第344話
そして中央制御室、私に神衣システムを渡した部屋の前に到着する。
そこには、リメイラールと知らない男が立っていた。
「本当に、これで上位次元存在体と戦えるようになりますの?」
リメイラールの言葉に男は頷く。
その男を見て私の鼓動が早くなっていくのを感じる。
「そうだ。これは君たちが研究していた進化学研究所から解き放たれた化け物に唯一抗うための力だ。私が君たちを滅亡から救った時に使ったようにこれは世界を構成する音素を共振させ増幅し力と成すものだ。ただ、これは君たちが作り出したメディカルデーターシステムとそのシステムの根幹を担うユウティーシア・フォン・シュトロハイムの音素同士でしか融合することは出来ない」
「何故、貴方はそこまで知っているのですか?」
リメイラールが懐疑的な眼差しで彼を見るが……。
「そうだね、ただの気まぐれ……ちがうな人に生きる存在価値があるかどうかを試しているんだ。そうだろう?ユウティーシア」
男の眼差しが私が立ってるほうへ向けられた。
「教授……」
そう、そこに居たのは音素たる私を作った自分を草薙と名乗っていた教授であった。
「ユウティーシア大丈夫か?」
よろめいた私を支えてくれたのはクラウス様だった。
「貴様、ユウティーシアに何をした!」
クラウス様は、教授に向けて戦意ある眼差しを向ける。
「何もしてないよ?私が何かをするはずがないじゃないか?私が作ったモノに世界に干渉するなら気づかれないようにするよ。そうだろう?クラウス・ド・リースノット、地の適合者にして地の記憶を他者へ見せる者よ」
クラウスから視線をそらし、教授は私のほうへ視線を向けてきた。
「ユウティーシア・フォン・シュトロハイム。君は、私が想定していたよりもはるかにやっかいな存在になりつつあるようだね。
まさか、私ですら手にする事が出来なかった6大元素の力を手に入れようとしてるとは想定外だ」
「6大元素?」
「それはおいおい、自分で調べるといい。人の想念が生み出せし負のヤハウェと正のユウティーシアどちらが勝つのか見せてもらうとしよう」
教授はそれだけ言うと、その場から姿を消した。
それに引きずられるように世界が崩れた。
気がつけば、先ほどクラウス様と口付けした場所に私とクラウス様は立っていた。
世界はまだ時が凍りついたように動いていない。
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