第242話

「えっとね、簡単に言うと私が抑えてられるのはこの世界からの関心と同姓からの魂の波長だけなの。そこに異性、つまり男性の魂のパルスなんて受け入れたら貴女の本質は女性なんだから喜んで受け入れちゃうでしょう?」


「そうなのか?」


うーむ、良く分からないな。


「もう、そうなの!おかげで折角、男性の精神状態で組んでいたのに全部、女性の精神状態に組み変わっちゃたじゃない!どうするの?これ直すの大変なんだからね!」


「ちなみに直らないとどうにかなるのか?」


俺の言葉に精神の調停者はコイツ、馬鹿なのか?という目で見てきて


「大問題よ!あなたの思考が女性になるのよ?つまりあの男の人カッコいいとか結婚したいとか子供ほしいとか思っちゃうのよ!」


「それは大問題だ!気合入れて直せ!すぐ直せ!」


「いま、修復中だけどかなり時間かかりそう。しばらくは思考が覚束ないと思うから気をつけて。それと男の人との神衣は絶対!!禁止ね。これ以上、進行するとマズいから」


「進行するとどうなるんだ?」


「それは……」


「それは?」


「ヒ・ミ・ツです」


「はぁ、さてとそろそろ時間のようだな」


精神の調停者と話しをしていると周囲が白い霧に囲まれていくことに気がついた。これは俺が意識を取り戻す際に発生する現象だ。


「とにかく無理しないで。草薙雄哉、貴方には私達の……」


そこで俺の意識は覚醒に向けて途切れる。



「クサナギ殿!目を覚まされましたか!」


「え……ええ」


相変らず元気がありあまってるみたい。それよりもあれからどうなったのかな?


「そういえば、あれからどのくらい寝ていたか教えてもらえるかしら?」


「一週間ほどですが、クサナギ殿……いつもと様子がおかしくないですか?」


うーん。とくにおかしな所はないと思うけど、レオナは鋭いから私が気がつかない事にも気がついてるのかな?


「それにしても一週間も寝ていたんですね。あれからの事情を知りたいのですけど?」


「分かりました。まず座天使サマエルを倒した後に、教会上層部とアルゴ公国王族との間で戦いがありました。」


「戦い?」


「はい。クサナギ殿を手に入れようとする教会派の騎士団と、教会から守ろうとするアルゴ公国の騎士団との間です。ですがアルゴ公国の騎士団の方が練度が高い事とクサナギ殿のステータス上昇魔法の加護を受けていたこともあり教会派の騎士団の大半と教会上層部の大半を捕縛致しました」


なるほどね。それは思ったより派手に立ち回ったみたいね。それにしても私に何かしら仕掛けてくるとは思ってたけどまさかこちらが力尽きてる状態で襲ってくるなんて常識を疑う。

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