第33話『ネタ作り』

「最近ネタギレなの」


急に真里奈さんから放たれた言葉は

俺の脳の活動を停止させるものだった

ネタギレ、というとおそらく小説のことだろう

真里奈さんが悩んだ顔で俺を見つめる

そういえば中の人もネタギレらしいよな

・・・・あれ、中の人って誰の話だ

まあいいや、真里奈さんの話を聞こう


「結構感想とかきてるんじゃないのか?」


「きてはいるけどネタが生まれるわけじゃないから」


実は、前に雲雀さんが感想を書いてくれたおかげで

真里奈さんの小説のアクセス数は上昇するばかりなのである

だが真里奈さんはまだ自分のことはひよっこだと思って

毎日いろんなネタを書いて俺に提案してくる

それを実際にやっていいか悪いか考えるのが

最近の日課である


「提案するネタもねぇの?」


「うん・・・・完全に行き詰まってて、何すればいいか・・・・」


「んー、じゃあ明日どこか出掛けようぜ」


「え?どうして?」


「いろんな店回ったらなにか思いつくんじゃね?」


「なるほど!金君さすがね!じゃあ明日よろしくね!」


真里奈さんは嬉しそうにそう言ってどこかへ行ってしまう

それとすれ違いに百華さんが俺のとこへ来る


「なんか嬉しそうにしてたけど、なにかしたの?」


「ネタギレだから一緒に出かけてネタ作りをしようって話になったんだよ」


「なによそれ、ムードのないデートみたい」


・・・・デート?確かにこれはデートと呼べるものかもしれない

や、やべぇ、俺ふつーーーに誘っちゃったよ

俺が緊張してるのを見てクスリと笑う百華さん


「あなた、それがわからずに言ったの?相変わらずおかしい人ね」


「な、なんだよ!笑わなくてもいいじゃねーか!」


「どうせ服無いんでしょ?貸してあげるわ」


「いいのか!ありがとー恩にきるぜ!」


百華さんは少し嬉しそうな顔をして

指を鳴らして執事達を呼ばせる

するとすぐに男物の服がずらりと並ぶ

これから選べってか、ひゃーっおっかねぇ

久々のデートか・・・・楽しみだな














「お嬢様、そろそろ」


「ええ、分かっているわ。そろそろこの学校ともお別れね」


「ですが・・・・いいのですか?友人方に許婚とのことを話さなくても」


「しょうがないじゃない・・・・・皆の邪魔なんて出来ないもの」

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