本書は、江戸の怪談話を厳選した古典、
【江戸の怪談話】を、何と現代語訳すると
いう素晴らしい試み。作者による、現代に
於いても理解共感出来る編集がされて
あるのも嬉しいが、最後にちょっとした
コメントが又、効いている。
こんな怪談が読みたかった。
只々、その一言に尽きる。
今はもう、目を凝らさなければ見つけられ
ない路地の暗がりや、つるりとした幹に
脅かす手振りの柳。海鼠壁の塀の上を
音も立てずに走り去る猫。薄暗い竹藪の
中に響く乾いた音。冴えざえとした
立待月に蝙蝠の乱舞、何処からともなく
聞こえて来る怪しの聲。
幽霊に妖怪、物の怪三昧の贅沢。
江戸の情緒を感じながら是非とも
覗いて見て欲しい。
多くは語るまい。只、この國には
これ程までの 文化 があった。
怪談という名の 芸術 があった。
それをまざまざと見せてくれる。