第14話 4月22日(日)季節はずれやみなべ大会
きょうはレボ部のみんなで佐々木んちで季節外れのやみなべ大会をやるんだ。用意するものは、食べ物を一品と胃薬。集合場所は佐々木んちで時間は午後五時。
佐々木んちは4LDKの普通の一軒家。佐々木の家族は今日はみんな出かけていた。やみなべは居間でするんだ。今日も賑やかになりそうだ。
こういう日にもお約束をする奴がいる。そう。チャンポンだ。今日もチャンポンは遅刻をしたんだ。
長崎:いやあ。みんな悪りぃ。
名取:また遅刻。
佐々木:おう。チャンポン。来たか。あんまり遅いもんだからチャンポン抜きで美子ちゃんが作って持ってきたクッキーをみんなで食べちまったよ。
長崎:なぬ・・・。朕の居ぬ間にそんなことを・・・・・・。
川村:美子ちゃんのクッキー凄いうまかったよね。
助平:思わず美子ちゃんの味がしたぜ。
阿曽部:思わずギャフンと言いそうだったよ。
秋山:天にも昇る味だったよね。
名取:なんか泣けてきちゃったよね。
佐々木:天国のおばあちゃんが喜んでたよ。
長崎:あの・・・。みんな言ってることがかなりわけわかんないんだけど。
助平:つまり、チャンポンは残念だったということだ。
阿曽部:そう。チャンポンは残念な人だったということだ。
川村:ああ、チャンポンが生きていたらなあ。
長崎:おい、勝手に人を殺すな。・・・・・・。というか、みんな変だぞ。どうしたんだ?
神山:実はね。みんなアルコールが入ってるのよ。
長崎:おい。それってちょっとまずいんじゃないか。
名取:まずくないわよ。おいしいよ。ね、愛。
川村:もうたまんないよね。
長崎:いや、まずいってそういう意味じゃなくて。
佐々木:まあチャンポン。固いこというな。酒とタバコは二十歳までってよく言うじゃないか。
長崎:いや、二十歳からだろ。
神山:チャンポン。勘違いしないでね。実はアルコールといっても、私のクッキーの中に隠し味としてワインがちょっと入っただけなんだけどね。
長崎:それだけでみんなベロベロなのか。
神山:うん。
助平:とにかくやみなべ大会やろうぜ。
佐々木:よし。チャンポンが来たところで始めるか。
助平:よっ。待ってました。
佐々木:では、みんな何を持ってきたか順番に出してもらおう。まずは助から。
助平:俺はすっぽん。
阿曽部:マジか。
助平:精力つくぜ。
川村:精力つけてどうするのよ。
長崎:朕はすっぽんはちょっとダメかも。
佐々木:いや、チャンポンだけじゃなくてみんなダメだろうな。
助平:まあ、一応みんな食べやすいように原型じゃなく家で切ってきた肉だから安心してくれ。
佐々木:まあ、いい。次は阿曽部だ。
阿曽部:僕はフォアグラを持ってきた。
全員:おーっ。
名取:鍋に入れるのはもったいないわね。
川村:でも素敵。
佐々木:次は愛ちゃん。
川村:私はカツね。愛は勝つ。なんちゃって。
神山:愛ちゃん考えたね。
佐々木:愛ちゃんはこのへんはさすがだよな。次はチャンポン。
長崎:朕はチャーシュー。
助平:なんだよチャンポン。ちょっとはひねろよ。チャーシューは予想通りじゃん。
長崎:のりやワカメよりはマシだろ。うちのチャーシューをなめるなよ。
佐々木:まあいい。次は静香ちゃん。
名取:私は今近所で噂になっている宮下さんちの大トロ。
川村:宮下さんって、すし屋の宮下さん?
