第21話 4月29日(日) レボ部のバイト(探偵編)

 グッとモーニング。今日もさわやかな朝だぜ。ハワイアンブルーのような気持ちだぜ。え?かっこつけてないで、昨日はどうなったのかって?

 そう。今日もみんなとバイトやるんだけど、その前に、朝に静香ちゃんとお茶するんだ。

静香ちゃんが昨日のことについて、朝話をしたいと、昨日の夜遅くに電話があってさあ。

 ということで、今日の舞台は朝8時Time window というカフェの店の中から。

名取:ねえ。清彦君。昨日、残った6人あれからどうなったと思う?

秋山:みんな密かに燃えてたんじゃないか?

名取:密かどころじゃないわよ。昨日の夜、愛から電話があって、みんな荒れそうだったのよ。

秋山:え?何で?

名取:それで、結局みんな一人一人別々に帰ったのよ。愛の話だと、詳しくはこうよ。

 そう。昨日は、ハプニングになりそうだったんだ。

 ここから昨日に戻って、回想シーンを書きます。ちょうど僕と静香ちゃんが帰った後からです。

佐々木:さて、俺ら6人残ったけど、くじ引きで決めようか。

朝霧:私は、思い思いの人がいいと思う。

阿曽部:それもいいね。

佐々木:とりあえず、思い思いの人を端から言おうか。

 そう。この佐々木の発言は、はっきり言ってみんなの前で告れといっているのと同じだと思うけど、ここで告っちゃった人がいたんだ。その人は朝ちゃんだった。

朝霧:私、助平君と帰りたい。

佐々木:朝ちゃん勝負師だね。じゃあ、俺は愛ちゃんかな。

助平:ちょっと待てよ。愛ちゃんは俺だぞ。

佐々木:助には朝ちゃんがいるじゃないか。

朝霧:愛ちゃんはどうなの?

川村:えー。別に今はっきりさせなくても。

神山:愛ちゃんはっきりしないから、私は佐々木君と帰る。ね。佐々木君。

助平:そうか。美子ちゃんは佐々木か。佐々木。美子ちゃんがいるじゃないか。ここはおとなしく引くべきだ。

佐々木:助。人のことが言えるのかよ。

阿曽部:佐々木。そんなこと言ってると、僕が美子ちゃん取るぞ。

朝霧:阿曽部君は美子ちゃんなんだ。

助平:なんかややこしくなってきたなあ。

朝霧:まずは、愛ちゃんがはっきりしないと。

川村:何でこうなるのよ。

神山:やっぱり結論を言うと、今日は一人一人別に帰ったほうがいいんじゃない?

佐々木:そうだな。これ以上話が進むと、わけがわからなくなる。今日は別々に帰るか。

川村:そうね。

 ・・・・・・。というのがみんなの昨日の会話だったんだ。

秋山:なるほどね。みんなの気持ちがはっきりしちゃったね。

名取:うちのレボ部は言いたいことは言うからね。今日はどうなるんだろう。

 そんな不安を抱えているところに、チャンポンが店に入ってきた。

長崎:よう。ご両人。二人は円熟期に入っているようだね。

秋山:あれ、チャンポン。今日はやけに早いなあ。何が起きたんだ。

長崎:簡単だよ。二人のツーショットを邪魔しようと思って。

名取:チャンポン。早く来すぎよ。らしくないわね。

長崎:いやあ、時計を1時間早くしといたら、みんなが集まる30分前についちゃったぜ。

名取:それって時計を早くしなければ30分遅刻じゃん。

長崎:だからそれを計算して、朕は時間を早くしたのだ。賢いといってくれなきゃ困る。

名取:でも、それくらいは当然のことだからね。

長崎:今日の静香ちゃんも結構突っ込むねえ。

名取:チャンポン。今、レボ部のみんなが大変なのよ。

長崎:どういう事?

秋山:つまり、こういうことなんだ。

 僕と静香ちゃんはチャンポンに愛ちゃんから聞いた昨日の出来事の内容を話した。

長崎:なるほど。六角関係かい。おそろしい。

秋山:そろそろみんな駅前で待っているんじゃないか。そろそろ出ようよ。

名取:ここで時間をつぶしすぎて、遅刻してチャンポンと同類にされるのはやだからね。

長崎:静香ちゃん。何を言う。朕と同じというのは光栄なことだぞ。

名取:はいはい。

長崎:そういう答え方って無いじゃん。朕が惨めに見える。

秋山:とにかく駅前に行こう。

 僕と静香ちゃんとチャンポンは駅前まで歩いていった。

 駅前に着くと、驚いたことに他のレボ部のメンバーが全員いた。けど、険悪な様子じゃなかった。そう、みんな普通だったんだ。僕と静香ちゃんとチャンポンと目を合わせて思わず首をかしげた。

秋山:みんな、おはよう。

川村:おはよう。

名取:愛。これはどういうこと?

