第15話 4月23日(月)レボ部の英会話
さあ、今日もレボ部をがんばるぞーって言いたいところだけど、そろそろ読者からこういう突っ込みがくると思ってるんだ。「レボ部って遊んでばっかいる」っていう突っ込み。
まあ、僕がバカ話しか採り上げてないからしょうがないんだけど。
と、いうわけで、今日から話の展開がちょっと変ります。もっとみんなの素顔を見せたいと思います。
今日の舞台は朝の登校時から。
秋山:静香ちゃん。おはよう。
名取:清彦君。おはよう。
おとといも言ったけど、僕と静香ちゃんはつきあっているんだ。朝からツーショットしてます。
名取:ねえ。聞いてよ。うちのクラスに朝霧さんという女の子がいるって知ってる?
秋山:その子がどうしたの?
名取:その子は助が好きらしいのよ。
秋山:ほーっ。
名取:何でって聞いたら、助って度胸があってユーモアがあるってことなのよ。ちょっとスケベが混じってるボケと突っ込みがたまらないんだって。
秋山:へえーっ。愛ちゃんにライバル出現かあ。その事は愛ちゃんは知ってるの?
名取:知らないと思う。でもそのうちわかるんじゃない?
秋山:助はああ見えて結構人気ありそうだよな。助って女性から見てどう見えるの?
名取:そうね。最初は思わずひいちゃう所があったけど、慣れてくるとその気になっちゃうところがある。うん。
秋山:結構、静香ちゃんの評価は高いね。
名取:でも、助って男子からは結構悪口を言われてるのよ。
秋山:どんなふうに?
名取:「あいつはスケベだから、いつか何かされるぜ」って女子に言ってる男子もいるのよ。まあ、そんなことを言ってる男子って全く魅力は無いけどね。
秋山:ふーん。
今朝に静香ちゃんがそんなことを言ったんで、今日の午前中は思わず助を観察してしまった。休み時間はいつもは愛ちゃんと話す場面が多いんだけど、今日は教室では朝霧さんと話す場面があった。
朝霧:ねえ。助平君。好きなものは何?
助平:女の子
朝霧:女の子のどの辺?
助平:朝霧さんってチョットいいね。
朝霧:何で?
助平:いやあ。「女の子」って言ったら「どの辺?」という返しが来るとは思わなかったから。普通なら顔を「ぷいっ」って向いて去っていくんだけどね。ついでに、どの変って聞かれたから答えると、頭の先から足のつま先までかな。
朝霧:いや、私が聞いたのは体のことじゃなく、性格のことなんだけど・・・でも面白い。
助平:うーん。やっぱり朝霧さん。ちょっと変ってる。
朝霧:助平君は人のこと言えないと思う。・・・でも、助平君ってよく平気でそういうことが言えるね。
助平:まあ、いろいろあるんだよ。だけど世の中にはこういう人間が一人ぐらいいなくちゃ面白くないだろ。
ここで、愛ちゃんが助のところに来た。
川村:助―っ。今日のクラブは今週何やるか決めるから何か考えとくようにだって。
助平:ああ。
僕はこの場面を見てちょっと思った。愛ちゃんは助が朝霧さんと話しているのがちょっと気にかかるのかなって。静香ちゃんにそのことを話したら、そうなんじゃないかという答えが返ってきたけど・・・。まあ、話を戻して・・・。
朝霧:ねえ助平君。レボ部ってよくわからない。教えて。
助平:入ればわかるよ。
朝霧:でも・・・。
助平:それじゃあ、今日見学する?
朝霧:うん。
今日の話は助のことだけではない。チャンポンも何かあるみたいなのだ。
長崎:清彦。
秋山:何?
長崎:昼飯一緒に食わないか。
秋山:いいよ。静香ちゃんも一緒だけど。
長崎:静香ちゃんも一緒?
名取:チャンポンは男同士で話したいの?それなら私は他の人と食べるけど。
長崎:・・・・・・。静香ちゃんも事情はある程度知ってるから話しに入っていた方が俺も安心する。
秋山:わかった。
チャンポンはそう言って自分の席に戻っていった。
名取:チャンポン何か深刻そうだけどどうしたのかな。
秋山:わかんない。
昼になった。昼飯はチャンポンと静香ちゃんと僕で食べた。
秋山:チャンポン。何かあったの?
長崎:美華ちゃんのことなんだけど。俺って今、好きな人がいるって知ってる?
