第四章

第247話

アルゴ公国から馬車で移動を始めてからすでに2週間が経過しておりそろそろアルゴ公国とヘルバルド国の国境線の境にさしかかろうとしていた。


途中、アルゴ公国内で町や村に立ち寄り休んだりはしていたがかなりの強行軍という事もあり俺やレオナは別として公国陛下が護衛につけてくれた騎士達や馬にかなりの疲れが見られる事から数日は国境を越えた先にあるルゼンドの町で休んだ方がいいと言うことになっていた。


「それにしても転移魔法が私だけには効かないなんてね」


「某が思うには、クサナギ殿の魔力量が某と隔絶してて魔法の影響を受けてないだけかと思いますが?」


ふむ。でも勇者の空間転移武器だと転移出来たんだよな。そう考えると勇者に頼んで移動してもらうのも手だったが、馬車や徒歩や走り以外の移動方法は諸刃の剣だからな。


精神の調停者に聞いた話だと神代系の技術で転移した場合は、神衣を行った人も強制転移させるらしいから、教会復興をしている勇者と聖女を連れてくるわけにはいかないし困ったものだ。


「それにしてもかなり距離があるですね」


「そうみたいです。戦線の前線に到着するまでには早くて2ヶ月は掛かります」


貸し出されてる馬車と騎士がいる以上、やはり体裁が必要だし俺とレオナだけで前線に走って赴くわけにはいかないか。


「クサナギ殿、そんなに心配せずともリメイラール教会よりかなりの数の治療魔法師が現地に派遣されているため、すぐには死人が出るようなことはないという事です」


「そうですか」


俺が考えてたのはそこじゃないんだけどな。そういえば中世時代の戦争では銃などが出てきた時代と比べて人が大量に死ぬような戦争は少ないとどこかの本で読んだ事がある。実際のところ、本当かどうかは知らないが治療魔法師も居るのだ、なるべく最悪の事態は避けておいてほしいものだ。


「そこの馬車止まれ!」


声が聞こえたかと思うと馬車はゆっくりと停車した、馬車の側面から前方を見るとどうやら国境線に到着したようで何十人もの人達や何台もの帆馬車が整列してる姿が見られる。


しばらくすると俺達が乗った馬車は、帆馬車や徒歩の人達と違う門へ誘導されていく。


―――コンコン。


「はい?」


「失礼します」


俺の返事を聞いた一人の騎士が馬車の側面のドアを開けて俺とレオナへ視線を向けたあとドアを閉めた。どうやら王家の馬車でも人物確認はしているようだ。まー厳密に見ると王家の人間じゃないけどな。これが国王とかならフリーパスでいけそうだけど。


10分ほどすると手続きが終わったのか俺とレオナが乗車してる馬車は国境の中を通りぬけヘルバルド国へ入国した。

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