第255話

「さて、レオナ。まずはどのくらいの規模の砂嵐がくるのか確認しましょう」

俺の言葉にレオナは頷いてくれたが、俺としては砂漠化が進む人災だけは打つ手が思いつかなかった。一度壊れた自然は直すことは出来ないし対処療法しか取ることができない。


俺とレオナは砂嵐が来ると予想されている町の沿岸部側、つまり北側へ歩いていく。北側へ進むにつれポツポツと浮浪者が増え始め門の近くまでいくとその数は爆発的に増えた。


そして北側の塀はかなり建て増しされているようで俺たちが入ってきた南側の門よりもかなり高い。きっと砂嵐を警戒して町内に砂が入らないように増設を繰り返しているのだろうがそれは対処療法に過ぎない。


砂嵐が来るということは一緒に塩害などの病気を引き起こし重度な病を発生させてしまうのだ。それはソビエト連邦と言う共産主義が自分たちの力を誇示したいがために世界一のアラル湖を干上がらせ周辺の村を壊滅状態に追い込んだ歴史からも分かる。


地球のように物流やインフラがあり医療が発達していて国連がある世界でも問題視されているのだ。こんな何もない中世では町や村を捨てるしか無くなる。それならそこに住んでる人はどうなるのだろうか?やれやれ……本当はこんなキャラではないのに。


「レオナ、今度炊き出しをしましょう」

俺の言葉にレオナは頷く。偽善かも知れないけどやらないだけマシだろうと思いたい。問題は許可が下りるかどうかだがどうなんだろうか?一応、リメイラール教会からは関係者を表す発行書はアリアを通じて作ってもらっておいたのだが、それが使えて教会の方に許可がもらえればいいけど。


「すいません」

閉じてる門の前に槍を構えている兵士の人に話しかける。彼は、俺を見てからレオナを見て


「どうしたんだ?こんな場所に……もうすぐ嵐がくるから門は開けられないぞ?」

そう俺たちに語りかけてきたが


「はい、分かっております。ただ、その嵐というのがどの程度の物か大変失礼ですが見てみたいもので」


「―――なるほどな……町に初めてきた連中はよく聞いてくるからな。いいだろう、そこの脇にある階段を昇っていけば壁の上から嵐を見る事が出来るが飛ばされるなよ?」


「ありがとうございます」

俺は感謝の言葉を継げるとレオナと共に石で作られた階段を上っていく。


「クサナギ殿、ずいぶんと高いですね」

俺はレオナの言葉に頷いた。壁の高さは7メートル程あるだろう、きっと作るのにかなりのコストを使ってるに違いない。壁の上に上がり砂嵐が来ると言われてる海岸線方面へ視線を向ける。


「これは……」


「酷いものですね」

俺の言葉の後にレオナも続いて目の前の光景の感想を述べたいたが壁の外すぐまで砂が押し寄せてきていた。今までずっと自然が豊かなリースノット王国や海洋国家ルグニカにステップ気候のアルゴ公国に居たから砂漠とはどれだけ恐ろしいか分かってるつもりだったけど、本当に理解はしていなかった事に気がつかされた。


「あんなものが此処にくるんですね」

俺は近づいてくる砂嵐を見ながら一人呟く。大きさはかなりの距離があると言うのに横幅だけでかなりの大きさああり遠近感を狂わされるほど。


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