秋山:吉本先生が好きとおととい静香ちゃんから聞いたけど。
長崎:やっぱ知ってたか。
名取:チャンポンごめん。清彦君は私の彼氏だから清彦君には話をしちゃったんだ。
長崎:それはいいんだけど、俺が気になってるのは美華ちゃんとの関係がこのままズルズルいくんじゃないかと思って。
名取:そういえば、昨日みんなと違って早く帰ったわね。
長崎:美華ちゃんのお母さんと話して、美華ちゃんの家庭教師をやるって約束しちゃったからなあ。昨日は勉強を教えてあげたわけ。
秋山:そうか。家庭教師やっているわけね。美華ちゃんのお父さんとはどうなってるの?
長崎:それが気に入られちゃってさあ。
秋山:珍しいね。
長崎:一応誤解がないように美華ちゃんにも言ったよ。好きな人がいるって。
秋山:吉本先生かあ。チャンポンって何で吉本先生が好きなの?
長崎:大人の女性がタイプなんだよな。
名取:で、美華ちゃんは何って言ったの。
長崎:美華ちゃんは「私も年上の人がタイプなの。だからターちゃんも私と同じだね」って。さらに、「でも、その人とは付き合ってるわけじゃないんでしょ。私はターちゃんがそばにいてくれればいいから。・・・だから、ターちゃんが好きな人と付き合うまでは私といて」って。
秋山:美華ちゃんって結構大人だね。
名取:うーん。私ってちょっと変なこと考えてるかもしれないけどいってもいいかな。
長崎:なーに?
名取:美華ちゃんって計画的なところがありそうな子だと思うのよ。愛が言ってたんだけど、おとといの愛と美華ちゃんとの会話の中で、「川村さんっていい人だね。私たちの仲を認めてくれて。」って、言ったのよ。チャンポンの周りの人にもアピールしているところがあるかもしれないところから、私は、計画的だなって思った。だから、美華ちゃんは、チャンポンといる間は吉本先生よりも自分の方がいいよってチャンポンにアピールし続けると思う。あれだけ積極的だからね。
長崎:俺が心配してるのはまだあるんだけど、好きという訳じゃないのに美華ちゃんと一緒にいるのは、美華ちゃんの気持ちをもてあそぶような結果になるんじゃないかと思ってしまうんだけど。
名取:それは心配ないよ。美華ちゃんはチャンポンといればそれでいいんだから。
長崎:そ。そうか。
名取:チャンポン。元気出しなさいよ。別にあんたは悪いことしてるわけじゃないんだから。
長崎:そ。そうか。
秋山:よ。もてる男はつらいね。
チャンポンはここで笑顔を見せて、
長崎:サンキュウーっ。あとは自分で考える。
チャンポンって、結構繊細なんだなって思った。
ここで、読者の人も思ったと思うけど、静香ちゃんって結構友達思いだろ。普段はチャンポンのことを突っ込むけど、冗談の範疇なんだよね。え、静香ちゃんって結構いい女だって?そうだろう。そう思うだろう。でも、あげないぞ。
まあ、余計なことはこれくらいにして、放課後レボ部の活動は、部室じゃなくクラスの教室で始まった。
佐々木:みんな、聞いてくれ。まず、最初は嬉しい情報が入った。おととい、俺たちレボ部が公園のゴミ拾いをやったことについて、町長から感謝の言葉がうちの学校に届いたんだ。
レボ部員:おーっ。
みんなで拍手した。
川村:みんなでゴミ拾いをやったかいあったね。
佐々木:一応、このことをみんなに最初に言っておこうと思ってね。というわけで、今週の活動について何をするかみんな考えたか?
長崎:考えといたぜ。
佐々木:じゃあ、言ってくれ。
長崎:俺は、英会話をしたい。
佐々木:英語の勉強か。みんなはどうだ。
助平:いいんじゃないんか。
神山:それなら、講師の先生がいたほうがいいね。
佐々木:あと、ほかにやりたいことある人いる?
