第32話『恋にダメなんて関係ないよ!』

「雲雀さんの気になる人って先生!?」


私が大声で叫ぶと慌てて私の口をふさぐ雲雀さん


「しーっ!聞こえちゃうでしょ!」


「やっぱりそうなのね。そうなんじゃないかと思ってたわ」


「神宮寺さんは何か知ってたの?」


「ええ、それは結構噂になるくらい。あら、知らなかったの?」


しってるわけない、何故なら私はまだ

そんな噂話を教えてくれるほどの友達などいない

実質この二人が私の友達に近い感じだし

まともに話せるのは金君達も含め四人だけ

もっと交友関係は広めた方がいいってのは分かってるんだけど

私目が鋭いから怖がられるのよね


「なるほどね、でも先生と恋愛関係になるのはダメじゃないかしら?」


神宮寺さんが困った顔して雲雀さんに聞く

すると少し怒ったような真剣な顔で机を叩く


「恋にダメなんて関係ないよ!犯罪でない限り私は諦めない!」


私はその剣幕に圧倒されてしまったが

神宮寺さんはさらに困った顔をして説明する


「一応福祉か何かで先生と生徒は恋愛禁止なの。18歳を超えなきゃダメみたい」


「え!?そうなの!?なんでなんでー!」


「人を教える立場の人がいけない行為をしてしまうかもしれないからよ」


「明智先生はそんなことしないよ!」


「おい、うるせえぞお前ら」


雲雀さんと神宮寺さんが言い争う中

急に先生本人が入ってきて止めてきた

先生、もとい明智健吾先生は耳を塞いでいる


「先生!先生は生徒に如何わしい行為はしませんよね!」


「少なくともお前にはしないな」


「なんでー!ていうか今の話聞いてたの!?変態ー!」


「聞いてたも何も職員室隣だから聞こえるわ」


聞いてた割には冷めた対応をする

私は神宮寺さんを見るけど

相変わらず困った顔で首を振る

どうにでもなれ、ということらしい


「じゃあ言います先生!好きです付き合って下さい!」


少しほおを赤く染めはっきりと告白した雲雀さん

私はびっくりして口元を抑える

そんな大胆にいっちゃうの?大丈夫?

先生しばらく動かなかったが、雲雀さんの頭を撫で始めた


「目を覚ませ雲雀。お前が言うほど俺はいい男ではない」


「いいえ!最高の教師です!」


「リピートアフターミー?先生はいい男ではない。はい」


「せ、先生はいい男ではない」


「はーいよくできまちたねー」


「ちょっと先生遊んでるでしょ!」


一通り雲雀さんを弄っていると

返事はせずに職員室に帰ろうとする

それを慌てて雲雀さんが手を掴み止める


「やめておけ雲雀。俺たちはそういう関係にはなってはいけない」


先生は優しく手を離すと職員室に戻る

雲雀さんは座り込んでしまい

私が慌てて支える

泣きそうになっている。どうしよう、失恋の慰め方なんて知らないよ


「落ち着いて雲雀さん。あなたならもっといい人見つけられるわよ」


「うう。ひぐっ、そう、かな?」


「ええ、存分に泣けばいいじゃない。涙の数だけ強くなる、ってね♪」


神宮寺さんはそう言って雲雀さんを抱きしめる

良かった・・・・本当に・・・・

私も雲雀さんを抱きしめ共に悲しみを分けてもらう

少しでも、雲雀さんが安心するように















「そう、いつまでも幸せがあるわけではない。終止符はいつでも打たれる」



一人の女は学校の屋上に立ち

そう呟いて姿を消そうとする

しかし明智先生が立ち塞がっていた


「久しいな。やはりお前が八坂を操ったりしてたんだな」


「I can't be caught for you yet、Because a story still continues.」


女はそう言って通りすがる

先生は後ろ頭をかきながら一言だけ呟いた


「まだ続く・・・・ねぇ」


先生が後ろを振り向いた時には

すでにその女の姿はなかった

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