最強のFラン冒険者

第185話

「セイレーン連邦？」

俺は言葉に出しながら、アプリコット先生に習っていた内容を思い出す。たしかセイレーン連邦は独自の政治形態をとっていて各国が独自採算性を取っていて各国の代表がつねに利害調整という議会制度をとっていて、そして日本で言う天皇陛下の位置にリメイラール教会の法王が居る。内政は不安定で大国に挟まれてる事から治安も良くないと教えてもらっていたが、何故そのようなところに？

「はい、ユウティーシア様をお迎えすることが私たちの目的でした」

「それはどういう事でしょう？申し訳ありませんが、元いた場所へ戻して頂けませんか？」

目的？来るのが分かっていた？それよりも早く戻らないと、リースノット王国とルグニカが戦火に巻き込まれることになる。早く戻らないと……。

「その必要はございません。セイレーン連邦は、今この時をもって魔法帝国ジールへ聖戦をするのですから」

「聖戦！？」

こいつは何を言っているんだ？魔法帝国ジールがその気になればいくら教会権威を持ってしてもセイレーン連邦の国力では太刀打ちできないのは誰が見ても明らかなのに。

「はい、聖戦です。魔族の力は強大ですが勝ちは決まりましたから」

アリアは俺へ視線を向けて微笑んでくる。まさか俺の魔力量を宛てに？だが、俺が協力するわけが……。

「今はまだのようですね、残念です。イザッハ！」

「はい」

アリアに名前を呼ばれたイザッハという男が近づいてくる。

「ユウティーシア様、お部屋まで案内します」

「ですが、私がいなくなれば魔法帝国も戦火を広めます！」

俺の言葉に聖女アリアがそれは無いと首を横に振るうことで教えてくるが何故？

「戦火は広まりません。何故ならユウティーシア様、貴女は勇者に拉致されたと言う事になるはずですから。詳しいお話は明日行いますので今日はお休みください」

目を見張った。戦火が広がらない？勇者に拉致されたと言う事になる？この聖女が何を言ってるのか話が急展開過ぎてまるで要領が掴めない。こいつらは何をしようとしてる？

「ユウティーシア様、これ以上ご無理をなさると体に負担がかかります。神代術式と言っても体には負担がありますので」

たしかに、さっきから体が重くて仕方ない。

「わかりました。明日の朝にでもお話をお願いします」

聖女が頷くのを確認し俺は勇者とイザッハ神官に連れられるようにその場を跡にした。

草薙が居なくなるのを確認すると聖女アリアはようやくユウティーシアを視ていた魔法を解除する。

「信じられません、あれが神の力ですか？まだ完全には彼女の人格は、覚醒はしていないようですが神剣に呼応して転移が出来るということは……」

「それでは……」

一人の神官の言葉に聖女アリアは頷く。

「ようやく天へ逃れた災厄を滅ぼす事ができます」