川村:え?どういうこと?いつも通りよ。

名取:だって、昨日、愛、私に電話したじゃん。みんな大変だって。でも、いまは、みんな仲よさそうに見えるんだけど。

佐々木:静香ちゃん。仲がよさそうじゃなくて、仲がいいんだ。なんか悪い?

名取:え?いや、べつに、・・・・・・。

 みんな笑顔だったけど、気味が悪かった。一体みんなに何があったんだろう。

佐々木:それより、バイトの話をするぞ。

秋山:今日は探偵のバイトだっけ。

佐々木:そうだ。

助平:探偵といっても、いなくなったペット探しだがな。

名取:よくそんな仕事を見つけてきたね。

佐々木:美子ちゃんがその仕事を依頼されててね。

神山:そう。丁度いいからみんなに手伝ってもらおうと思って?

 そうなんだ。ある探偵の人が美子ちゃんの占いの館で占ってもらって解決した問題がたくさんあるらしい。そして、今回は美子ちゃんがその探偵の人に頼まれたことをみんなでやることになったんだ。やることは、さっき言った通り、ある人のペット探し。どうやるのかは、これから美子ちゃんが説明します。

神山:えっと。今日の探偵の仕事はペット探し。ペットは迷子の子猫ちゃん。写真はこれよ。

 みんな写真を見た。その猫は全身真っ白で、毛皮のような毛並みで、大きさはダンボールぐらい。性別はメスである。

神山:そう。名前はミーちゃん。ミーちゃんって呼ぶと反応してくるかもしれないよ。居場所はいちぢく公園。そこに、よくミーちゃんが来るのよ。でも、すばしっこいのよ。すぐ逃げちゃうのよ。それでみんなに協力をしてもらおうと思って。部費も丁度必要だからね。

佐々木:じゃあ、いちぢく公園に行くか。

 移動が始まった。みんな適当な人と適当に話していた。僕は阿曽部と話していたんだ。

秋山:阿曽部。みんなのムードが妙にいいんだけど、一体どうしたの?

阿曽部:美子ちゃんが予言したんだ。ゴールデンウィークの後半、レボ部で合宿をするだろ。その時にはみんな一人に対してちゃんと一人彼氏や彼女が出来るから、勝負は合宿のときでいいんじゃないと美子ちゃんが言ったんだ。それで、とりあえず、みんな勝負は合宿の時にしようということになったわけだ。

秋山:なるほどね。

 いちぢく公園に着いた。そこで、今日の仕切り役は美子ちゃんなんだ。

神山:えーと、これからミーちゃん探しを始めます。今は朝の10時くらい。ミーちゃんはすばしっこいので、挟み打ちをします。だから、これからチームをつくろうと思います。

チームは・・・・・・。みんな、これからどういうふうにチームをつくろうか。

秋山:今、9人いるから、4チーム作って、四方向からミーちゃんを囲んで捕まえたほうがいいと思う。1チーム2人で、残りの一人はこの網を持ってとどめを刺すというのはどうかなあ。

助平:ほうとどめ役が1番重要みたいだな。

長崎:そうか。それなら朕がとどめ役をやろう。後の者は男女ペアーで組んで仲良くやってくれ。

助平:チャンポン。いつからそんないい奴になったんだ?

名取:と言われてもねえ。私はいいけど・・・・・・。

川村:私は混乱してきたよ。

阿曽部:確かに・・・・・・。うーん。

 さすがのレボ部も、このチャンポンの一言はみんなを困らせた。だって、なんていったって、僕と静香ちゃん以外は六角関係だからね。

助平:チャンポン。お前、いい奴ぶって実はみんなを困らせて一人で楽しんでいないか

長崎:何をいう。朕は誰ともペアーを組まない孤独を選んだんだぞ。ありがたいと思え。・・・・・・。それとも朕の役を助がやるか。

助平:うっ。・・・・・・。

名取:今日のチャンポンは勢いがあるわねえ。助が打ち負かされたね。

助平:静香ちゃん。何を言ってるんだ。チャンポンは人の弱みにつけこんでるだけじゃねーか。

長崎:助。何を言う。朕の気持ちがわからぬのか。みんなに恋のロマンスを体験させてあげるんだぞ。・・・・・・って、静香ちゃん。ロマンスってどういう意味だっけ。

名取:私、今日のチャンポンは怖いよ。遅刻もしなかったし、助を言い負かすし、

長崎:静香ちゃんに褒められるとは思わなかった。え?背中から黄金の光が出てるって?まいったねえ。

名取:チャンポン。私そこまで言ってない。

佐々木:まあまあ。俺はチャンポンの案は悪くないと思う。ペアーはくじ引きでいいんじゃないか。それならみんな喧嘩にならないだろ。

神山:そうね。それがいいね。

名取:じゃあ、私は清彦君と組むから私たちはくじから外してね。

川村:なんで?

