第161話
――移動を感知、ドミニオン級1匹。ガーディアンを転送、施設の防衛に当たらせます。戦闘継続意思が無い場合には即退去を願います。戦術的価値から見て戦闘意思が無い者は足枷になります。
「わかったよ、どうやって逃げればいい?」
――肯定。ガーディアンは転送用に肉体を組まれている為、問題はありませんが草薙雄哉とメディデータの3人は転送に耐えられない事から緊急用の脱出装置に乗って地上まで移動していただく形になります。このシェルターに来るまでに乗ったエレベーターに乗ってください。あとはこちらで制御します。
「了解だ。また話を聞きにくる」
すぐにホールの扉が開き、ホール外に出るとアリーシャ、パステルが慌てていた。
「落ち着いてください」
「落ち着けだって?目の前からコボルト達が消えていったんだぞ?」
「倒した時以外は消えないのにどうして?」
パステルもアリーシャもかなり混乱しているようだ。
「そういえば、レオナさんは?」
一人だけ姿が見えない事に気がつくが
「コボルトのやつらが消え始めたからレオナの奴がコボルトの集落を偵察しに行ったんだよ」
「そうですか……」
それはともかく、早く移動したほうがいいな。俺を追ってきたってことはさっさと移動しなければこの施設が危険に晒される可能性がある。そうなればまだ重要な話を聞き終えていない以上、大変困ることになる。
「分かりました。長老様よりすぐに脱出するように言われましたので移動しましょう」
まずは自分の命を一番に行動せねば……。建物から出てしばらく走ってると目の前に集落が見えてきた。集落を超えてエレベーターがある岸壁までいければこの地下から脱出できる。
村に入ると4本脚で走ってたコボルト達が集落の中央部分に集まっていた。その数は30近い、そしてそこにはレオナが立っていた。
レオナは俺達に近づいてくると
「クサナギ殿!コボルトの集落には子供達が怯えているだけで成人してるコボルトがまったくいない。どうすれば?」
そう聞いてきたが、どうすれば?と言われても困る。彼ら施設を守るガーディアンとして作られた物であり俺が関与するものではないのだが……。その愛くるしい姿を見てると、居た堪れなくなる。
「いまは……」
自分たちの身が最優先だから?小さい物を切り捨てる?違う、俺が離れればコボルト達がひどい目にあうことはないはずだ。だからすぐにここを離れれば問題ないはずだ。
「この子たちはこのままで、私たちはすぐにここを離れましょう。迷宮には迷宮の掟がありますし」
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