゃんの居場所を教えて欲しい。美子ちゃんならわかるだろ。

神山:うん。

佐々木:美子ちゃんは?

神山:私を、・・・・・・私を受け止めて。

 佐々木は黙ってしまった。

神山:じゃあ、佐々木君。とりあえずゲームをしましょ。先に5本入れたほうが勝ちでいいよね。だから、先攻のほうが有利だけどそれでいいよね。

佐々木:・・・・・・うん。

神山:順番はじゃんけんね。

 じゃんけんで、順番は先攻が美子ちゃんで、後攻が佐々木になった。

神山:佐々木君。私、中学の頃バスケ部だったのよ。えい。

 美子ちゃんはシュートした。シュートは入った。

神山:佐々木君。どう。私の実力。

佐々木:美子ちゃん。俺をなめちゃいけないよ。俺は小学校のときバスケ部だったんだぜ。

 佐々木はシュートした。シュートは入った。

2本目のシュートも2人とも入った。

3本目のシュートも2人とも入った。

4本目のシュートも2人とも入った。

 後は5本目のシュートである。

神山:佐々木君。先に入れたほうが勝ちだから、私が決めたら決まりね。

 美子ちゃんは自信満々でシュートした。しかし、なんと、そのシュートは外れてしまった。

神山:あ。・・・・・・。

 美子ちゃんは涙目になっていた。次は佐々木の番だ。

佐々木:・・・・・・。

 佐々木は黙ったままシュートする構えをしている時に、一瞬美子ちゃんを見た。美子ちゃんは両手を握り締めてゴールを見ていた。

 佐々木はシュートした。ボールは大きな弧を描いてゴールに向かった。ボールはリングに当たり、下に落ちた。シュートは入らなかった。

 美子ちゃんは驚いた顔で佐々木を一瞬見たが、気を取り直してシュートした。そのシュートはゴールした。美子ちゃんの勝ちである。

佐々木:・・・・・・。美子ちゃんの勝ちだね。

神山:うん。・・・・・・。佐々木君。さっきのゴール、わざと外したでしょ。何で。

佐々木:シュートする間際に見たんだ。美子ちゃんが手を握っていた。天にも祈るような感じで見たいた。瞑想で何でも当てる美子ちゃんでも祈ることがあるんだなって思った瞬間、俺は美子ちゃんに負けてしまった。・・・・・・そういうこと。

神山:ありがとう。

 美子ちゃんは棒立ちしている佐々木に近づいて抱きしめた。そして、佐々木も美子ちゃんを軽く抱いた。

佐々木:俺・・・・・・。美子ちゃんの言うこと聞くの、今日だけじゃなく、ずっといいかなあ。

神山:いいよ。

 なんと、佐々木は美子ちゃんを彼女にしてしまった。しばらく経ってみんな部屋に戻った。風呂に入った後女子軍団は男子の部屋に入ってみんなでトランプをした。今日、初日はこんな感じで、おやすみ。


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