第16話『ずっとそばに』

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?生徒会長が拉致られたぁぁぁぁ!?」


俺の渾身の叫びは職員室の先生方全員の耳を貫いた

先生は小指で耳塞いでから話を続ける


「らしいぞ」


「いやなんでそこまで冷静になれるんすか!人が拉致られたんすよ!」


「分かっている。相当な問題だ警察も大掛かりで探している」


かなり大ごとになってしまった

先生もそれは百も承知で新聞やニュースで流れるほどである

まぁ神宮寺財閥の娘を拉致したのだ当然の事である

このままじゃ・・・・


「これは賭けに出るしかない」


「賭け?なんの賭けですか?」


「お前どっか広いところで好きだ八坂〜って叫んでこい」


「はぁ!?無理無理無理無理!何言ってんすか!」


「だから賭けだって言ってんだろ〜?そして八坂を出して捕まえる」


「いや、そんな簡単じゃないと思いますよ」


色々話し合っても結局結果は出ず

警察からの連絡を待つことにした

そして放課後俺と高杉は結城さんのいる病室に来た


「片手だけだと本も読めないわ」


俺たちが入った途端、謎の嫌味を言って

つまらなそうにテレビを見てる結城さんがいた


「そう嫌味を言うなよ結城、すぐに治るんだからよ」


「分かってるわそんなこと、早く神宮寺さん見つかるといいわね」


結城さんはいつもの無表情にむすっとした顔を足し

さらに関わりにくいような感じになった

そんなに小説読みたいのか・・・・

すると高杉がケータイを見て「ん?」と声を上げる


「どうした高杉?」


「・・・・いや、急に用事が出来た。ちょっと行ってくるな」


高杉は俺の言葉も耳を傾けず

そそくさと病室を出て行ってしまう

なんだあいつ、珍しいな


「金君も早めに帰れば?もしかしたらお姉さんも狙われるかもしれない」


「おお、確かにそうだな。じゃあまた明日な」


俺は結城さんにそう告げてから

チャリで家に走っていく

結城さんの言う通り誰が狙われるか分からない

用心しなきゃ・・・・

家に辿り着き、玄関を開けると違和感を感じた

いつもなら、姉さんがすぐにおかえりと言ってくれるが

今日はそれがない、佐藤さんの家にでも行ったのか?


俺は靴だな上に置き手紙のようなものを見つけた

『It's painful near you.』なんだこれ?

次の瞬間後頭部に強い衝撃を感じ床に倒れこむ

なん・・・・だ・・・・なにが・・・・おきた・・・・?

俺はかろうじて視線をあげると

そこにはハンマーと包丁を持った八坂さんがいた

ハンマーの方に俺の血がついているのが分かる


「恋愛君〜!会いに来たよ♡」


「何してんだよ八坂さん!ぐっ!頭が!」


「だってぇ恋愛君ったらずっと女と一緒にいるんだもの。私の恋愛君なのに!」


「やめろ八坂さん!こんなことしたってなんにもならねぇよ!」


「何を言ってるの?私はあなたがいれば問題ない」


八坂さんは俺の言葉など聞く耳を持たず

包丁を俺に刺そうとしている

くそ・・・・万事休すか!

俺は死ぬのか・・・・?


「待ちなさい!八坂藍!」


急に玄関のドアがバン!と開き

同時に何人もの警察が入ってくる

そこには高杉もいるし姉さんもいる

先生もいるしなんと結城さんまでいる

そして中心にいるのは生徒会長だった

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