第6話 4月14日(土)美子ちゃんの占い

 今日は休み。家でのんびり過ごそうかと思ったら、いきなり佐々木から電話が来た。

佐々木:よう。清彦。今日暇か?

秋山:暇だけど。

佐々木:美子ちゃんが占いのバイトをやっているんだ。面白そうだから見に行かないか。

秋山:他にいく人は?

佐々木:愛ちゃんと静香ちゃんと助とチャンポンと阿曽部。

秋山:いつものレボ部のメンバーね。

佐々木:そうだ。

秋山:どこで待ち合わせ?

佐々木:駅前に十二時。

秋山:わかった。

 うちの学校はバイトは禁止じゃないんだ。理由は、バイトは社会勉強だからだ。だけど、生徒がキャバクラとかで仕事をしたりしたらやっぱり問題だから、どこでバイトをしているかは学校に報告をしなければいけないのが決まりなんだ。まあ、学校がバイトを禁止しても隠れてバイトをする人はいると思うけどね。

 それはさておき、約束の十二時になったが、一人を置いてみんな駅前に集まっていた。その一人はチャンポンである。チャンポンはこういうときも遅刻をするんだ。

助平:チャンポンのやつ遅えな。

佐々木:しかし、チャンポンは今日はどういう言い訳をするんだろうな。

 さらに二十分遅れてチャンポンが到着した。

長崎:いやあ、みんな悪りぃ。遅れてしまった。

佐々木:遅せーぞ。

長崎:いやあ。実は道の途中で女の子に告白されてさあ、ちょっと話をしてたんだ。

名取:嘘でしょ。

長崎:ん。静香ちゃん怒ってる?

名取:当たり前よ。

長崎:そうか。俺がもてるのに腹を立てたのかな。

名取:そんなわけないでしょ。遅刻したからよ。

助平:チャンポン。本当のことを言え。

長崎:嘘じゃねーよ。本当だよ。

阿曽部:マジで。

秋山:そうだ。チャンポンが嘘をついてるかどうか美子ちゃんに占ってもらおうよ。

佐々木:そうだな。

 みんなで美子ちゃんがバイトしている占いの館に行った。その占いの館は駅の寄り合い場の広場の真ん中にあるテントであった。そのなかで美子ちゃんは占いをやっているんだ。

川村:美子―っ。元気ーっ。

神山:あっ。愛ちゃん。みんな。

 テントのなかには、中心に布がかぶせてあるテーブルがあり、その上に水晶玉が置いてあり、そのテーブルの内側に美子ちゃんが座っていた。

佐々木:美子ちゃん。早速だけどさあ。占ってほしいことがあるんだ。

名取:そうそう。チャンポンが女の子に告白されて、そのこと話をしていたから今日待ち合わせの時間にこれなくて遅刻したんだといってるのよ。本当かどうか占って。

長崎:美子ちゃん。みんなの前で疑いを晴らして。

神山:いいよ。

 美子ちゃんは水晶玉に両手を上からかざし、それをじーっと見て言ったんだ。

神山:水晶玉の中にチャンポンが見えます。時間は十一時五十分。女の子に声をかけられ告白されました。

助平:マジ!

 みんな驚いたんだけど、実はオチがあるんだ。

神山:うん。だけど小学生よ。

長崎以外全員:はぁ?

 みんな笑った。僕もまさか小学生とは思わなかった。ここでチャンポンが一言。

長崎:美子ちゃん怖い。

 さらにみんな笑った。美子ちゃんはニッコリして言った。

神山:そうだ。みんな昨日の夜何をしていたか占ってあげようか。

佐々木:それはいいなあ。

 みんな乗る気だったので、美子ちゃんの占いが始まった。

神山:では、まずは助から行こうか。

助平:なんで俺から?

神山:そういうキャラだから。

 なぜかこの美子ちゃんのセリフは説得力があった。まあそれは置いといて、

助平:えっと・・・・・・助は電話をしています。・・・その相手は愛ちゃんかな?