名取:なんでって、私たちは恋人同士なのよ。当然じゃん。

川村:静香だけ幸せってずるいじゃん。

阿曽部:確かにそうだねえ。

朝霧:静香ちゃん。たまには違う人と組んでみたら?

名取:みんな何言ってるのよ。もしかしてやきもち。みんな歪んでるよ。清彦君助けてよ。

秋山:静香ちゃん。たまにはいいんじゃない?

名取:何それ。清彦君。それって浮気?私を捨てるの?最低。

秋山:あ、いや、静香ちゃん。そうじゃなくて、他の人と組むっていったって、ちょっとだけだよ。みんな仲間なんだからさあ、もっとみんなと解かり合ってもいいんじゃない?

名取:じゃあ、私も浮気するわよ。

秋山:うっ・・・・・・。

長崎:おっ。これは六角関係から八角関係かい。

助平:チャンポン。一人だけ余裕ぶっこいてるんじゃねえ。

佐々木:まあ、まあ、まあ、みんな落ち着いて。

名取:佐々木君は冷静だねえ。

佐々木:そりゃ、部長だからねえ。まあ、とにかく、網で捕まえる役はチャンポンで、後はくじ引き。紙に番号を書くから、同じ番号同士の者が組む事。これでいいかい。みんな。

助平:まあ。結局、それしかないよな。

川村:そうよね。

朝霧:賛成。

神山:私もいいよ。

名取:何言ってるのよ。みんな変だよ。私納得いかない。

川村:じゃあ、多数決で決める?

名取:それってもう結果は決まってるじゃない。やだ。

川村:じゃあ、多数決で決めるかどうかを多数決で決める?

名取:全然同じじゃない。

秋山:ねえ。みんな。やっぱり僕と静香ちゃんはペアーじゃ駄目かなあ。こんなに好かれてるんだもん。いいかい。

助平:おっ。清彦。男を見せるねえ。

名取:そう。それでこそ清彦君よ。お帰り、清彦君。

 この時、静香ちゃんは僕に抱きついたんだ。

佐々木:あーあ。こりゃしょうがないね。

川村:わかったわ。わかったよ。静香。

佐々木:じゃあ、くじ引きは俺ら6人にしよう。

 くじのペアーはこうなった。

 1組目は助と美子ちゃん

 2組目は阿曽部と愛ちゃん

 3組目は佐々木と朝ちゃん

 4組目は僕と静香ちゃん

になった。そう、僕ら以外はみんな本命じゃない人という組み合わせになった。これから一体どうなるんだろう。

佐々木:じゃあ、分担して探すか。

長崎:ちょっと待て。そうなると朕はどうなる?どのペアーについていけばいいんだ?

佐々木:チャンポンは適当に動いてくれればいいよ。

長崎:適当という答えは一番困るのだが。

佐々木:いや、つまり、状況を判断して動いてくれということだ。

長崎:なるほど、朕の行動はハイレベルなわけだ。

神山:まあ、それはともかく、ペアーが決まったので、ミーちゃんの写真を渡します。作戦はこうよ。

 美子ちゃんの作戦はこうだった。まず、サンマを炭火焼にしたものを公園の広い場所において、ミーちゃんがサンマの匂いに釣られてきたところを捕まえるというものだった。

 とりあえず、みんなはサンマから30メートルぐらい離れたところに、東西南北と分かれて待機した。この時チャンポンはトイレに行った。ミーちゃんはいつ来るかわからないので、みんな、チームごとに適当に会話していた。会話の内容はこうだったんだ。

 まずは助と美子ちゃんから。

助平:いやあ、今回のくじ引きは神業だね。清彦と静香ちゃんのコンビ以外、見事に全員本命が相手じゃなかったね。ノーベル賞ものだよ。

神山:そうね。でも、私は分かっていたりして・・・・・・。

助平:うーん。美子ちゃんは怖いなあ。ここまでくると美子ちゃんはこの世界を手のひらに乗せて見ている様だよ。

神山:でも、助とのツーショットは初めてだね。

助平:そうだなあ。

神山:私、一度聞いてみたいと思ったのは、助は何で愛ちゃんなのかな。朝ちゃんもいるのに。

助平:あはは。そう言われてもねえ。体中のホルモンが愛ちゃんが欲しいと言ってるんだよ。

神山:うーん。助らしい答えだね。でも、理由になってないなあ。

助平:美子ちゃんは鋭いなあ。直感という言葉じゃ駄目かい?

