第306話
「聖女様、もしかして治療をして回られるのですか?」
俺の格好は、聖女だけが着る事が許されてるらしい服装だ、どうやらそれを知ってる人がいたようだ。
「ええ、そうです。市場広場で無料で治療を行いたいと思うのですがお手伝いをお願いできますか?あとお知り合いの方で病を患ってる方がいたら連れてきてもらえますか?」
「もちろんです!」
「わかりました」
「聖女様がこられた!」
「親方に聞いてみます」
その後もいろいろ言ってきていたが俺がお願いしますと言うと皆、走り去っていった。さて、仕込みは上々と……。たぶん紹介手数料とって連れてくる奴もいると思うがそれには目を瞑っておこう。
何故なら治療無料の看板を立てておくからな!
市場につくと、先程まで居た市場と同じとは思えない喧騒に包まれていた。
「本物のリメイラールの聖女様がこられたぞ!」
誰が言ったのだろうか?市場のあちらこちらから、聖女を称える声が聞こえてくる。
「聖女様、こちらの店舗をお使いください」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。視線を向けると昨日、ウリボウから助けた女性たちが居た。彼女達は、どんな病でも治す聖女が現れたと聞いて手伝いに集まってくれたそうだ。
「ありがとうございます」
お礼を言っておこう。
「私たちこそ、気がつかずに申し訳ありませんでした。まさか聖女様は私のお父さんのホテルに泊まってるなんて知りませんでした」
「本当ですよ。娘を助けて頂きましてありがとうございました。リッツホテルを経営してるサルバントと申します。娘が3日前から失踪しておりましたので冒険者ギルドに捜索依頼をだしていたのですが、まさかウリボウに捕まっていたとは……それを聖女様が助けてくださるとは感激の極みです!ぜひ1年でも2年でも私のホテルに泊まって行ってください」
「当然の事をしたばかりですので……」
一番、討伐金額が良かったからそれを受注してついでに助けたとは言えない雰囲気だな。
「さすがは、教会を根城にしてる聖女とは違いますな!このサルバント全力でサポートさせて頂きますぞ!!」
「……は、はい」
俺はアイテムボックスから恒例の本家本元リメイラール教会治療所テント一式を取り出す。そして支柱を立ててテントを作っておき最後に無料治療中と看板を置いて完成した。所要時間10分弱、だんだんと組み立て速度が速くなってきた気がする。
「それではサルバントさん、疫病にかかった人だけではなく病気の方も連れてきてもらえるように言っておいてくれますか?もちろん無料ですので、それと身分の差は関係なくお願いします」
「わかりました!娘の恩人の頼みしかと受けましょう!おまえら、わかっているな?すぐに散れ!」
市場にいた商人の半数が居なくなってしまった。
「言い忘れてました。私、リッツホテルのオーナーであると同時にここら一体を仕切るドンをやらせてもらっています」
「……」
俺とレオナが借りてるホテルは、この町の領主と双璧を成すドンが運営してるホテルのようだった。また面倒なことになりそうだな。
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