助平と川村以外:まじーっ。

川村:別に特別な関係じゃないよ。

名取:誰もそんなこと言ってないよ。

佐々木:助―っ。何を話したんだ?

助平:いやあ、愛ちゃんに一言。『湯上りの君は素敵だね。』といっただけだ。

長崎:おい、電話で湯上りの愛ちゃんが見えるわけないだろ。

助平:いやあ、そのボケをかましたかったんだ。

名取:本当?

神山:そうみたい。

川村:そう。そして、そのボケをいうために電話してきただけみたい。

神山:そして、佐々木君も愛ちゃんに電話したのよ。

長崎:おっ。早くもライバル出現か。

佐々木:俺は愛ちゃんにはただみんなで美子ちゃんのとこに遊びに行こうといっただけだ。

神山:さらに、愛ちゃんに一言『今夜の愛ちゃんはいい香りがするねえ』と言ったでしょ。

佐々木:いやあギャグだよ。ギャグ。

 佐々木はさらに一言、

佐々木:美子ちゃん怖い。

神山:じゃあ、次は阿曽部君。

阿曽部:僕のはつまんないよ。

神山:そうね。ただゲームをしているみたい。

長崎:ほんとつまんねえ。

名取:ほんと。ほんと。

阿曽部:おい、なんでそんなことを言われなきゃいけないんだよ。

神山:次は静香ちゃん。

名取:え。私?

神山:静香ちゃんはねえ、弟と喧嘩。

佐々木:ほうほう。その原因は?

神山:弟さんが静香ちゃんの事ペチャパイって言ったから。

 助が静香ちゃんの胸をジーと見ていた。

助平:なんだ。大きく見える胸はパットだったのか残念。

名取:うるさいわねえ。

長崎:そうか。どうりで静香ちゃんの胸はパッとしないんだ。

助平:チャンポンうまい。平常点アップ。

名取:二人ともおだまり。・・・・・ねえ。美子。チャンポンはどうなのよ。

神山:チャンポンはね。ただお笑い番組見ていただけ。

秋山:チャンポンらしいね。

名取:なんかつまらないわね。他にはないの。

神山:そうね。寝る前に上半身裸で一人で江頭2:50の物真似の練習をしてたみたいね。

 みんな目を細くしてチャンポンを見た。

長崎:なんだよその目は。

名取:あんたって変っているとは思ったけどやっぱり変ね。

神山:じゃあ、最後は秋山君。

 ついに僕の番が来た。といっても昨日は面白いことは何もしていないんだよね。

神山:秋山君は勉強して寝ただけ。

佐々木:清彦は真面目だからなあ。

長崎:何のオチもないなあ。

川村:そうだ。秋山君が寝ているときに見た夢ってわかる?

神山:わかるわよ。ちょっと待って。

 美子ちゃんは目を閉じて手を水晶玉にかざして集中していた。少し時間がたって美子ちゃんは静かに目を開いていった。

神山:そうね。秋山君が見た夢は・・・。

助平:わかった。Hしている夢だろ。

秋山:実はそうなんだ。だけど肝心なところでモザイクがかかってさあ・・・っておい。なに言わせるんだ。そんな夢は見てないって。

川村:本当はどんな夢見たの。

秋山:宝くじで一等が当たった夢。

神山:そして、秋山君は起きた時に寝ぼけてベッドの周りを見てこう言ったのよ。『あれ?三億円どこ』って。

 みんな笑った。美子ちゃんも結構オチを言うのもうまいと感心してしまった。そして僕は一言。

秋山:美子ちゃん怖い。

 みんな自分の昨日の出来事の占いがひととおり終わって、佐々木がこれからカラオケに行こうと言ったので、カラオケを6時間も歌ってしまった。今日は美子ちゃんの占いの話がメインなのでカラオケの話はまた今度。というわけで今日は深い眠りにつこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る