第331話
「はい」
私は、通信兵が乗せていたパネルに手を載せるとリースノット王国の王都の町並みや海上都市ルグニカの様子を表示させる。
私が行った所がある場所は表示されるみたい。
なら、私が言った事がない場所は?考えながら帝政国の帝都の町並みを移すように考えると中世ヨーロッパの町並みの都市が表示された。
私が認識したことも無い場所も全て上空から表示されるという事は……。
「これは……」
私はこの世界アガルタの大気圏外からの画像を表示させるように考えた。
そして映し出された光景に目を見張る。
そこには、球体の星ではなく円盤状の世界が浮かんでおり巨大な一つの大陸とそれを取り囲む巨大な海が存在していた。
やはり草薙友哉が残したメモは本当だった。
私は無意識に、アリアから渡されたメモを握り締める。
メモにはこう書かれていた。
この世界アガルタは、2億5千万年前に存在していた超大陸パンゲアを模して作り上げられた可能性が高く、あれだけ科学力が進んでいた神代文明時代ですらすべての人類に誤認識させていた者がいたと。
画面上のモニターに表示されているのは、この世界アガルタの本来の姿であり大気圏外つまり宇宙に設置された衛に星より映し出された物にすぎない。
世界の端には空間位相ゲートを応用した技術で世界の端同士をつなげてあり海が循環するように作られている。
重力などはどのように発生させてるのか見当もつかない。
これだけの世界を作り出すなんて、たぶん神代時代の文明でも不可能だと思う。
「ユウティーシア、先ほどから何をしているのだ?」
クラウス殿下は私の肩に手を当てて耳元で話しかけてくる。
「いえ、どこまで見れるものかと思いまして……」
「そうなのか。帝政国やルグニカの町並みが映っていたから何事かと思ったが、この頭の上に移ってる球体もどこかの街並みなのか?」
「え?」
私は、振り返りクラウス殿下を見上げた。でもその表情には嘘を言ってるようには見えない。
やはり肉体に固定された事で音素としての力が極端に下がってる事が分かる。
先ほどまで感じていた人の感情などに直に触れて確認する事が出来なくなってるから。
それより……。
「クラウス殿下には、この映してある世界アガルタは球状に見えるのですね?」
「ああ……違うのか?」
「貴方も球状に見えますか?」
私は通信兵の人にも聞く。でも返答は球状に見えるだった。
つまり、私以外の人にはまったく違う世界。物理法則に準じたように見えてるという事になる。
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