第12話『人見知り克服法』

俺は家に帰ると同時に玄関に倒れた

たまたま廊下を通ってた姉さんは素通りする


「素通りすんなよ冷たいな女神様ぁ」


「うわ、脚にひっつくな。気持ち悪い」


「きいてくれよ女神様ぁぁぁ〜俺煩悩にまみれてるよぉ〜」


あの後、八坂さんはなかなか離れず

授業は離れてくれるものの

休み時間になった途端くっついてきた

昼飯とか食いにくいのなんの

さすがに帰りは場所が違うということで

しぶしぶ離れてくれた


俺は女慣れをしていないからかなり戸惑ったし

あの子は多分、わざと控えめな膨らみを俺の腕に当ててきた

それが本当に・・・・煩悩にまみれちゃって・・・・


高杉にはおちょくられるし

結城さんは珍しく本は読んでなかったものの

全然俺のとこに来ることはなかった

もう、とにかく、精神的に・・・・くるものあるよ・・・・


「ふぅーん、良かったじゃない。修羅場で」


「何がいいんだよ!俺もう大変なんだぞ!?」


「知らないわよ、あんたが構ったのが原因でしょ?」


「そーなんだけど、離したくても上目遣いの泣き目だぜ?出来るわけないでしょ!」


「分かった、分かったからとりあえず離れなさい。八千代見てるから」


姉さんにそんなこと言われ

俺は周りを見ると

笑いをこらえている佐藤さんがいた


「いや、ごめんね恋愛君。お邪魔してます」


「いいいいつのまにいたんですか佐藤さん!いるなら言ってください!」


「お邪魔しちゃ悪いかな〜って、雲母嬉しそうだしー」


「嬉しくねぇわ!」


「それで恋愛君、その八坂さんとはどうしたいの?」


「どうしたいって、人見知りを克服して独り立ちさせる」


俺があっさりそんなこと言うとは思わなかったのか

佐藤さんは少しキョトンとした顔をする

姉さんはなぜか少し安堵した顔をする


「そこは修羅場しなよ」


「修羅場するってなんですか・・・・」


「多分八坂さんは君を好いてるから、もし人見知りが治っても君の元を離れないと思うよ」


佐藤さんは人差し指を立ててから話す

俺も薄々分かってはいたが

やはりそうなるよな

俺には結城さんというちゃんときた彼女もいる

それで納得はしてくれないのだろうか・・・・


「まぁ、それは後々考えればいいんじゃない?彼女もなにも言ってこないんでしょ?」


「それが逆に怖いんだよ・・・・」


俺はこの二人と話してても拉致があかないと思い

俺はおもむろに外に出る

空気が美味しい。今までで一番くらいに

ふむ、どうしたものか・・・・


「金華山恋愛君?」


急に話しかけられ、俺は振り向くと

年配のおじさんがそこに立っていた

どこかで見たことあるような、そんな気がする

というか、この人外人?


「やっぱり君だったか!私のこと覚えているかい?」


「えっと、すみません、誰でしたっけ?」


あまりに日本語が流暢なので俺は普通に日本語を話す

すると外人さんはウインクをする


「八坂ミドル・クリスティーンだ。藍の父親だよ」


「八坂さんのお父さん!?こ、これはどうも!」


「いやぁビックになったねぇ。昔はこんなにスモールだったのに」


「え?八坂さんのお父さんはどこかで会いました?」


「会ったもなにも、藍と君は婚約したじゃないか?」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

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