第7話 オカンからシャオママへ

拝啓 シャオママ様


初めまして。

あなたのお子さんを一昨年の6月に保護した者です。

オカンと呼ばれています。

たまに、コンビニ行くときに会っているので顔は知っているかと思います。

シャオと一緒に保護した(拉致った)マル君は、私の友人に引き取られました。

先住猫ともうまくやっているようです。

シャオもPHコントロールが必要ですが、なかなかやんちゃに育ってます。

先住猫ともうまくやってますし、甘えっこでぬくもりの好きな子に育ちました。

で…去年ですよね。

あなたにそっくりな女の子と、シャオにそっくりな男の子を用水路で発見しました。

シャオそっくりな男の子は、用水路に落ちてもがいていました。

あなたそっくりな女の子は、一度用水路に落ちたのを近所のおじさんが助けたそうです。

迷うことなく用水路に飛び込んで、くるぶしまでビシャビシャになりながら、なんとか救助しました。

その後は、里親探しとトイレ訓練やら人慣れさせたり、結構大変だったんですけどね。

なんとか、優しい里親さんも見つかり幸せに暮らしています。

で、ご相談なんですが。

育児放棄する場所考えてもらえませんか?

野良の世界では、生存できる子を優先させるのは分かっています。

やたら警戒心のないクォーツみたいな子は、一番最初にカラスやトンビに狙われます。

それを分かっていたので、たぶんクォーツママは私のアパートの玄関先を、クォーツに教えていたんだろうなぁと思います。

私や息子が保護してくれると信じて。

体の弱い子も、生き残れないと判断されれば放り出されます。

それは分かってるんですが…。

出来れば、用水路近くでの育児放棄はやめてもらえませんか?

去年は幸い水量が少なかったんで、仔猫たちはおぼれずに済みましたし、私が居合わせたので何とか助かりましたけど、もし時期やタイミングが悪かったらと考えると想像したくもありません。

シャオとマル君の時は、1週間近く鳴いていて2~3日前から雨に打たれていたんです。

野良の流儀に従って生きるなら、せめて用水路付近での育児放棄はやめてください。

出来るなら、交通量の多い道路付近も止めてもらって、うちのアパート近辺で育児放棄してもらえないでしょうか?

保護したら里親探し始めるんで。

今年は、たぶん4月5月あたりに育児放棄する可能性ありますよね?

こないだまで、うちの近所で発情期特有の鳴き声出してたの知ってます。

妊娠期間は、2か月~2か月半となると~と計算しました。

その時に備えて、プラケースやケージは用意済みだし、チラシの元原稿もとってあるし、息子も諦めてるんでこっちの準備は万端。

なので、今年こそ用水路近辺はやめて欲しいなぁと思って。

まぁ、こうなったらあなたの野良生活に、私も息子もとことん付き合うんで。

あなたを見かけた時に、多少の文句は勘弁してくださいね。


敬具 オカンより



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