『小さなお話し』 その30

やましん(テンパー)

『心霊カメラ』 (上)

【 🌌これは、作者の妄想による、まったくのフィクションです。】

 



 はばらの片隅の、橋のたもと。


 むかしは、この向こうに、鉄道の博物館があったのですが、その後、引っ越ししてしまいました。 


 夕暮れ時、そのたもとには、何軒か、出店が出店しておりました。


 ふと、ながめてみれば、『新発売⁉️心霊カメラ特別限定販売価格1500円』。


 と、あります。


 『なんだか、あやしいですなあ。』


 と、思いながら、おもちゃ大好きな性格が祟って、ほっては置けません。


 『おじさん、これ、なに?』


 と、聞いてみたら、こんな回答がきました。


 『そら、あんた、心霊カメラですだかんね。心霊以外は、写らないだべさ。』


 『だべさって、それって、何にも写らないって、こと?』


 『またまた、ほれ、これが、見本ね。ここと、あと、おらが、村さと、で、写した。』


 20枚ほどの、写真が挟まった、ミニアルバムであります。


 たしかに、1枚目、いかにも、おもちゃカメラっぽく、レトロに写っておりますが、人の類いは、まったく、写っていない。


 風景は、ちょっとぼけぎみではありますが、写っております。


 

 そこに、人はいない。


 自動車もいない。


 にゃんこさえ、いない。


 まったく、静止した空間です。



 『こりゃあ、ピンホールカメラみたいな感じだなあ。』


 『いいとこ見るだべな。でも、ほら、ここ、ちゃんとレンズね。針あなじゃないべな。次のページ、どうぞ。』


 『はいな。ややや、この、この、ぼんやりとしたものは・・・・ひとのかたちかな。でも、なんか、なんだろう???』


 『ばしょは、ここね。写ってるのは、たぶん、大昔の霊魂だべ。てんびんぼうで、なにかを運んでいた姿だべな。裸足なのが、わかるべ。うんね、ここ、あたまがある、からだは、すきとっおってる。衣服は、はっぴたみいなの、ひっかけてるようにも見えるが、よくは、かわからない~~い。』


 『ふう???ん。まあ、そういわれれば、そうもいえるなあ。そもそも、なんで、幽霊写真の幽霊は、服、着てるんだろ?』


 『それは、なぞだべ。物質が、幽霊とともに、この空間に併せて記憶されたからなのかもしれないべ。』


 『んな、意味不明な事は、ないだろうなあ。次は、なななななな。あからさまに、ポーズしてる。もろ、近接撮影写真だ。』


 若い女性だが、お顔に生気がないです。


 ちょっと、怖い気もするなあ。


 体が、半分以上、透き通っているではないですか。


 ただし、こうした現象は、まま、起きるものでありまする。


 たしかに、なんらかの、ポーズをとって、何かを伝えようとしているようにも、見えなくもないです。


 『ここから撮ったものだべさ。着ている物から見ると、そう昔じゃない。それ、そこ、あんたがいるあたりだ。今もいるかも。』


 『もおーー、おじさん、遊ばないでくださいよ。これ、でも、タイマーも、ついてるなあ。フラッシュもある。すごいな。メーカーはと・・・『こだっこカメラ』なんだ、そりゃ。』


 『製造元ここ。ね。』


 『はあ・・・・Made In Japan ・・・・・ ほんとか? おじさん、フィルムは?』


 『これね。専用フィルムだべ。期間限定生産、限定販売。あと、20本ね。1本200円。』


 『200円? そりゃあ、安いな。写るの?』


  コアラが、こどもをだっこしている絵が書いてあります。


 『 ≪こだっこフィルム≫。期間限定特別製造。日本製。』


  と、ある。

 

  写真集を指でつつきながら、おじさんが言ったのです。


 『だふぁら、これが、証拠ぞね。ばっちりぞなもし。』


 『ぶ。・・・おじさん、どこのお生まれ?』


 『ハワイね。』


 『ハ、・・・おそれいりました。まあ、おもしろそうだし、カメラ二台と、フィルム10本くださいな。』


 ぼくは、こうしたもが、たまらなく好きであります。


 『ありがとうございます、さすが、お目が高いなあ。今日は、良い方に出会ったなあ。』


 それは、無視しながら・・・、


 『この、この、アルバム、いただけない?』


 『あい、1000円です。』


 『売り物かいな。』


 『ま、でも、たくさんお買い上げいただいたから、サービスね、あ、それとね、よいしょ。こっちは、≪第2集≫です。衝撃の写真があります。これも、付けときます。ゆっくり見てね。』


 『ああ、ども。』


 ぼくは、千葉市の奥の方から出て来ていて、まあ、遠くはないが、毎日来るほどの金持ちではないです。


 電車と、モノレールとを乗り継いでくると、けっこう、時間もかかるのです。


 仕事は、わりと長く行っていたが、この世との、そりが悪くなって、最近、辞めてしまいました。


 彼女はいるが、もう10年近く、『おつきあい』、の、ままなのです。


 

 いづれ、このおじさんとは、以降二度と、出会わなかったんである、のでした。




 ************  📷  ******** 『中』 につづく!

 

















 


 

 

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『小さなお話し』 その30 やましん(テンパー) @yamashin-2

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