第330話
「大至急、ブリッジにお越しください」
男性はそれだけ言うと私から離れてアリアが向かった方へ走っていく。
「どうやら緊急事態のようだ。走れるか?」
コルクの言葉に私とクラウス殿下は頷き小走りでブリッジへ向かう。1分ほどでブリッジ前にたどり着くとドアがプシューと言う音を立てながら自動で開く。
ブリッジは、イージス艦のCICのように設計されていて10席近くある座席にはそれぞれ海賊風の格好をした男性が座っている。
そして天井だけはイージス艦CICとは違い、かなり高く作られており空中に固定されたモニターが画像を映している。
「これは……」
私は、そのモニターに表示された画像を見て思わず呟いてしまう。横を見るとクラウス殿下もコルクもモニターに視線が釘付けになっていた。
「報告いたします。魔法帝国ジールからの上級魔法師を利用した通信を傍受しました所、神兵はセイレーン連邦3国と魔法帝国ジールの軍が戦闘状況下であった場所に突如現れ両軍を壊滅。後に魔法帝国ジールの王都ジルニスカに強襲を仕掛けてきたとの事。現在、神兵を魔法帝国ジールは総戦力で向かえ打ってるそうですが3割の損失があり、各国に軍事援助を求めてるそうですが……」
通信兵と思われる男性はそこで言葉を濁してしまう。
「どこの国も援助はしない。もしくはそのような行動は見せてない、そういうことですね?」
私は通信兵の言葉の続きを話す。私の話を聞いていた通信兵の男性は頷く。
つまりそういう事になる。
魔法帝国ジールは奴隷制度を推進しており、ヴァルキリアスとアルドーラ公国、リースノット王国とは仲が悪い。さらに私が海洋国家ルグニカの奴隷制度を廃止してしまったために魔法帝国ジールと帝政国とセンレーン連邦の一部の国しか奴隷制度を利用していない。
さらに聖女アリアが、私と神衣したことで奴隷制度撤廃をセイレーン連邦所属各国に語りかけてる事で奴隷制度自体が撤廃され派遣制度が推進される動きがある。
つまり現状では、敵対している帝政国からは援助は期待できないし、各国の奴隷制度否定の各国からも援助を受けることは難しい。そもそも魔法帝国ジールは恫喝外交を今まで行ってきて地続きだったセイレーン連邦の領土を武力で侵略続けていた。
今まで、自分勝手に振舞っておいて何が援助だとどこの国も思ってる事だろう。
「それにしても……多いですね」
私は、頭上のモニターに表示される神兵の数を見ながら一人呟く。
「はい、確認できる限り神兵の数は2000はいると思われます」
見た限り座天使級が居ないのは救いだけど、それでもこの数は脅威だと思う。
「ところでこの機械はどのように動かしてるのですか?」
私は通信兵へ話しかけると
「これは座席前のこの部分に手を当てたまま、やりたい事を考えると勝手に動いてくれます」
つまりこれは精神感応を搭載した端末という事なのかな?
「少しいいですか?」
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