第157話
「ここを右にいくワン」
今度は右の廊下を歩いていく。そして白いコボルトが立ち止まり壁に手を当てるとジジッと音が鳴った瞬間、壁が開いた。
「これはどうなってるんでしょうか?」
後ろからアリーシャが不安がり他の2人も見たことの無い設備に驚いていたが俺も違う意味で驚いていた。まるでここは病院か研究所、もしくは軍施設なような気がしてきたのだ。たしか、俺が神話の本を読んだときには神話時代の人間は相当高い知識や技術を持ってるようなことが書かれていた。そうなるとここはその知識や英知が眠る場所となる。
「こっちワン」
コボルト達3人が、開かれた扉の潜りぬけ俺たちも後を追う。そこには巨大な空間があった。高さは10メートル近く。部屋の中は円状になっていて直系は30メートル近い。そして部屋内に声が流れてきた。
――ようこそ、メディデータの方々と他惑星の特異点よ。
「ち、長老様がいつもと違うワン!」
俺たちを案内してきたコボルト達が突然慌てだし、アリーシャやパステルにレオナが声の発信源を特定しようとしているが、俺はホールの中心に設置された巨大な三角形の黒い物体に視線を向けていた。その黒い物体は中身が半透明になっており時折発光している。まるでデスクトップパソコンの電源のように俺には見える。たぶん、それよりも遥かに進んでいるのだろうけども……。
「コボルトさん、長老様と言うのはここで話せば回答してくれる方の事なのですか?」
「そうだワン!いつもは品質上昇とか言って成人年齢のコボルトに祝福を与えてくれるワン」
俺はコボルトが指差した方へ視線を向けるとそこには何かの容器があった。品質上昇と言う言葉とコボルト達のレベルと身体能力の高さ、そして知能の高さにを踏まえるとこの施設がすることは生物強化か生命体進化の可能性が高い。地球ですら動物の掛け合い実験の段階に過ぎないのにすでにそのレベルまで文明が進んでるとするなら神代時代の科学はかなりの領域にまで足を踏み込んでいることになる。
――メディデータの入室は禁止していたはずですが、どういうことですか?
ホールに響いた音声から、他惑星の特異点は俺自身だと推測出来る事からおそらくメディデータと言うのはアリーシャ、レオナ、パステルの事を指しているのだろう。
――ガーディアンとメディデータはすぐにこの場所から退出してください
「長老様がお怒りになったワン!すぐに部屋から出るワン!」
3匹のコボルトが女騎士達を部屋から追い出していく。俺も部屋から出ようとしたところで足が凍りついたように動かない事に気がついた。
「お嬢さんもすぐに出るワン!」
黒い毛並みのコボルトが俺をホールから出そうと近づいてくるがホールの入り口で不可視な物質にはじかれた。そしてそのまま入り口が閉じる。
「おい!どういうことだ!?」
魔力量200億のうち30%である60億をステータス強化にまわす。ステータス値が上限ぎりぎりまで引き上げられ体内に納めきれない魔力量は体の周囲に展開され白い蒸気が立ち上る。
――神力ですか?
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