名取:そうよ。美華ちゃんのお父さんが経営しているのよ。
川村:へえーっ。美華ちゃんちも店やってるんだ。チャンポンも店やってるから相性がいいじゃん。
助平:チャンポン。こんなときもみせつけるのか。まいったね。
長崎:おいおい。
佐々木:次は清彦。
秋山:僕はマツタケに似ているしいたけ。
長崎:ただのしいたけとどこが違うってんだい。
佐々木:まあいい。美子ちゃんはクッキーだったよね。もうみんな食べちゃったけど。というわけで、最後は俺。最後だからトリ肉。
助平:佐々木。自分を最後に持ってきたわけがわかったよ。
佐々木:とにかくだ。みんな持ってきたのを鍋に入れて。
美子ちゃん以外みんな自分の持ってきたものを入れた。
神山:佐々木君。私が持ってきたクッキーはみんなで食べたから。
佐々木:あ、そうか。ひとつ足らないか。うーん。・・・・・・。
助平:佐々木の家にあるものでいいんじゃないか。
佐々木:いや、家にあるものといえば確か、納豆、ひき肉、金時、ポテトサラダ、福神漬け、卵、氷。
長崎:どれもダメだなあ。氷なんて話にならない。
川村:そういえば、さっき冷凍春巻きがあったよ。
佐々木:あ、愛ちゃん。それは俺の明日の朝食・・・・・・。
助平:なんだ、ちゃんとあるじゃないか。
長崎:佐々木。明日納豆食えばいいじゃん。
佐々木:・・・・・・。
川村:じゃあ春巻きを入れてっと。それでどうするの。
佐々木:くじで中身を取る順番を決めて一人ずつ鍋からとっていこうじゃないか。
長崎:なるほど。
名取:それより、鍋の中身が見えるから何か入れないとね。
助平:しょうゆがベターなんじゃない?
川村:ちょっと。私のカツを醤油で食べるの?
阿曽部:それをいったら僕のフォアグラはどうなるの?
佐々木:まあまあ。とにかく、家にあるものは、味ポン、醤油、ソース、麺つゆだけど。一応多数決で決めるか。
味付けは多数決により麺つゆに決まった。
佐々木:それじゃあ、取る順番を決めるぞ。
くじで順番が決まった。
佐々木:みんな取ったときに一口食べて感想を言うこと。
川村:すっぽんだけはきませんように。
そう。このやみ鍋でみんな思っている爆弾はズバリすっぽんだ。
佐々木:じゃあ、最初は美子ちゃんから。
美子ちゃんは春巻きを取った。
神山:この春巻きおいしいね。
佐々木:俺の春巻きが・・・・・・。
長崎:次は清彦。
僕はフォアグラだった。
名取:清彦君いいなあ。
秋山:やみなべでフォアグラが食べられるとは思わなかったけどね。でも味は微妙。
佐々木:次は俺。
佐々木はカツだった。
佐々木:うーん。うまいけどオチが浮かばない。
長崎:次は阿曽部。
阿曽部は鳥肉だった。
阿曽部:鳥肉と麺つゆって結構マッチしてるね。
名取:次は私ね。すっぽんがでませんように。
静香ちゃんはしいたけだった。
名取:マツタケもどきかあ。でもおいしい。
残りは助と愛ちゃんとチャンポンである。まずは助から。
助平:実はみんな俺がすっぽんを取ると思ってるだろ。
神山:そりゃあ、助はそういうキャラだもん。
助平:だが、今日の俺は一味違う。
助が取ったのはチャーシューだった。
助平:いやあ。おいしいなあ。な、チャンポン。
長崎:そういって心の中ではざまあみろって言ってるんだろ。ま、朕のチャーシューはうまいけどな。
川村:チャンポン。そんなのんきなことは言ってらんないわよ。
助平:愛ちゃん大丈夫だって。チャンポンはすっぽんと同じ種族だから、すっぽんはチャンポンにいくって。
長崎:助。どういう意味だよ。
助平:だって同じポンだろ。
長崎:意味わかんねーよ。
川村:でもそう言ってると少しホッとした。私にすっぽんが来るわけないよね。
しかし、愛ちゃんはすっぽんを取ってしまった。
川村:えーっ。何でーっ。
愛ちゃんは涙目になっていた。
川村:本当に食べなきゃいけないの。
名取:愛。観念しなさい。
川村:静香の裏切り者。化けてでてやるから。
名取:化けるって死ぬわけじゃないでしょ。すっぽんは健康にもいいし。
愛ちゃんは涙を流しながら食べていた。
長崎:じゃあ、最後は朕ということで。
チャンポンは大トロを取って食べた。
川村:美華ちゃんちの大トロを取るなんてさすがチャンポンね。
長崎:さすがって言われても、これしか残ってないじゃん。
川村:ああ、こんなところでも結ばれるってうらやましい。
長崎:愛ちゃん。やけになってるんじゃないかい。
川村:だってーっ。ヒロインの私がすっぽんなのよ。
助平:裸じゃないじゃん。
川村:そのすっぽんじゃなくて、・・・・・・。
佐々木:まあまあ。愛ちゃん。水でも飲んで。
今日もレボ部ははじけるところで今日の話はおしまい。え、もっと続けてほしいって?でも今日はやみなべがメインなのでこれでおしまい。
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