川村:その前にさあ、今日、朝霧さんが見学に来たから自己紹介してもらおうよ。
佐々木:そうだな。じゃあ、朝霧さん自己紹介して。
朝霧:はい、わかりました。では、自己紹介をします。私の名前は朝霧優香。性格は天然です。でもオナラは天然ガスではありません(笑)。
長崎:朝ちゃん。今のいいねえ。レボ部を心得てるよ。
佐々木:よし、朝ちゃんの自己紹介が終わったので、さっきの話に戻って、後は意見は無いか。
川村:私はチャンポンの英会話でいいよ。
助平:俺も。
名取:私も。
長崎:朕も。
助平:おい。チャンポン。その案はお前のだろ。
佐々木:では、決まり。講師は誰にしようか。
長崎:英語の吉本先生を呼んでやろうぜ。
僕と静香ちゃんは、このチャンポンの発言にはドキッとした。
佐々木:それがいいな。では、俺はこれから吉本先生に交渉しにいってくるから、みんなちょっと暇をつぶしててくれ。
佐々木は教室を出ていった。
長崎:じゃあ、暇つぶしということで、朕が新しいギャグを披露してやるが、みんなどうか。
助平:よし。聞いてやる。
長崎:科学者の発明の理由編で行くぞ。
タイムマシンの発明の理由・・・誰かにおとといきやがれと言われたから。(爆笑)
助平:チャンポン。最初からとばすなあ。
長崎:以上。
助平:もう終わりかい。
長崎:では、次のギャグは・・・。
佐々木:みんな。吉本先生が来たぞ。
吉本:みんな。どうも。
長崎:佐々木。お前速すぎ。これから朕のギャグがフィーバーするところだったのに。
川村:佐々木君。何でそんなに速いの。
佐々木:そこの廊下で見つけたから。
吉本:みんな英会話やりたいんだって?
長崎:はい。
吉本:わかったわ。今から始めちゃってもいい?
レボ部員:はーい。
吉本:そうねえ。じゃあ、どういう風に始めようかなーっ。
名取:とりあえず、みんな英語でしゃべってみようよ。
秋山:賛成。
佐々木:じゃあ、これから五分間、みんな英語でしゃべること。では開始。
長崎:Hello. Mie.(こんにちは、ミエ)Do you like Japan?(日本は好きですか)
吉本:Wait.I am japanese.(私日本人なんだけど)
長崎:Sorry. I think you are Chinese.(失礼、中国人かと思いました)
吉本:Am,why don’t you speak in Chinese but in English,if you think I am Chinese ?
(あの、何で中国人だと思ったら中国語じゃなくて英語で話すの)
長崎:’Cause we have to speak in English now.(だって、今は英語で喋らなきゃいけないんですよ)
吉本:Don’t come back reality in a hurry.(急に現実に戻らないでよ)
長崎:Oh, by the way, do you talk with me in a café?
(まあ、それはいいとして、今度お茶しませんか)
I will give you my best joke.
(とっておきのギャグを聞かせてあげますよ)
吉本:How is your joke?(どういうギャグ?)
長崎:I’ll tell you it when you talk with in a café.(それはお茶した時に言いますよ)
吉本:But, I will loss my time if I can’t laugh at.
(でもねえ。つまんなかったら時間もったいないし)
朝霧:My teacher, I laughed at syort joke of Mr.Nagasaki.
(先生。さっきの長崎君の一発ギャグは面白かったですよ)
長崎:Asa says so, Mie, please talk with me in acafe?
(朝ちゃんもそう言ってるし、ね、先生、お茶しましょ)
吉本:O.K.(わかったわ)
朝霧:It’s like TV program whose story is a love story of high school teacher and high school student.(逆高校教師ですね)
で、こんなふうに英会話が続き、5分経った。
川村:ああ、疲れた。
神山:先生。本当にチャンポンとお茶するんですか。
長崎:もちろんするに決まってるじゃん。さっき先生OKしたし、ね。先生。
吉本:そう言われてもねえ。
朝霧:先生。一度言ったことは守りましょうよ。
吉本:・・・・・・。
佐々木:先生。このことは他の先生には言わないんで。
吉本:うーん。なんかこれじゃあ英会話じゃなくて、お茶する約束をしに来たみたいだわ。
佐々木:そんなことないですよ。先生。英会話はこれからが真骨頂ですよ。
川村:先生。今度は質問コーナーにしません?
吉本:どういう質問?
川村:この日本語は英語では何って言うかという質問です。
吉本:それはいいね。みんな、それでいい?
みんな賛成したんだ。で、早速チャンポンが質問した。
長崎:では、「このお方はどなたと心得る」を英語にしてください。(笑)
吉本:長崎君って変なことばっか言うわね・・・・・・。
助平:やられた。チャンポンの質問は俺が言おうとしたんだけど。
長崎:なんだ。負け惜しみか
助平:違う俺は助さんだからだ。
吉本:まあ、それはいいとして、英語で言うとWho is he? かなあ。
佐々木:先生。それだと「こいつは誰だ」という日本語と変わらないじゃないですか。
吉本:そう言われてもねえ。
川村:先生。一応このお方は黄門様なんで、お偉い人だからhe は the gentlman でいいと
思いますけど。
吉本:なるほど・・・・・・。
と、こんな風にレボ部と吉本先生の英会話のキャッチボールはクラブ終了時間まで続いた。
佐々木:じゃあ、今日はこれで終わります。みんな解散。
吉本:では、みんなまたねーっ。
長崎:みんな、朕はこれから吉本先生とお茶するからバイビーだ。
吉本:え。長崎君。お茶って今日なの?
