第259話
「そこまで判明してるのでしたら冒険者を投入して解決なされたら宜しいのでは?」
俺はあくまでも関係ありませんよスタンスを取る。先ほどは干渉的に町に雨を降らせたり砂嵐を解除したりしてしまったが俺には縁も何もない土地なのだ。俺の言葉にリュゼルグが驚いた顔をしていたが、俺を持ち上げてる事といい聖女かなんかだと勘違いしているのだろう。
俺はそこまで他人にやさしくはしないし、安易に他人の力に頼って自分の力で物事は解決しないといざと言う時にどうしようもなくなるのだ。
「実は、その古代遺跡にはかなり強い幻惑の魔術がかけられており上級魔法師ですら探索が出来ないそうなのです。神兵を倒せる程のお力を持つクサナギ様でしたらと思いまして」
幻惑の魔術ね……。俺の魔力抵抗値なら問題ないと思うがそれでもな。
「この町を救うと思って助けては頂けませんか?報酬は弾みますので!金貨1万枚でどうでしょうか?」
「仕方ないですね。そこまで民そして町を思う気持ち、とても心に響き渡りました。ぜひ協力させてください」
どうせ一日で探索は終わるような事言ってたしな、解決してくださいとは一言も言ってないしそれで金貨1万枚貰えるなら問題ないだろう。
「本当に受けて頂けるので?」
かなり俺が渋ってたので受けてもらえないと思ったのだろう。俺もきちんと金銭じゃなくて報酬じゃなくて人の為に平和の為に戦える男なのだ。
「はい、砂嵐を止める事が出来るかどうかは分かりませんが調査だけはしてみますね」
だから砂嵐を止められなくてもきちんと払う物は払えよと心の中で付け足す事を忘れない。
その後、いくつかの手続きをした後に俺とレオナは馬車に乗りホテルの一室に戻った。
「明日は、明朝出発ですので早く寝ましょう」
「クサナギ殿は、やっぱりクサナギ殿で安心しました」
寝る前にレオナがそんな事を言っていたのが、やけに印象として心に残った。
翌朝、目を覚ますと俺は自前の生活魔法でシャワーを浴びて髪の毛を乾かして身だしなみを確認した後、長い黒髪を黄色のリボンで結んで纏める。朝の用意で1時間ほど使ってしまったが、まだ俺達を案内するはずの総督府の探検チームが到着するまで1時間近くかかるはずだ。
お昼に食べられるようにサンドイッチを作り昨日の夜のうちに出汁を取って味付けしておいた野菜スープを鍋ごとアイテムボックスに入れる。アイテムボックス内は時間が経過しないから日持ちがしない物でも安心して置いて置けるのだ。用意が終わると2つある寝室の一つからレオナが白い騎士服に着替えて出てきた。
「クサナギ様、おはようございます」
「おはよう。レオナ、今日は暑くなりそうよ?」
俺はすでに不快指数が上がり始めた室内にゲンナリしつつ、生活魔法の水と風の応用魔法クーラーで室内を冷やす。
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