第186話
勇者コルクと神官イザッハに連れられて天蓋が存在しない回廊を歩いていると正面から一人の女官が歩いてくる。
そして跪くと
「コルク様、魔法帝国ジールへエルベスカ、ルフンダルク、ヘルバルドの3国が侵攻を開始しており、それに伴い魔法帝国ジールからは第11魔法師団が海上で迎え撃つようです」
と告げてきた。
「それは聖女アリア様には?」
「報告の必要はありません。アリア様はすでに詠んでいらっしゃいます。上げる必要もない話です」
「わかった、各国の英雄には勇者がいくまでには海上国境線を突破しておくように伝えておいてくれ」
「わかりました」
女官はそれだけ言うと立ち上がり俺達から離れて行くが
「コルド様、まさか本当に戦を仕掛けていらっしゃるのですか?」
理解できない、センレーン連邦の軍事力は10万にも満たないのに魔法帝国ジールの軍事力は40万を超える。しかも魔法帝国ジールは常備魔法が使用できる軍事力が40万だ。一般の兵力も含めれば200万を超える。そのような軍事大国に戦争を仕掛けるなんて正気とは思えない。
「ユウティーシア様の危惧も分かりますが勝算のない戦いは致しません」
コルドの代わりに答えたのは神官イザッハであった。
「どういうことですか?」
20倍近い兵力を覆すほどの技術や戦術があると言うのだろうか?孔明でもいるのか?
「これです、ユウティーシア様」
コルドは、腰に差していた剣を引き抜いてみせた。その刀身は透き通っており淡い光が刀身の中で動いているのが見られる。
「その剣がどうかしたのですか?」
わからないないが、コルドが見せる刀身の形はまるで神衣時に使用した雷切にそっくりだ……が……?
「まさか、その武器は?」
「コルド様、それ以上は」
コルドの言葉をイザッハが止める。それに対してコルドは頷くと言葉を紡いでくる。
「申し訳ありません、ユウティーシア様。今の貴女様にはこれ以上は教える事は出来ません。アフラニスカと申し上げても理解できないでしょう?それに明日にはアリア様がご説明されるという事ですので……」
「分かりました」
判断材料が少なすぎてどういう状況に陥ってるのか理解が追いつかない。神代殲滅兵器ラムド、神代破壊兵器エルザルド、神代損滅兵器ブルザルドを持つ3人の英雄を要する国を止めないといけないのに……。
「――っ!」
「どうかなされましたか?」
イザッハが倒れそうになる私を支えてくれるが、違う。何を今、考えていた?俺は……。自分が自分では無くなるようなこの感じ一体何が起きてる?イザッハに連れられながら歩いていくとようやく部屋にたどり着く。部屋に入るとそこは総督府とは比べ物にならないほど豪奢な部屋であった。広さで言えばもはや部屋という定義を通り越している。一辺が100メートルもある室内を部屋と言うのだろうか?
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