第243話
「それで戦争を指導していた人達は逃亡中ということで良いのかしら?」
「はい、そのとおりですが良くお分かりに……」
戦争を仕掛けてくるならこちらの戦力を調べてると思うし、力押しで攻めてくるような事はしてこないと思う。それよりも問題は……。
「枢機卿は魔法帝国ジールに向かったの?」
「はい。そのとおりです」
ということは枢機卿は魔法帝国ジールで再起を図ろうとしてるに違いない。一体何が目的なのか困ったわね。
「そう、それで勇者と聖女はどちらに?」
「現在、教会の復興に当たっています」
「治療魔法師はもう町や村に向かってるの?」
俺の言葉にレオナが頭を振る。つまりまだ向かっていない。早くしないとこれは困る案件に……。
「いえ、某が長距離転移魔術で全て送り届けてきました」
「え!そうなの?」
鑑定を発動、レオナの魔力は100万を超えていた。これはレオナも人外へようこそになってしまったみたい。大体の事情は把握できたこともあり部屋の中を見回すとすごいお金が掛かってる部屋みたい。
「クサナギお姉さま!」
扉をバンと開いて入ってきたのはアルゴ公国の王女カナリア様であった。ピンク色の寝巻きがとてもかわいく庇護欲をそそられる。
「カナリア様、どうかなさいましたか?あまり王宮からお出になられると皆様に心配をかけてしまいますよ?」
私は、抱きついてきたカナリア様の頭を撫でながらやさしく諭す。
「出てません!ここは王宮の中です!」
「え?」
レオナの方へ視線を向けるとレオナの視線は窓の外に向いていく。
「だってお姉さまを町の宿屋に御泊めにするわけにはいきません!」
カナリア様がとても力説してくるけど、そんなカナリア様もとてもかわいい。どうしよう、これじゃ怒るに怒れないよ。
カナリア様の頭を撫でていると私の顔をカナリア様は覗いてきて
「お姉さま、いつもと違ってとてもお優しいです!」
そうなのかな?私はいつもやさしいと思うけど?良くわからないかな?
「私、優しいお姉さまが大好きです」
甘えるのはいいけど、私の胸に顔をグリグリしてくるのはやめてほしいかな。そんな私を見てレオナさんが、こんなのクサナギ殿じゃありませんとか言ってます。はて?私は、そんなにいつもと違う行動をしてるのかしら?わからないわ。
「外の方にそんなに甘えてはだめですよ?一国の王女様がそんなに無防備ではめっ!ですよ?」
私はニコッとカナリア様に微笑みかけます。カナリア様が頬を膨らませて抗議をしてきますが頬っぺたを指で突っつきながらどうしようか本当に悩みます。
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