第245話
「戦争を止めるために赴くのだな?」
声がした方へ視線を向けるとそこにはアルゴ公国シュタイン公国陛下が立っていて、私を心配する目で見てきていた。人に心配されるほどの価値なんて私には無いのに……どうして皆、私に構いたがるのか分からない。
「はい、無用な血が流れるのは好ましい事ではありませんから」
「そうか。未だ復興中な我がアルゴ公国であるが馬車と騎士の手配くらいは致そう」
「シュタイン公国陛下様、大変感謝いたします」
私は感謝の意を伝えた後にレオナを連れて王宮を出て馬車に乗り込みます。
その際にカナリア様が泣いていましたがいつかきっと国を背負う方に成長してくださる事を心よりお祈り致します。
そんな翌日の朝。
「……」
「クサナギ殿!このフルーツおいしいですよ?」
と俺の横で馬車に乗りながら話しかけてくるレオナと目が合わせられない。何故なら馬車の中で一晩寝たら思考回路は男のそれに戻っていて数々の事を思い出してアンニュイな気持ちになり俺は、馬車から出て大岩に八つ当たりして粉砕したのは黒歴史と言っておこう。
その際にレオナがやはりクサナギ殿はこうではありませんと!とか言っていたがいつか特大のブーメランにして返してやる事を心に誓った。
さあ、次はこの俺の黒歴史を作ってくれた三国に徹底的に仕返ししてやらないとな!
「目指すは、エルベスカ王国だ。オー!」
また一つ、黒歴史を量産してしまった俺を見てレオナは一言だけ呟いていた。
「やはり前のお淑やかなクサナギ様の方が良かったかもしれないと」
本当に最近のレオナの言葉には俺に対してだけ棘が増えてきた。これだけ、俺とか頑張ってるのに絶対におかしいよ!
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