親不孝者
夫と死に別れ、貧しい暮らしをしている女がいた。
一人息子だけが頼りだったが、これがまったくの親不孝者であった。
母親の言うことをまったく聞かず、そのうえ口汚くののしるのだった。
事情を知っている者たちは口々に「あいつはろくでもない死に方をするだろう」と言っていた。
それは不良息子が十七歳の夏、昼寝をしているときに起きた。
となりの家へ母親がお茶を飲みに出かけたあと、息子の大声が辺りに響いた。
母親が近所の者と家に帰ってみれば、なんと舌を引きちぎられて息子が死んでいるではないか。
息子の死体からは強い異臭がしていた。
参照:高田衛編・校注「江戸怪談集上」の宿直草『不孝なるもの舌をぬかるる事』
抹香臭くてあまりおもしろくはないが、身につまされる話だぜ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます