第160話

地軸移動つまりポールシフトは、星の地磁気が反転もしくは移動することを言う。それにより大陸の気候などが一瞬にして変わる。


「そんな事がありえるのか?」


――肯定。この世界11の大陸に分かれていました。それが時空融合により磁場の反転と大陸の隆起によりほとんどの人類は死に至りました。現在、時空再生の際に発生した膨大な精神エネルギーを消費するためメディデータに精神エネルギーを触媒とした精神感応技術つまり魔法や魔術と呼ばれている物を使わせてる状態です。


「――つまりそれでどうしたいんだ?」


魔法師が使う魔術、それが精神エネルギーを消費するための物だとしたら消費しないといけない理由がわからない。


――精神エネルギーは輪廻の輪を構成するために必要な物ですが、この星アガルタにおいて純粋な人間はいません。そのため、人間は誕生せず輪廻の輪は停滞しています。消費されない輪廻の輪は最後には破綻し因果消滅を引き起こします。そのために消費が必要となります。現在、輪廻の輪の精神エネルギーを消費するために調整したナノマシンで構成されている貴女の体を含めたメディデータにより星の復旧を行ってる最中です。この事実は禁則事項にあたりメディデータには……。


唐突に部屋内に響いてた音声が唐突に消え青白く照らされていたドーム内が赤く照らされる。


――時空干渉を確認。出現予想地点はルグニカ王国衛星都市エルノ南3キロ上空10キロ。草薙雄哉は至急ここから退去してください。貴方を狙ってきた者と推測されます。草薙雄哉あなたは、現在、魔法帝国ジール帝都に存在する精神科学施設へ赴いてください。


「話の途中で切り上げられても困るんだが?とりあえず敵が現れたってことか?」


――肯定。


「――ふむ」


自分の魔力量を鑑定する。すでに魔力量は37億まで回復してる。これならどんな相手でも戦えるはずだ。


「分かった。もう少し話を聞きたい。その襲撃者を倒してくればいいんだな?」


――否定。草薙雄哉、貴方が勝てる可能性は1%もありません。即、離脱を勧めます。


勧めると言われても……これ俺が逃げたら迷宮が崩壊するパターンだろ?そしたらまたグランカスに何か言われそう何だが……それにコボルト達にも俺を目的に来てるなら巻き込む形になるしそれは困るな。


「無理なら逃げるから、とりあえず俺を目安に来てるなら人気のいない所で撒くのもありだろ?」


――否定。一度、認識されれば貴方の力では逃げることは不可能です。


「なら勝てる戦術とか無いのか?」


――否定。ひとつだけあります。メディデータとしての貴方の体の本来の力を使えれば倒すことは容易です。


なるほど……。つまりどういうことだ?


「つまりその、俺の本来の力?ってのが使えればいいのか?どうすれば?」


――肯定。先ほど来た3人のメディデータのうち一人と一時的な融合を行ってください。そうすればメディデータを動かすアプリケーションを使用することが可能となります。


「融合?」


――肯定。融合することにより知識や感情の一部の共有により相手の力を一時的に使えるようになります。これはかなり古い技術ですが神衣(カムイ)と呼ばれている技術です。


精神と感情の一部共有とか……無理だ。


「分かった!」


――肯定。草薙雄哉、貴方の精神核に神衣の発動に必要な起動シーケンスを設定しました。必要のある際には神衣と発し一時的に力を借りる相手に接触してください。


「いやいやいや違うから!わかったって言ったのは融合とか無理って意味で言ったから!そんな知識はまだしも感情の共有とかありえないだろ!?」


――否定。一度、設定された内容は変更は出来ません。


「……」


なんという事でしょう。勝手に無駄な物を押しつけられてしまいましたよ……。

あれ?なんだこれ……。急に胸が苦しく……。

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