第308話
「それは……構いませんが大丈夫なのですか?」
何が大丈夫なのだろうか?魔力の事だろうか?問題はないが……。
「はい、大丈夫です。こう見えても体は丈夫ですからね」
細胞のミトコンドリアに命じて体の強化は必要最低限行っている。こちらが認識できないアウトレンジからの攻撃を受けないかぎりおそらく問題はないだろう。
「分かりました。それとレオナ様ですが町を出て鉱山へ向かっていく姿を兵士の者が見かけていますが何か調べていらっしゃるのですか?」
「そうなのですか?」
うーん、知らないな。そんな話まったく聞いてない。レオナは何をしに行ってるのだろうか?
「はい、てっきり聖女様のご指示があったかと思いました」
俺どんだけ万能なんだよ。知らないよ、それよりも……。
「イスカさん、領主館は私が治療をしてる事に関して何も言ってきてはいないのですか?」
「はい、それどころか領主館からはこの2日間まったく指示がこない状態です。気になったので私の部下数人を領主館に手配いたしました」
「領主館と言うのはどちらにあるのですか?」
俺は縮小地図を出してどこにあるのか確認することにする。すると城壁の外に領主館があった。
「城塞都市からは離れていますが、これで指示は大丈夫なのですか?それに壁が無いと魔物に襲われませんか?」
「いえ、それがズール様のお屋敷の裏手は切り立った崖になっており、この町の中をとおり南門を抜けないと辿り着けないのです」
ふむ……なるほどな。まあ飛行魔術とか無いからそれでいいのかも知れないな。
「分かりました、それで教会にいる偽聖女に関しては?」
俺の言葉にイスカの顔色が曇る。
「それが偽者の聖女一味は忽然と教会から姿を消してしまったのです」
は?姿を消したって意味が分からないんだけど……。
「それは何時からですか?」
「私どもが、聖女様を向かえに行ったすぐに姿を消したと報告があがってきておりますので少なくとも4日前からだと思われます」
つまり俺がこの町に来る前にすでに撤収していた事になるな……。
「偽聖女の方がこの町から出た跡はないんですよね?」
「はい、この町は城砦都市ですので、必ず南門以外の東西北の門を通らないと町から出れません。ですが偽聖女が出た形跡がないのす」
なるほど。それで偽聖女の居場所が分からないとイスカは表情を暗くしたわけか……。
隔離された場所で失踪する聖女一味と連絡がつかない領主館か。
「ここ最近、領主館に行かれた方はいないんですか?」
「行商人が数組だけですね、特におかしな者が領主館へ通じる南門を通った形跡はないようですが……」
なるほど、そうなると偽聖女が姿を消した理由がさらに分からなくなるな。
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