水辺にて

 ある男が六歳になるおいをつれて、山に出かけた。

 その甥をみずみに行かせたところ、なかなか戻って来ない。

 心配になった男が池へ行くと、甥の代わりに大蛇が一匹横たわっているではないか。

 事情を察した男が蛇の頭を矢で射抜き、腹の膨れたところを脇差で切り裂くと、気絶している甥が出てきた。

 甥の命に別条はなかったが、頭髪はすべて抜けており、以来生えなかった。 



参照:高田衛編・校注「江戸怪談集上」の宿直草『蛇の分食といふ人の話』

話の視点を伯父に直し、細かい描写を排した。話にリアリティはある。

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