第327話

「あれはなんだ?」

 クラウス殿下が空に浮かんでいる100メートルはあろうかと言う飛行船を見て呟いていた。


「あれは、神代時代に作られました星間航行船ノーチラスです」

 アリアがクラウス殿下の言葉に答えを返す。たしかに私の得た知識の中にはノーチラスの知識はない。クラウス殿下が驚くのも無理ないと思う。

 それにしても星間航行とは……つくづく神代文明は自重を知らない文明だと思う。


「実はな、あれが起動したのはユウティーシアが衛星都市ルゼンドの砂漠を緑に変えた時なんだ。それから、これが起動した時に表示された文字なんだが俺達の誰も読めなかったんだ、見てもらえるか?」

 私は、コルクが差し出された羊皮紙を受け取る。そこに書かれていたのは日本語で……。


「ユウティーシア、それは何て書いてあるんだ?」

 コルクが聞いてくるが、私はそれを見て動揺してしまう。でも、まさか……そんな事があるなんて……でも、だからこそクラウス殿下はおかしいと思ったのかも知れない。

 むしろそう考える事で今までの起きてた事が一つの線で繋がった気がする。

 こんなの誰にも言えないし伝えられない。

 でも神衣を使えば否応にも伝わってしまう。

 私は、どうすればいいんだろう……。


「――これは操縦方法が書かれた内容です」

 今は、濁しておくしか方法がない。

 

「そうなのか。お宝の地図とか書かれてると思った」


「それで、ユウティーシア様。すぐに出かけられますか?」

 アリアの言葉に私は頷く。神核エネルギーを手に入れたエンハスの力は強大だ。おそらく魔法帝国ジールの総戦力でも彼女らを止めることは出来ない。

 それに剥き出しになった神核エネルギーはアルファにもすぐ感知される。おそらく天使達も投入されるだろう。すぐに経たないと魔法帝国ジールは大変なことになる。


「クラウス殿下、娘を頼みます」

 お父様が頭を下げてるのを私は始めてみた。


「はい、ユウティーシアは未来の私の妻なのですから無事に送り届けます。その際にはぜひお願いします」

 クラウス殿下が私を妻にする事は諦めていないようだけど、私としては……。


「それでは、今後の事はノーチラスに乗ってお話をする事にしましょう」

 アリアがさっさと話しを切り上げて移動しましょうと提案してきた。

 たしかに、これ以上無為に時間を費やす事は出来ない。

 アリアとコルクは私のお父様に挨拶をして部屋から出ていく。もちろん私もその後を追い部屋から出ようとするとお母様に後ろから抱きしめられた。


「ティア、絶対に最後まで諦めないで生きて帰ってくるのよ?貴女は私の子供なのだから貴女以外に貴女はいないのだから絶対に戻ってくるの」

 お母様の手は震えている。私は自分の手をお母様の腕に添える。


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