神山:そうね。もうちょっと深く言って欲しいよ。

助平:そうだなあ。強いて言えば、自分と何か、どこか似ているんだよな。

神山:なるほど。

助平:そういう美子ちゃんは何で佐々木なんだ。

神山:佐々木君は努力家で、話をまとめるのもうまいし、自分の信念があるのよ。そういう所かな。

助平:なるほどねえ。ギャグなら佐々木に勝つ自身はあるけど、信念となると、やっぱり佐々木は凄いかなあ。真似できないねえ。

神山:そういう助も、ちゃんと信念持ってるじゃない。助には助が持ってるものが。

助平:そうかい。そう言われると嬉しいねえ。例えばどんなとこ。

神山:助はねえ、正統派だよ。

助平:そうか。でもレボ部のみんなもそうじゃん。

神山:そう。今言った助のそういうところもいいね。

助平:そうか。でも俺に惚れちゃ駄目だぜ。

神山:そう。その辺が愛ちゃんと相性がいいところかな。

助平:そうかねえ。

 次は阿曽部と愛ちゃんのペアーの会話です。

阿曽部:いやあ、正直僕は愛ちゃんと組むとは思わなかったよ。

川村:私も。今回のくじは神でも乗り移ってるんじゃない?みんな、見事に意中の人と違うからね。

阿曽部:なんかそういわれるとショックだなあ。僕は愛ちゃんも結構いいなあと思ってるのに。

川村:あはは。そういうとこ私と似てるね。私と阿曽部君はいい加減なのかなあ。

阿曽部:というより、愛ちゃんの場合は、自分の彼にする人に何か決定的なものが欲しいんじゃないかなあ。

川村:ふーん。阿曽部君って、以外にも核心を突くね。

阿曽部:そう?驚いた?

川村:別に驚きはしないけど。

阿曽部:あれ?

川村:でも、私は静香が羨ましいよ。ああいう恋をしたいよね。

阿曽部:そうだね。でも、今日の静香ちゃんの乱れ方は凄かったね。

川村:そうね。惚れ方が異常よ。だけど、確かに清彦君っていいものを持ってるよ。

阿曽部:あーあ。僕にも彼女できないかなあ。美子ちゃんは佐々木にべた惚れだし。

川村:そうね。朝ちゃんはどうかな。阿曽部君には以外と朝ちゃんが丁度いいんじゃない?

阿曽部:愛ちゃん。その本心って、朝ちゃんに助を取らせないようにするため?

川村:阿曽部君。鋭いね。こんな私って嫌い?

阿曽部:僕はそれもアリとは思うけどね。

川村:・・・・・・。阿曽部君もよーく見ると結構いい男ね。

阿曽部:そうかなあ。だけど、その言葉、僕が助だったら「気づくのが遅いぜ」と言うけどね。

川村:あはははは。

 次は佐々木と朝ちゃんの会話です。

佐々木:朝ちゃんとペアーって俺は考えて無かったよ。

朝霧:私もそう。

佐々木:ところで、朝ちゃん。レボ部はどう?

朝霧:いろいろあるけど、楽しいよ。

佐々木:それはよかった。作った甲斐があるよ。

朝霧:私、思うけど、レボ部の人はみんな正統派だね。それで明るくて、いろんなこともやるし、凄い勉強になるよ。

佐々木:その言葉嬉しいねえ。

朝霧:ちょっと質問があるんだけど、佐々木君は何で愛ちゃんが好きなの?

佐々木:なんでって言われても、その質問の意図を知りたいけど。

朝霧:意図?意図は今後の参考にと思って。

佐々木:何の参考。

朝霧:助平君が愛ちゃんが好きな気持ちが分かるかなあと思って。

佐々木:でも、俺と助は違うよ。

朝霧:それはわかっているけど。

佐々木:なんていうのかなあ。明るさかなあ。・・・・・・。うーん。・・・・・・。一言で言えない深さを感じるところかなあ。

朝霧:ふーん。

佐々木:で、朝ちゃんは何で助なの?

朝霧:それって助平君が好かれる意味を聞きたいの?

