第22話 4月30日(月)レボ部のバイト(引越しバイト編)
今日も朝がやってきた。今日は何のバイトだろう。
待ち合わせは、いちぢく公園に、朝の8時半に集合なんだ。その時間には、みんな集まっていた。チャンポン以外はね。
川村:チャンポン遅いね。
名取:今度からチャンポンには罰ゲームが必要だよ。
佐々木:本当だな。チャンポンは何やっているんだ?
それから二十分経ってチャンポンがやってきた。
長崎:いやあ、わりぃ。みんな。今日は怒らないでくれ。朕は大変いいことをしてきたのだ。
名取:何をしてきたのよ。
長崎:道路に落ちているかばんを交番に届けてきたのだ。交番での手続きで遅れたのだ。
助平:美子ちゃん本当か。
神山:うーん。なんか私ってチャンポンのウソ発見器になってない?
佐々木:違うよ。美子ちゃんは真実を守る女神だよ。
助平:佐々木。うまいこと言うねえ。
川村:で、とにかく、チャンポンの言っていることは本当なの?
神山:そうね。瞑想してみる。
美子ちゃんはいつも通り瞑想した。
神山:えーと。道を歩いているチャンポンが見えます。道のわきに落ちているカバンを見つけました。チャンポンは、そのカバンを拾って、交番に持って行って、お巡りさんがカバンを調べました。カバンの中にはノートや手帳があったけど、その他に、銀行の通帳が入っていました。通帳の中を見ると、二千万円ぐらい入っていました。チャンポンは大喜びをしたのも束の間、お巡りさんはこういいました。「通帳だとお金はあげられないんだよ。これが現金だったら落とし主が見つかったら1割もらえたけどね」ということでした。チャンポン残念だったね。
長崎:相変わらず美子ちゃん怖い。
助平:佐々木ーっ。今日は何のバイトをするつもりだ?
佐々木:まあ待て、その前に言うことがある。昨日のことについてこの公園に立て札があったんだ。そこにはこう書かれていた。「公園の真ん中でサンマを焼かないでください」って。
川村:そっか。昨日サンマを片付けるの忘れてたね。
助平:でも、間抜けな立て札だな。
佐々木:ま、そういうわけで、今日は引越しの手伝いをします。引っ越す世帯主は吉本先生だ。
長崎:本当か。佐々木。
佐々木:本当だ。
長崎:佐々木。お前っていい奴だな。
佐々木:そういうことではりきって頑張ろう。
長崎:おーっ。
僕たちは吉本先生の家まで歩いた。チャンポンはさすがに気合が入っていた。しかし、こういうときに、予想もしなかったことが起こった。移動中に僕らの後からターちゃんという声がした。そう。美華ちゃん軍団とばったり会ったんだ。
宮下:みなさんおはようございます。
川村:美華ちゃんおはよう。
宮下:今日は何しているんですか。
佐々木:引越しの手伝いだよ。
宮下:誰の引越しですか。
朝霧:うちの学校の先生だよ。
宮下:そうなんですか。面白そうですね。友子。雪絵。私たちも手伝おうよ。
増田友子:えー。
小山雪絵:今日はゲーセンで遊ぶんじゃなかったの。
神山:美華ちゃん。私は手伝ってくれたっほうがいいと思うよ。
宮下:なんでですか。
助平:美華ちゃんのライバルの先生だからね。
長崎:助。何を言い出すんだ?
宮下:え?英語のなんとかって先生の家なの?大変だ。佐々木さん。私たちも手伝っていいですか。
佐々木:いいよ。
長崎:ちょっと待て。佐々木。これでは朕はどうなるのだ。
助平:何言っているんだチャンポン。サンドウィッチ状態で嬉しいんだろ本当は。
長崎:そうじゃねーよ。
佐々木:昨日、チャンポンに寂しい思いをさせたから、今日は2倍楽しんでもいいんじゃないか。
宮下:佐々木さん。ありがとうございます。
川村:よっ。チャンポン憎いね。
長崎:なんか今日の朕はどうなるのだ?
