第14話『必要なのは私だけでいい』

昨日あんな出来事があってから一夜明けた

正直足取りが重い。学校で会うと何されるか分からない

正直学校を休みたいのが事実だが

姉がそんなのじゃ事件は解決しない、と言われ

俺は高杉に事情を説明して迎えに来てもらっている

結城さんじゃダメだ。多分逆効果


「ふーん、なんか大変だなお前も」


「軽くないか高杉?」


「いや、結構真剣だぜ。そういうやつって殺すとか躊躇なくやるからよ」


「んな縁起でもない!恐ろしい!」


「・・・・分かったから寝巻きから着替えろ」


こういう時の高杉は物凄く心強い

まじで高杉と友達で良かったと思う

俺はささっと制服に着替えて玄関から出る

その際に姉さんが手招きをする


「どうした姉さん?」


「これ、お守り。そういうのに強いらしいから」


「ありがとう女神様!感謝致します!」


「急にかしこまるな!気持ち悪い!離れろ!」


俺と姉がそんな茶番を繰り広げるが

高杉は苦笑いで見届ける

そして強引に二人に剥がされ俺たちは学校に向かった





教室に入るなり、八坂さんがいないことを確認する

どうやらまだ登校してない模様

俺と高杉は安堵してからそれぞれの机に戻る

正直、こういう時って家の前で待ってるか

教室で待ち伏せして捕まえられるとか

そこらへんの心構えをしていたのだが

その心配はなかったようだ

すると、先生が珍しく早めに教室に入ってきた

先生は俺を見つけると俺の方に近づいてくる


「金華山、八坂が家に戻ってないらしい。何か知ってるか?」


「えっと・・・・心当たりなら・・・・」


俺は先生に事情を話してみた

いつも人のことをぱしってばかりで怠け者な先生だが

今回ばかりは真剣な顔をしている


「なるほどなあ、やっぱりそうなったか」


「先生は分かってたんですか?」


「なんとなく八坂と話してて気づいたんだ。人見知りの原因も恋愛沙汰だと聞いている」


人見知り、俺は八坂さんと話して

その原因は薄々気づいていた

あの子は多分、誰かにフラれたのだと

だからさらに悪化させてしまったこと

そしてそれを俺は手を差し出してしまったこと

流石に・・・・まずいよなぁ・・・・

すると生徒会長の神宮寺百華さんが

急いで教室に入ってきた


「どうした神宮寺、そんなに慌てて」


「大変です先生!結城さんが階段下で倒れてて!」


「なんだと!?」「結城さんが!?」


生徒会長の言葉と同時に

俺と先生はとびだす

その後ろを生徒会長と高杉が付いてきてくれる

階段下には、腕を抑えて倒れている結城さんがいた

保健室の先生も同時に到着した


「これは・・・・腕が折れてますね。救急車を呼びましょう!」


色々とドタバタで授業どころじゃなかった俺たちは

その後、結城さんと一緒に

先生たち四人と病院に行くことになった

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