第182話

「それと今回、君に手を出そうとしてるのは魔法帝国ジールだ。軍事同盟を結んだ公国アルドーラと軍事大国ヴァルキリアスも奴隷制度を推進させている魔法帝国ジールは問題視してるんだ。当然、力を貸してくれることになっている」


「まってください!それでは余計な血が流れてしまいます」


そう、俺一人のミスで起きてしまったことなのだ、これは俺の責任であり俺が輿入れすればそれで丸く収まるのだ。何の罪もない人を戦火に巻き込むのは良くない。


「関係ないね、僕にとってはその他有象無象よりもユウティーシア一人が大事なんだ。だから、魔法帝国?そんなのなんて君を手に入れるためなら滅ぼしても僕はまったく心は痛まないよ、それにもうそれだけの力はリースノット王国にはあるからね」


クラウス殿下は俺に語りかけながらも手のひらを天井へ向ける、そして小さな魔方陣を重ねていく。


「ユウティーシア、見てくれるかな?」


差し出されたクラウス殿下の手元を見るとクラウス殿下の手のひらの上には俺が作るのに似ている白色魔法石が存在していた。


「クラウス殿下、これは……」


「うん、これはね君が作っていた白色魔法石に近いんだ?人の魔力を極限まで高めて潜在能力を引き出し能力を付与することが出来る神代魔法の模造品かな?でもねこれでリースノット王国は国民のほとんどが魔法師の力を手に入れたんだ。そして王国兵は全員が中級魔法師以上の力を有しているんだよ?だから君はもう何も心配しなくていいんだ」


リースノット王国のほとんどが中級魔法師以上の力を有している?俺はその言葉を聞いて愕然とした。それだけの武力を持つと言う意味が理解できているのだろうか?力を有すると言うことは制御するための法などの整備が必要不可欠、それを俺がリースノット王国を離れていた2ヶ月と言う短期間で進めたと言うことは、かなり危険なのではないだろうか?


「ですが、急にそんなに強い力を手に入れたら……」


「関係ないね」


俺の言葉をクラウス殿下は切って捨てた。その態度はさきほどまでのクラウス殿下とは明らかに違っている。


「殿下……?」


「どうして分からないのかな?僕は、君さえ手に入ればいいんだよ。ジール?ヴァルキリアス?アルドーラ?そんなのどうなっても構わない。自国の民と君さえ居ればそれ以外は何もいらない。ただ、それだけじゃつまらない。この俺(・)に喧嘩を売ってきたんだ。ジールは確実に潰すしこれはユウティーシアに手を出したらどうなるかの見せしめだ」


体中の震えがさっきから止まらない。いったい俺の前で語っている彼は何者なんだ?鑑定の魔術を使うと


class:神級魔法師(鉱物練成)

クラウス・ド・リースノット

Level:1281

HP:5681/5681

MP:48812762/49928877 ※草薙と触れ合う事で最大魔力量がつねに上昇し続ける

STR:92

DEX:118

CON:61

WIS:3088

INT:83


ステータスは平凡よりも高め程度だったが、レベルとHPしかもMPが桁外れで俺に触れているだけで魔力が上がり続けるというチート持ちだった。


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