第二話

「ヤッホー!茉耶ー。テストどーだった?」


「私はオールしたから80はいくと思う」


「え、まって。それはヤバない?」


「亜結は?」


「あー、うん。まぁできたかな 笑」


そういえば学斗いるかな?


私はC組だけど、いつもイケメン学斗くんが目当てでD組に通っています。

ちなみに茉耶もD組。たまたま学校の最寄りで会ってそれから仲良し。


ある日...


私は放課後の音楽室で来週の音楽会の伴奏の練習をしていた。


「ここ難しいな〜。よし、この小節からやりなお....」


ガラガラ... バンッ


「わぉっ。って誰?」


「あ、すいませんっ!1年C組の山添亜結です。勝手にピアノ使ってごめんなさい!帰りますね。」


グイッ....


「待てよ。いつも人いないしゆっくり寝れるから来るけど、たまにはピアノ聴きたいわ。弾いてくんね?」


「っっっっっっっ!? そ、そんな...私まだ練習不足で上手く弾け....」


「俺、1年D組の飛澤学斗。ユアだっけ?漢字はどー書くの?俺は学ぶに北斗の斗。」


「あ、私は...大東亜の亜に結。」


「へー、いい名前じゃんか。」


いいやつじゃん。でも....

どうせ、こいつも顔だけ..... そう、私は思った。


中2で初めての彼氏ができた。しかし、そいつは顔だけ。性格は悪くはないけど、言葉遣いが少し嫌い。

でも、私は我慢した。だって、大好きだったから。


ある日、


「今日も楽しかった。ありがとう。また明日、学校でね」


「おう。じゃな。てか、亜結さ冬なのにそんな短いスカート履いてバカじゃん。たいして脚が細い訳じゃねーのにさ。女子ってそーだよな、ぶりっ子ちゃんしちゃって。」


「あ、うん。そうだよね...私みたいな脚が太い人が履いても全然似合わないよね。ごめんね。」


この日、私が彼に対する気持ちはきっぱりなくなった。


この日、初めて深く心に傷がついた。


この日、恋人など決して作るものじゃないと思った。

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