第8話
その夜、私は奇妙な夢を見た。どこか知らない建物の中に、私はいた。建物の中には噴水があり、水の流れがあった。建物は広く、商業施設か何かのように見える。
私はその噴水の池をのぞいた。すると、黒い石が落ちている。
「え?」
ただの石ではない。青く光る石だった。お尋ね者だ。
けれども、それは私の手の届く場所にはなかった。建物の中を走り回り、私は管理人を探し回る。でも、どんな人かも知らずに探すのは、簡単じゃない。走って、走って、息を切らして座り込む。周りの人たちが、私のほうに視線を向けた。でも、それはどうでもよかった。
私は家に戻って、水着を持ってこようかと考える。でも、何かが引っかかって、できなかった。私はもう一度、石のある場所に戻ると、他人の視線は構わず、靴を脱ぎ、靴下を脱いで、スカートを持ち上げながら水に片脚をつけてみる。深い。やはり水着か裸でなければ、服が濡れてしまう。持っていたハンカチで脚を拭いて、さっと靴下と靴を元どおりにする。
背が高い大人の男性なら、石を拾えるかもしれない。それとも、何か道具が必要だろうか。
次の瞬間、私はまったく別の場所にいた。そこは、私が何度か行ったことのある公園だった。小さな公園で、私は豚の公園と呼んでいる。名前は知らない。豚の遊具と砂場がある公園だ。
その公園で、1羽の鳥と出会う。私が葉っぱを手にすると、鳥は私に近づいてくる。そして、高らかに啼く。鳥は葉っぱを咥えると、一気に何倍も大きくなって、私をその背中に乗せる。そのままどこかへ私を運んでいくのだ。
私はここで目覚めた。時計を見ると、まだ午前4時だった。
2つの夢の内容を、鮮明に覚えていた。私は、パッと起き上がると、机のスタンドライトだけつけて、夢の内容を夢中で書き留めた。意味があるのかどうかはわからなかった。それでも、石を見たのだ。
少しだけ、右手が痛くなる。書きすぎなのはわかっていたけれど、仕方なかった。すぐに寝つけそうな気分じゃない。たぶん、退屈で眠くなるような作業をしないと眠れない気がした。
私が選んだのは数学のテキストだった。苦手な科目はあまり手を触れたくない。でも、これを理解しようとすれば、眠くなるかもしれないと思った。内容が理解できてしまうと眠くならないかもしれないので、私は教科書の、まだやっていない後ろのページの単元を開いて、そのページの説明文を読み始める。案の定、さっぱりわからない。
最初はまったく集中できなかったが、一度そっと目を閉じると、もう一度教科書に集中する。眠くなり始めるのに、そこまで時間はかからなかった。たぶん15分かそこらだ。私はスタンドライトを消して、再びベッドに潜り込む。
気がつくと、そこは知らない部屋だった。部屋は異様なほど広く、ガラガラと言っていいほど、ほとんど何もない洋室だ。私はソファに座っていて、窓の外は庭のようだ。それも、とても広い。外にはなぜか馬車が停まっていて、私は馬車に乗ることになっているようだった。私は一緒に乗る相手を待っているけれど、いつまで待っても相手は来ない。ただずっと、1人でそこに座って馬車を眺めている。馬の1頭が、私を見たように感じた。濃い茶色の毛で、室内から見る限り、毛並みが美しい立派な馬だ。
私は、馬が何か力を持っているのだと感じた。けれども、次の瞬間には目が覚めてしまう。強い光が射していた。もうすっかり朝だ。
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