佐々木:今後の参考に。愛ちゃんが助を好きになる理由がもっと解るかもしれないからね。

朝霧:さっき佐々木君が言ったように、私は愛ちゃんじゃないよ。

佐々木:それでもかまわないよ。

朝霧:そうねえ。ユーモアな所かなあ。大人っぽさを感じるし、いい所がいっぱいあるんだよね。

佐々木:なるほどねえ。

 最後は僕と静香ちゃんのベアーです。

秋山:どうも。今度、静香ちゃんのペアーをさせていただくのは、私、秋山清彦です。よろしく。

名取:清彦君。何言ってるの?

秋山:いやあ、たまにはチャンポンや助のようなボケが言いたくてさあ。

名取:私、今、清彦君といれて幸せなんだ。

秋山:僕もだよ。でも、思い出すなあ、僕が静香ちゃんに告白したこと。

名取:そうね。美子ちゃんの占いがあった日だったね。

秋山:僕の彼女って静香ちゃんでよかった。

名取:ありがと。

 僕たちはいつの間にか立ったまま体を寄せ合っていた。

名取:私たちずーとこうしていたいね。

秋山:そうだね。今仕事じゃなければいいのにね。

名取:清彦君、現実に戻さないでよ。

秋山:仕事の話はまずかったかなあ?

名取:でも、そういう真面目なとこも好き。

 僕と静香ちゃんはこのままラブラブだった。

 みんなしばらくツーショットをしていたが、一人だけはぐれものがいる。そう、チャンポンだ。チャンポンはどうしたかって読者は言いたそうだ。実は、チャンポンはトイレから帰ってきてサンマの焦げ加減を見ているだけだったんだ。何か哀れなように見えるけど・・・・・・。

 と思っているときに、ミーちゃんがやってきた。僕たちの横から歩いてきた。え?それに僕たちは気づかなかったのかって?すいません。ラブラブに夢中になっていました。すいません。

神山:あ、ミーちゃんだ。

川村:あれ、静香の横にいるじゃない。静香は何やってるの?

阿曽部:だめだ。あの二人、お互いラブラブでミーちゃんに気づいてないよ。

川村:しょうがない。ケータイで気づかせよう。

 愛ちゃんは静香ちゃんにケータイで電話をした。

名取:ん?電話!こんな時に。

 静香ちゃんはケータイを取った。

川村:静香。何やってるのよ。

名取:愛。何怒っているのよ。今いいとこなのに。もしかして嫉妬?

川村:違うわよ。周りに気づいてよ。すぐそこにミーちゃんが歩いてるでしょ。

名取:え?

 静香ちゃんと僕は周りを見回した。ミーちゃんはこっちを見てキョトンとしていた。

名取:あ。本当だ。ごめん。

川村:そんなことより早く捕まえてよ。

名取:わかったから、電話切るよ。ブチッ。

川村:あ。

名取:清彦君。ミーちゃんおとなしいね。実は簡単に捕まえられるんじゃない?

秋山:そうだね。ミーちゃん。こっちにおいで。

 僕がミーちゃんに手招きをしたら、ミーちゃんは僕のところにやってきて、僕はミーちゃんを抱っこした。

秋山:よーし、捕まえた。

名取:なんかずいぶん簡単だったね。

 みんな、この光景を見て驚きながら集まって来た。

朝霧:あれ。簡単に捕まったね。

秋山:どう、みんな。僕の妙技に驚いた?

助平:妙技と言っても、俺はただ手招きした風にしか見えなかったぜ。

長崎:それより、朕の立場はいったいなんだ。何かむなしいじゃないか。

佐々木:まあ、まあ。

 レボ部のみんなはそのまま飼い主にミーちゃんを持っていって、公園に戻ってきた。

神山:今日の功労賞は、秋山・名取チームだね。

川村:ちょっと待ってよ。たまたまミーちゃんが近くに歩いていただけじゃない。それに、静香たちは最初はミーちゃんに気づいていなかったのよ。私がケータイで気づかせたのよ。

名取:愛。何言ってるのよ。気づかないふりをして、ミーちゃんに警戒させないようにする演技だったのよ。ね。清彦君、。

秋山:あはははは・・・・・・。

川村:よく言うよ。電話したときに「今、いいとこなのよ」って言っててミーちゃんに気づかなかったじゃない。

佐々木:まあ、まあ、まあ。それより、明日もバイトだから、今日のレボ部の活動はこれくらいで終わろうと思う。後は自由解散ということでいいね。

レボ部員:ウィーす。

 これで今日は解散した。さあ、明日は何のバイトなんだろう。

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