長崎:そりゃそうですよ。善は急げって言うじゃないですか。
佐々木:先生。約束事は早く済ませた方がいいですよ。
朝霧:みんなの前でOKしたんですからねえ。
吉本:・・・・・・わ。わかったわよ。じゃあ、長崎君。帰りましょ。
長崎:はい。
チャンポンと吉本先生は先に教室から出て帰っていった。
名取:佐々木君。本当にこれでいいの?
佐々木:そう言われてもねえ。
助平:これでいいってどういうこと?
川村:助。さっきのチャンポンと吉本先生のやりとりで気付かない?
阿曽部:それって、チャンポンって本当は吉本先生が好きってこと?
助平:そうか。なるほど。俺も何か変だって思っていたんだけど。
川村:でも、私はチャンポンには吉本先生より美華ちゃんの方がいいんじゃないかって思う
のよね。美華ちゃん。すっごくかわいいし、一生懸命なのよね。
朝霧:美華ちゃんって誰?
助平:チャンポンのことが好きな子。その子、チャンポンに告白したんだ。
朝霧:そんな子がいたの?でも、それってフったってこと?
名取:その子小6だからね。美華ちゃんあと、4年早く生まれていたらねえ。
朝霧:複雑だね。でも子供じゃあね。
川村:でもさあ。私は年齢で決めたくないのよ。精神年齢が実際の年齢より高い子だってい
てもいいと思うのよ。
僕には今の愛ちゃんは美華ちゃんを昔の自分に重ねてるように見えた。
名取:愛は昔から恋愛してたからね。
佐々木:え?
秋山:そういえば愛ちゃんは入学式の自己紹介で恋って成長するって言ってたね。
助平:何で静香ちゃんが愛ちゃんの昔のこと知ってるの?
川村:私と静香は幼稚園から小学校も中学校もずっと同じ学校で同じクラスだったから。
名取:そ。しかも、3歳の時からずっと一緒なわけ。
秋山:そうなんだ。
助平:それより、みんな帰ろうぜ。
今日は残りのみんなはそろって帰った。帰りの途中で美華ちゃんとその友達の友子ちゃん(増田友子)と雪絵ちゃん(小山雪絵)に会った。
川村:あれ、美華ちゃん。そこで何してるの。
宮下:愛さん。レボ部のみなさんこんにちは。実はターちゃんの待ち伏せ。・・・・・・。あれ、ターちゃんは?
みんな一瞬考えた。こういう展開はもちろん考えていなかった。
佐々木:えーと。何って言ったらいいんだ?
名取:美華ちゃん。実は・・・・・・。
宮下:何かあったの?
川村:チャンポンはね。今、好きな人とお茶してるの。
宮下:何とかっていう先生のこと?
川村:・・・うん。
美華ちゃんは顔を下にうつむいた。
増田:美華。どうしたの。
宮下:・・・・・・。
小山:美華。勝負よ。その先生と勝負よ。
宮下:でも・・・。
増田:私たちもついて行くから。
美華ちゃんは考えていた。
小山:美華。ここでターちゃんが何とかという先生とうまくいってもいいの。
宮下:・・・わかった。でも場所がわからない。ねえ、レボ部のみんなはターちゃんがどこでお茶しているかわかる?
みんな戸惑った。もちろんチャンポンがどこへいったかはみんな知らないからどうしようもないのかと思ったけど、一人知っている者がいた。美子ちゃんである。
神山:Time Window よ。
Time Window は、駅前にあるコーヒーカフェの名前なんだ。
宮下:美子さんありがとう。友子、雪絵、行くよ。
美華ちゃんたちは去っていった。
名取:美子。教えない方が良かったんじゃない?
神山:でも、美華ちゃん本気だからできることはしてあげようと思って。
朝霧:でも美子ちゃんは何で知ってるの?
神山:冥想したの。
朝霧:え?冥想?
美子ちゃんの力を知らない朝ちゃんはもちろん驚いていた。
佐々木:美子ちゃんの冥想は百発百中なんだ。ここまで来ると女神だけどね。
助平:青春だねえ。
阿曽部:助。あんたは爺さんかい。
その後、みんなの会話が途切れた。というわけで今日の話はこれくらい。え、チャンポンたちはどうなったかって?ごめん今日はわからない。けど、次の日にチャンポンが話してくれたんだけどね。
では、次の日にお会いしましょう。
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