第三章 幕間 消えたレオナとクサナギ編
第246話
話は、草薙が教会関係者の勇者コルクに拉致された時まで遡る。
グランカスは、魔法帝国ジールの外務部が潮が引くように撤退していくのを見ていて溜息をついていた。
そして夜半に転移魔方陣で魔法帝国外務部が全員帰国するのを見届けた後に総督府の部下に魔法帝国外務部が口止め料として置いて行った物を宝物庫へ移動するように指示していく。
「グランカス様、やはりレオナは総督府のどこにも見当たりません」
アリーシャが走ってきてグランカスに報告をする。報告を聞いたグランカスは
「そうか。光に包まれて消えたのは見たんだがな……」
独り言を呟きながら思案顔をする。
「レオナの事だから大丈夫だろ?あいつ、帰ってきてからすげー強くなってたし冒険者ランクで言えばA級はあるんじゃねえの?」
楽観的に話すのはパステルであった。パステルは、衛星都市エルノから海上都市ルグニカに帰航の途中何度か船上でレオナと模擬戦を行っていた。
今までは、冒険者経験が長かったパステルの方がレオナよりも強かったがクサナギと一体になった後、急激に力を伸ばしており一度もレオナに勝つことが出来なかった。
使ってる魔術も、生成速度からまったく違っていた。
今のレオナに勝てる人間はかなり少ないことから、パステルは心配していなかった。
「そうだな、それより問題は……」
「クサナギ様ですね!」
「クサナギだな」
アリーシャとパステルの言葉にグランカスは頷く。クサナギが居る所に必ず問題が起きる。それは何故か天命のような気がしている。そして……。
「クサナギを攫ったのは教会だからな……教会無事ならいいんだが……」
「あー」
「そうですね。また巨人とか現れたりしたら大変ですね」
グランカスの言葉にパステルもアリーシャも同意していた。そこにはまったくクサナギを心配する気持ちなどない。むしろ、クサナギを連れていった人間大丈夫なのだろうか?と逆に心配してしまうほどだ。
「あいつの事だから教会を敵に回して大陸を相手に戦争したりしてな!」
グランカスは笑うが
「グランカス様、それありそうですからやめてください。とばっちりが来たらどうするんですか?一応、私達の国はカイジン・クサナギを英雄として奉ってるのですから……」
「まあ、なんだかんだ言ってクサナギは常識があったりするから大丈夫だろ?」
パステルの楽観的な意見にグランカスは、それならいいんだけどなと内心呟く。
「どうか何事も問題起こさずに帰ってきてほしいものだな」
グランカスの言葉にアリーシャとパステルは同意するが3人の些細な願いは適う事はなかった。
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