第21話『あなたは私のファンだから』

今回のナレーションは結城さんでお送りします


『俺と・・・・付き合ってくれないか?

ずっと前から好きだったんだ

嬉しい!私も!

長い想いが叶った二人はゴールイン

そんな二人は今始まりを迎えた FIN』


FINじゃねーよ・・・・問題はこの先なんだけど・・・・

入院して五日間。私はラブコメを読んでうなだれていた

付き合って二週間は経つけど未だに進展なし

なので今のうちに勉強しようと思ったけど

全然勉強にならないじゃない!

って、こんな本を読むなって話よね

私誰に怒ってるのかしら・・・・


私はイライラを抑えて片手だけでパソコンを打ち込む

金君に見せた1話から結構話が進んできて

ネットでその小説を投稿しているのだが

今じゃブクマとかつけてくれる人もいる

それが励みになってサクサク作れている

金君と高杉君も愛読者になってくれて

たまに金君のお姉さんからも評価を頂いている

・・・・あら?これは・・・・感想欄に1という表示がある

金君とかかしら?そう思いながら感想欄をクリックする


[初めまして!最新話まで読みました!女の子の一途な想いや恋物語に共感やキュンとくるものがあります!評価満点でブクマもしました♪今後も頑張って下さい! #あんこ』


私は目をこすって一回パソコンを閉じる

待って待って待って待って!

初めて知らない人から感想が届いてる!

どうしようどうしよう!えっと、こういうのは返信した方がいいよね


[感想ありがとうございます。これからも楽しんでください]


なんでこんな硬い言葉しか出ないのよ私・・・・

もっとこう・・・・可愛らしい言葉とかないのかしら

[きゃー!ありがとうございます!マジテンアゲ!これからも頑張ります(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)]


違う・・・・・絶対こうじゃない・・・・

何よ最後のこれ!(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)

なんで自分でうっておいて自分で突っ込んでるのかしら私

結局私は硬すぎる文章に!マークをつけて返信した




次の日、ようやく退院出来た私は

登校してすぐ、色んな人達に囲まれる

いくら神宮寺さんがあの事件をデマにしたとはいえ

私が怪我したのは事実なわけで色々聞かれる


「ごめんよ皆、結城さん困ってるから」


私が困ってると金君が間を割って入って

私の手を握って引っ張ってくれる

いきなりのことに私は動揺を隠せない


「き、金君?あの・・・・」


「あ、悪りぃ結城さん、痛かったよな」


「そういうことじゃなくて・・・・他から見たら完全にカップルだなぁって」


「別にいいんじゃないか?バレても」


「バレたら最後色んな人におちょくられるのよ?」


私が言った意味がようやくわかったのか

うわー!それはダメだ!とか言いながら手を離してくれる

でも・・・・金君の手大きかったなぁ・・・・


「そういや結城さん、感想が来てたよな。俺も見たぜ」


金君が気遣ってくれたのか

私の顔を伺うように言ってきた

私はその言葉を待ってました!と言わんばかりに

テンションがハイボルテージに上がる


「そうなのそうなの!すっごく褒めてくれたよね!」


「え?あっ、うん」


「もー本当に嬉しくてー!」


「何が嬉しかったの?」


「そりゃもちろん感想を頂いたことよ!」


途中から金君の声じゃない事に気付き我に帰る

いつのまにか金君のとなりに女の子がキョトンとした顔でいる

金君も今気づいたのか、体を仰け反らせながら驚く


「お、お前いつからそこに!?」


「へ?感想が来てたよなって辺りからだよ♪」


「結構聞いてんじゃねぇか!」


笑顔で金君の質問に答える女の子は

私を見るとまたニコッと笑ってくれる

こんな子いたっけ・・・・うちのクラスだったような・・・・

というかこの子ちっちゃ


「というかうちのクラスだよな?名前なんだっけ?」


「えーひどーい!こほん、私雲雀(ひばり)杏子(きょうこ)っていいます!最近は杏子って呼ばれてたかな〜よろしくね!」


「よ、よろしく、雲雀さん」


私がおどおどしながら述べると

なぜかまたキョトンとした顔をする

頭の上にひばりさん?と文字が出て

自分の名字を呼んだことに気づいて手をポンとうつ


「かわいいね!雲雀さん!」


「自分の名字なのに気づくの遅くない!?」


「それよりも、なんの話をしてたの?」


「えっと、私ネットで小説書いててそれで感想来て・・・・」


「えーすごーい!見せて見せて♪」


グイグイ来る雲雀さんに

私は半強制的にケータイで小説の一部と感想を見せる

するとまた雲雀さんはキョトンとした顔をする


「あれ?これ私が出した感想だー」


「え?あんこってあなたなの?」


「へ?Mari☆って人あなたなの?」


しばらくの沈黙がくる

その沈黙を破ったのは雲雀さんだ


「すごーーーーい!ファンなんです!!!」


「えぇ!?」

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