第20話『初恋の先輩』
私が初恋したのは、小学のことだ
その頃から人気だった先輩はいつも女子に囲まれて
私も、その一人だった
あまりにも群がるとウザがれるので私は遠くから見てたのだが
それが先輩にとっては特別だったらしく
あっちから話しかけられることが多かった
それが私からしたら嬉しくて仕方なかった
その時八千代はまだ知り合いではなかったため
その時友達だった綿貫(わたぬき)知沙(ちさ)に相談していた
「ねぇちーちゃん・・・・夏海さんってかっこいいよね」
「そうだねぇきーちゃん♪人気者だもんねぇ〜♪」
「ちーちゃんは夏海さん好きなの?」
「んーきーちゃんが好きな人なんだからいい人なんだろうけど、私は苦手だなぁ」
ちーちゃんは困った顔を浮かべて私の話を聞いてくれる
その時はまだちーちゃんが苦手な理由が分からなかった
でも、今なら分かる気がする
結局私はその次の日、告白する事にした
「夏海さん!あの、その、私、夏海さんのこと好きです!」
私は勇気を振り絞りかみかみになりながらも大声で叫んだ
しかし先輩は冷めた目をしてこう言った
「俺彼女いるからお前なんて興味ないし」
それっきり夏海さんとは話さなくなり
私は逃げるように先輩とちーちゃんとは別の中学に行った
あまりに昔で覚えてなかったが
まさか同じ大学だったなんて
よく私気づかなかったなあ・・・・
「私のこと・・・・覚えてるんですね」
「もちろん告白して来た女は全部覚えてるよー♪みんなフったら面白い顔してたけど♪」
あのとき苦手と言ったちーちゃん
今なら分かる苦手な理由
この人は女をどうとも思ってない最低野郎だ
こんなことに気づかなかったなんて
我ながらバカよね・・・・
「ひっどいなぁ先輩は、毎度ながらモテる理由が分かりません」
「女の目が悪いだけだっつぅのー♪」
先輩は笑顔でそう言いながら手をひらひら振る
一応自覚はあるんだ、ともおもったが
治す気はなさそうだ
私はこれ以上ここにいたくなかったので
屋上から帰ろうとするが手を引っ張られる
「逃げんなよ雲母ー♪久しぶりに会うんだからもっと遊ぼうぜ?」
「私からも言いますが、私も彼氏はいるんです。遠慮しときます」
私はそう言って掴まれてる手を外す
先輩は少しビックリした顔をしたが
今度は腹を抱えて笑いだした
「面白えなお前!俺がこういうこと言って断られたの初めてだよ!いいねぇ、久々にお前に興味が湧いたよ♪」
先輩はそんなこと言って私に近づいて来る
全く・・・・なにをすればこの人から離れられるよ
話聞いてる?通じてる?
このままじゃまずいな・・・・と思ったが
私達の間に入ったのは八千代だ
「もう!やめてって何度言えば気がすむんですか!」
「どけよ八千代〜遊んでるだけじゃん?」
「もう!私がいつも相手してあげてるんですから少しは我慢してください!」
八千代が私を庇ってるのに感動を覚えたが
気になる語句があった
いつも相手してあげてる?
世話係とは聞いたがこういうナンパみたいなのに付き合ってるの?
「え?いや、先輩って見ての通り女で欲を満たす人だからそれに相手してるってだけ」
八千代はあっけからんとそんなこと言うが
欲を満たすって・・・・あれだよな・・・・不純交遊じゃない
八千代は私が知らない間にこの人の犠牲になってるってこと?
「ダメよ八千代!こんな人に体を汚しちゃ!」
「え、雲母が風紀委員長みたいなこと言ってる・・・・でもそうしないと皆可愛そうだし・・・・」
「でも!あんた好きな人とかいないわけ!?」
「え?いや、この人が彼氏だよ?」
「は?」
私は必死な説得を試みるも
私にとっては驚愕すぎる事実を述べられる
八千代が・・・・この人の・・・・?
「八千代と先輩が・・・・付き合ってた・・・の?」
私が頭の整理がつかないまま震えながら二人を指差す
八千代はきょとんとした顔をしたが
今度は納得した顔をする
「あ、そっか、雲母は知らないんだっけ。小学の最初くらいからずっと付き合ってるんだ私達」
「ちょうど今年で十年目だもんなー♪」
昔私を振った理由の
彼女がいる。というもの
もしかしてその彼女って・・・・八千代だったの?
正直こんな女たらしが好きになる人ではないような・・・・
「昔から先輩はこんな風に色んな女で遊んでたから私がバレーで喝いれたらなんか惚れたみたいでこうしてずっと付き合ってるんだよ」
小学でそんなことする子供なんかいねぇよ!
とは思ったが二人ならやりかねない
八千代と本格的に仲良くなったのは高校だが
たしかに小学の頃いたかもしれない
なんか、強すぎるバレー部がいるとかなんとか
・・・・・ていうか
「あんた達不純よ!破廉恥よ!」
「雲母ってそんなキャラだったけ?」
「だってそうじゃない!女たらしが欲望を満たすための仲ってことじゃない!」
「失礼だなぁ雲母ちゃんは、ちゃんとしたカップルだよ♪」
先輩はそんなこと言って急に八千代にキスをする
されたのは私ではないのにぎゃー!と叫んでしまう
「わっ、ちょっと先輩。雲母の前でするのはちょっと・・・・」
「やめろと言ったのはお前だろ?だからお前にやる」
そんな会話をして勝手に二人でイチャコラし始める
流石の私にはそんなのを間近でみる勇気はない
私はそそくさとその場から逃げる
「あ、雲母ちゃん逃げちゃったじゃーん」
「当たり前ですよ、ということで離れてください」
「やーだね。お前が逃したんだから責任取れよ♪」
「ちょ、ちょっと先輩!助けて雲母ーーーー!戻ってきてぇぇぇぇぇえ!」
なんなのあの二人
八千代ならずっと非リアだと思ってたのに!(←失礼)
私は教室に戻り椅子に座りながら考える
いつか私も高杉君とする日がくるのかな・・・・
なななななななななに考えてんの私!
にやけちゃダメ!赤くなっちゃダメ!
あーもう!八千代が帰ってきたら
フライパンで叩いてやる!
後書き
えーっと今回書き終わって思ったこと一つ
それを高杉君からどうぞ
「俺の出番ないの!?」
次回はようやく結城さんの話になります
その名もあなたは私のファンだから
この題材見て修羅場?とも思う人がいると思いますが
これ以上修羅場増やしても・・・・ねぇ?
ということでお楽しみを!
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