第345話

「ユウティーシア、今のは?」

 クラウス殿下が聞いてくるけど、私は頭を振った。

 断片的な情報しか見る事は出来なかったけどやはり、考えてたとおり全ての謎は教授が握っている。

 そして、地球で待ってると言っていたヤハウェと私は決着をつけないといけない気がする。


「クラウス、まずは目の前の戦闘に集中しましょう」

 私の言葉にクラウス様は頷く。

 

 私とクラウス様は手を互いに絡めあい……。


 時の止まった世界で心を通わせる。


 大地が隆起し砕け大量の銀と金の粒子が私とクラウス殿下を包み込む。

 私とクラウス様の体が音素に分解され、そこに大気の物質、粒子が集まり再結合していく。

 音素の中に書き込まれた記憶、知識、経験、感情が混ざり合い増幅していく。

 そして構成が終わった後に、残された余剰されたエネルギーは周囲の物質粒子を押しのけ光の粒を周囲に舞い散らせる。


 光り輝き舞い降りる粒子の中から現れた姿は、ユウティーシアの体を20歳まで成長させた姿で金色の髪の毛を後ろで結わえており、開かれた瞳はクラウスと同じ金色の瞳をしている。

 手には巨大な複合弓を携えており、背中には直径50センチ程の金色に輝く三角錐の物質を数十個浮かべていた。


 クラウスとユウティーシアが神衣を成功させた瞬間、氷ついていた世界は元の時を刻みだした。

  

 


「なんだ?その姿は?」

 神衣化した私に視線を向けてアウラストウルスは目を見開いて言葉を発してくる。


「アウラストウルス、貴女には関係のないことです」

 私は彼女に告げる。人の心の中に住まい利用する者に教える事なんて何もない。


(ユウティーシア、やつの魔力発動を感知した。迎撃プロトコルを組み込むぞ)

「わかりました」


 私はクラウス様の言葉に頷きながら、アウラストウルスの動きを抑え込んでいたアリアに視線をおくる。アリアは頷くと、術式を維持したままアウラストウルスと距離をとる。


「クラウス、いきます!」

(任せろ。魔力の展開と構成はこちらで行う。術式展開は任せられるか?)


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