と、チャンポンの不安をよそに、美華ちゃんたちも手伝うことになった。
吉本先生の引越しはアパートからマンションに移るものなんだ。
そうこう説明をしているうちに、レボ部のみんなは吉本先生のアパートの玄関に着いた。え?たいした説明をしてないのに、もう着いたのかって?そんな小さいことは便所に流しましょう。
佐々木:吉本先生おはようございます。
インターホンから吉本先生の返事が返ってきた。
吉本:みんなちょっと待ってね。
吉本先生は、なぜかすぐには出てこなかったんだ。でも玄関から出てきたとこで、その理由は解った。化粧をしていたのだ。
吉本:みんなおはよう。ちょっと待たせてごめんね。
助平:あの、ちょっとどころじゃないんですけど。
宮下:そうですよね。先生ほどの年ですと、お化粧は大事ですよね。
なんと、美華ちゃんが吉本先生に喧嘩を売ってしまった。
長崎:あ、美華ちゃん。何を言うんだい。
吉本:ねえ。あなた。子供のくせに生意気ね。というか、あなたは誰。
川村:先生。その子たちは私たちの友達で、実は、私たちがここに来る途中にばったり会って、手伝ってくれることになったんです。
吉本:そうなの?あ、そういえば、Times Windowで、私が長崎君と話しているときに来た子だね。
長崎:それよりも、こんなところで話すのもなんですし・・・。
吉本:そうね。玄関にみんな立たせるのも悪いわねえ。じゃあ中に入って。
みんな中に入った。吉本先生のアパートは2DKだったから、みんなが入ったらけっこうぎゅうぎゅうだった。
吉本:みんな、私がやって欲しいことは、このまとめた荷物をトラックに入れて欲しいの。後5分ぐらいでくるのよね。
佐々木:じゃあ、トラックが来るまで、座って待ちましょうよ。
吉本:そうね。じゃあ、みんな座って。これから英語の授業を始めます。
川村:えーっ。
長崎:授業と言っても、黒板や机は無いんですけど。
吉本:冗談よ。
助平:それより、ゴミってどれですか。
吉本:助平君。ゴミを見つけてどうするのかな。
助平:ゴミの中で先生が要らないものでも、俺たちが欲しいものがあるかもしれませんので。
吉本:そういわれてもねえ。今から散らかすわけにいかないし。
川村:助。私、わかった。助は実はゴミの中から先生の下着をもらおうと思ったんでしょ。
長崎:なぬ。助。そうなのか。それは朕がもらうものだぞ。
助平:みんなひでー。俺はそこまで言ってねえぞ。
朝霧:助平君。そんなに下着が欲しいのなら私のあげるよ。
助平:あ、朝ちゃん。変な気を使わなくていいよ。
名取:みんな、朝っぱから何言ってるのよ。ねえ。清彦君。
秋山:え?何?静香ちゃん。僕に下着をくれるって。ここで言われても困るよ。
名取:あ、清彦君。それ、ひどい。私、そんなこと言ってないでしょ。
吉本:それより、あなたたちって本当に高校1年生?
