第254話

「そうかいそうかい。最近ではね……夕方から前あたりから町の近くまで砂嵐がきてるのさ。だから食品関係を扱ってるお店は砂が入ったら売り物にならなくなるから店を閉めてるのさ」


「そうなんですか」

おかしいな?アプリコット先生に聞いた限りでは砂嵐が発生するのはもっと北のはずだったはずだ。ここまでは届くはずはないんだけどな。もしかしたら……。


「最近は、雨とかは降ってますか?」


「全然だね。水不足は川があるから大丈夫だけどさ砂漠は広がってきてるね」

つまり乾燥化が進んできていて砂漠が拡大してるという事か。


「雨が降る量は毎年少しづつ減ってきているのですか?」

俺の言葉におばさんは考えているが、両手をポンを叩くと


「そうだね、毎年って訳じゃないんだけどさ……少し前から畑を増やしてからだと思うね」

なるほど、つまり中国のゴビ砂漠にあったシルクロードの各都市のように灌漑工事で水を使ったことで砂漠が促進されてる可能性があると言う事か。これは、かなりまずいな……。


「ありがとうございます。お店を閉める邪魔をしてしまって申し訳ありません」

俺と話していたことでおばさんの手が止まっていたので俺は謝罪をしながらアイテムボックス内から金貨が入った袋を取りだす。


「実は私達は旅の冒険者なんですけど、お店の果物を売って頂けませんか?」

見ると中東付近の果物類がある。食べたことはないけど買ってみて食べるのも良いかもしれない。


「良いけど、どのくらい買うんだい?」


「そうですね。店仕舞いしてすぐに出せない果物系以外の全部頂けますか?」


「え?全部買うのかい?」


「はい、お願いします。おいくらになりますか?」

俺の言葉に本気で購入する意思を確認したのだろう。おばさんがせっせと計算してくれている。


「そうだね、金貨21枚と銀貨8枚に銅貨6枚になるけど大丈夫かい?」


「はい、大丈夫です。アルゴ公国の貨幣で大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ」

俺はおばさんにアルゴ公国金貨を22枚渡すと銀貨1枚と銅貨4枚のおつりを受け取った。


「それではお手間をかけてしまい申し訳ありませんでした」

俺はおばさんにお礼を言ってレオナと俺で手分けして布袋につめてもらった果物を背負った。アイテムボックスに入れないのは自分のアイテムボックスの容量を周囲に知られないためだ。おばさんから離れると


「クサナギ様、少し購入しすぎなのでは?」


「そうですね、私もそう思いましたがきっとすぐに使うことになると思います」

俺は砂漠化が進んだ場合にどこに皺寄せがいくのか大体理解している。果物も個数の割には高かったしきっとすぐ必要になる。


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