助平:それじゃあ生徒手帳見せましょうか。
吉本:そういう意味じゃなくて。
佐々木:興味深いですか。
吉本:いいえ。マセてるだけじゃないかな。
佐々木:ませているんじゃありません。俺たちは大人になる準備をしているだけです。
吉本:佐々木君って、けっこう口は達者ね。
長崎:そして、朕は芸達者。というわけだ。
ここでトラックが来て、トラックのあんちゃんが玄関のところに来たんだ。
トラックのあんちゃん:吉本先生おはようございます。僕です。
吉本:あ、江藤先生だわ。みんなちょっと待って。
そう。なんと江藤先生がトラックのあんちゃんだったんだ。江藤先生が中に入ってきた。
江藤:おっ。みんな来ているねえ。
江藤先生の視界に見慣れない子がいた。そう。美華ちゃん組の3人だ。
江藤:ん?かわいい子がいるねえ。小学生かい。吉本先生。この子達誰ですか。
吉本:長崎君のガールフレンドですよ。
江藤:あ!この前授業中で佐々木が冗談で言ってた小6の彼女か。おい、長崎。これはよくないぞ。
長崎:そう言われても。
宮下:あの。江藤先生ですか。一言言わせてください。ターちゃんは何も悪くないです。親も認めてくれています。年齢で付き合っていいとか悪いとかと言うのはおかしいと思います。それに、ターちゃんは私を大事にしてくれています。何か文句ありますか。
今日の美華ちゃんも凄い強気なんだ。これは愛のためなのかなあ。
江藤:あ、いや、文句あるかと言われてもなあ。子供は社会のことを知らないからなあ。
川村:江藤先生。チャンポンは、今、美華ちゃんの家庭教師をやっているんです。先生と生徒と言うことなら、人間関係上何か支障があるとは思いません。
名取:先生。好きな人と一緒にいることがそんなに駄目なんですか。
江藤:わかった。わかった。だが、何かあったら責任を取らされるのは俺なんだぞ。それも考えてくれよ。
佐々木:大丈夫ですよ。俺たちはそんなに子供じゃありません。
江藤:しょうがないなあ。今のところ見逃してやるが、その辺のところ注意しとけよ。
レボ部全員:はーい。
江藤:「はーい」ってお前ら幼稚園せいか。
佐々木:まあ、いいじゃないですか。それより早く引っ越しましょうよ。
江藤:そうだなあ。じゃあ、吉本先生。仕切ってください。
吉本:んー。では、みんながやる気が出るように、先に給料のことを言います。一応、一人五千円ね。へそくりは無いから期待しないでね。まず、荷物を運びます。男は重いもの、女性は軽いものを持ちましょう。では開始します。
吉本先生のリードで僕たちは荷物を運んだ。ダンボール、机、化粧台などがあった。
荷物はあっという間に積み終えた。
江藤:では、これから、新しい家に行くぞ。吉本先生は助手席、お前ら(レボ部)は、荷物と一緒に適当に乗ってくれ。
僕たちは出発した。引越しと言ってもすぐ近くなんだけどね。だから移動の時間は二十分しかかからなかった。
江藤:お前ら(レボ部)。着いたぞ。ここが吉本先生の新しいマンションだ。
長崎:そうか。ここが朕と吉本先生が同棲する場所か。
宮下:ターちゃん。寝ぼけたことを言わないの。
マンションは9階建てで、吉本先生は7階なんだ。
そうこう言っているうちに、荷物が無事に運び終わり、吉本先生が紅茶とお菓子を出してくれた。
吉本:みんなご苦労さん。後は私一人で出来るから、ここでティータイムにしましょう。
ここで雑談が始まった。
佐々木:吉本先生。俺たちレボ部はどう思いますか。
吉本:うーん。何をやりたいのかはいまいちわからないけど、社会勉強は一生懸命にやってるのはわかるわ。けっこう立派ね。
江藤:ところで佐々木。合宿っていっても何をするんだ。
佐々木:それは明日みんなで決めます。今日の目的は引越しの手伝いだったので、それしか考えていませんでした。
江藤:そうか。
助平:ところで、佐々木。合宿はどこでやるんだ?
佐々木:それは明日言うよ。
助平:もちろん宿には混浴はあるよな。
川村:えーっ。
長崎:おっ。助。エンジンかかってきたな。
名取:あっ。それいいね。私は貸切で清彦君と一緒に入りたいなあ。ね。き・よ・ひ・こ・君。
秋山:あはははは。
江藤:お前ら。高校生の癖に混浴は早すぎるぞ。
佐々木:先生。まともに聞いてちゃ駄目ですよ。もうみんなこの手の話題には慣れてきてるんですよ。
江藤:お前ら何者だ!
佐々木:まあ、まあ。
と、こんな感じに適当に話をしてたら、時間はあっという間にたってしまった。え?美華ちゃんと吉本先生の仲はどうなったかって?実は、それはお互い一言もしゃべらなかったというか、みんなこの話題には触れなかったんだ。ま、そういうわけで、話は夕方まで続いたんだ。
吉本:なんか、もう夜も遅くなってきたわね。
佐々木:じゃあ、俺たちは帰ります。
吉本:みんな一緒に帰るの?
佐々木:はい。
吉本:じゃあ、気をつけてね。
この後、みんなは稼いだお金でカラオケをやって、家にそれぞれ帰った。
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